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「写真見ただろ」



そっけない答え。


……わかんないから聞いてんじゃん。

犬に似てるっていったって、これでも人間の格好してるんだから限度ってものがあるでしょうよ。



ハイジとケイジくんだって、似てるかどうかわからないって言ってたじゃん。



ジローフィルターを通せば、タマに見えるのかな。……複雑。



「……どうして黒羽先輩が『トラ』なんですか?」



何話したらいいか思いつかなくて、変態キンパツのことまで話題にしてしまった。



「タイガだから」



白鷹先輩のその一言は、自分で考えろということかしら。



謎解きを始める。



タイガだから……タイガ……タイガ……タイガー……



「あ、タイガー!トラだ!!そうですよね!?」



もんのすごい簡単なナゾナゾを解いた私はそんなことが嬉しくて、思わず先輩に顔を綻ばせながら話しかけていた。


そしたら、先輩はほんの僅かに目元を緩めて「そ」と言った。



「そう呼ぶの、アイツ嫌がるけどな」


「じゃあ私今度から黒羽先輩のこと、そう呼んでみます!意地悪してくるし!」



ニヤニヤといやらしい笑みの黒羽……じゃなくてトラさんを頭に浮かべて、ぐっと拳を握る。



すると、白鷹先輩が声を出して笑った。



ドキッと、した。


初めて、そんな先輩を目にしたから。


こんな風に笑えるんだって胸が高鳴って、先輩から目が離せなかった。



キレイでカッコいい、白鷹先輩。



「俺は?」


「え?」


「俺は何て呼んでくれんの?」



ま、まさか先輩から質問がくるとは!


なんて答えるべき!?


先輩は私を犬だと思ってるから、「ご主人様」?


……そんなん言えるか!!



やっぱりここは──



「白鷹先輩……」


「トラはトラなのに、なんで俺はそんなんなんだよ」



うわっ、すねた!!一気に目つき悪くなった!!



普通じゃないの!?



「何がいいんですか」


「俺に聞くなよ」



ええっ!じゃあすねないでよ!!


どう呼んだら機嫌よくなるの!?


難しいよ、めんどくさいよこの人!!



「ジローさん、とか?」



今度は先輩は、何も言わなかった。



ジローさんでいいんだろうか。


すると、体育座りな私の横で寝転がってるジローさんが、不意に片手を持ち上げて私の頬を撫でてきた。



「わわっ、な、何するんですか!?」



びくってなって、仰け反ってしまった。


ちょっと、本当にこの前鼻血噴いた人と同一人物!?いきなり触ってくるなんて……だ、大胆!!



思いこみってすごい。

私を女ではなく、タマだと思い込むだけでジローさんがここまでできちゃうだなんて。



ますます落ち込んでしまう。



「可愛いな、お前」



かか、可愛い!!?


男の子に言われたい言葉ベスト3が、こうも容易く叶ってしまうとは……!!



「タマにそっくりで」



有頂天になっていた私は、彼の次のセリフで地面に叩きつけられた。



やるじゃないの、ジローさん。


持ち上げといて落とすという、アメとムチね……。



ふと、何気なくジローさんの手元に視線を流した時だった。


制服の袖口の隙間から覗く、手首。



そこに見えた……小さな、黒いアザみたいな跡。



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