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大して私はビックリしなかった。
……ああ、やっぱりね、と冷静に見つめている自分がいた。
だってそうだよね。ジローさんだもんね。
私、タマだもんね。女の子にあげる物じゃないよね。
それにしてもすごい沢山ある。30個くらいは、ゆうにある。
普通にスタンダードな単色の首輪から、ハートが散りばめられたもの、なかにはヒラヒラのレースやリボンが付いたもの、トゲトゲが付いた痛そうなものまで多種多様だった。
今どきのワンちゃんは首輪もオシャレなのね……。
そしてジローさん……何を思ってこんなにいっぱいの首輪を購入しちゃったのかしら……。
「何だコレ!お前ついにSMに目覚めたのか!?」
色んな首輪を手にとって眺めながら、黒羽先輩は訝しげに白鷹先輩を見やる。
「タマにって言ってんだろ。犬に首輪はひちゅじゅひんだろうが」
あはっ☆ジローさんったら「必需品」を噛んじゃってる☆カワイ~(はあと)
って、なるか!!うちのクラスの女子ならなるかもしれんけどな!!!
私にって……もしかして、もしかするんですかジローさん。
「好きなの選べよ」
私に薄く微笑む、白鷹先輩。
やっぱり……そうなんですね。コレ、私のなんですね……。
いや、待てよ。もしかしたらジロー流ジョークなのかもしれないじゃないか。
私がどう返すか試しているのかもしれない。私のアドリブ力を!!
なんたって、相手はヤンキーキング。
それくらい臨機応変にいかないと、彼のオメガネには適わないのかもしれない!!!
や、やるしかない!!
「とおっ!!ウルトラカッター!!」
適当に首輪を一個取ると、頭の上で両手で挟み教室の壁に投げてみた。
ひょろひょろ飛んでいった首輪は、ぽすんと情けない音を立てて床に落ちた。
場の空気が、凍りついた。
誰かの笑い声なんてもちろん聞こえるわけもなく、それどころか近くの家の飼い犬の鳴き声が聞こえてくる。
やってしまった。
全身から、一気に血の気がひいた。
ヤンキーのみなさんは白々しく一列に窓辺に並び、空を見上げながら星座の話をしていた。真っ昼間なのに。
冷や汗が流れる。ちらっと黒羽先輩を覗き見ると、目を逸らされ彼はスマホをいじり始めた。
ごくりと唾を飲み込み、オイルの切れたロボットみたいにギギギと白鷹先輩に顔を動かした。
「早く選んでくんねえ?」
そこには鬼がいた。銀髪の鬼が。
私の予想は大いに外れた。これはモノボケなんかじゃなかった。
この人はマジだったのだ。本気と書いて、マジだ。
危うく気絶するとこだった。彼はぴくりとも笑わず、完全に冷めた目をしていた。
私は泣く泣く、ピンク地にハートのチャームが付けられた可愛らしい首輪を選んで、鬼と化したジローさんに差し出した。
これなら誰かに見られたとしても、チョーカーって言い訳ができそうな気がする。うん。ギリだけど。




