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困るな……どうせ断ったところで逃げ切れないのはわかってるし、私には選択権なんて与えてもらえないんだろうし。
それに、かっちゃん……君のうるうるした瞳は乙女心を鷲掴みだ!!可愛すぎだ!!この色男!!色ヤンキー!!
一肌でも二肌でも脱ぎたくなるじゃないか、チクショウ!!
「もう諦めてるからいいよ。私が役に立つとは思えないけどね」
「ダイジョーブだよ、俺白鷹さんが女の子と話してんの初めて見たからさぁ」
すぐにかっちゃんは朗らかな笑顔に戻ると、大教室の戸を開けた。私もかっちゃんの後に続いて、恐る恐る中に入った。
鼻をつくタバコの匂い。まずこの匂いが私を出迎える。
そしてやっぱり、ゴロゴロしてらっしゃるヤンキーさん達。……貫禄あるわ。
その奥であのソファーに座っているのは白鷹先輩……じゃなかった。
金髪の、黒羽先輩……アブナイ人だ。
「おーももちゃんじゃねーか」
「タマちゃんじゃねえの?」
「やっと来たんかよ~、白鷹さんもタイミング悪ィよなぁ」
「まぁゆっくりしていきな。そのうちジローちゃん来るからよ」
私を見つけると、急に恐いおにーさんがたは笑顔で歓迎してくれた。ドキドキしてたけど、案外いい人達なのかなと、ちょっと緊張がほぐれた。
白鷹先輩、どこ行ったんだろ。それにハイジとケイジくんもいない。
私……どうしたらいいんだろう。ゆっくりしろって言われたってこんなとこじゃ、くつろげやしないわよ……。
「なに、お前がジローの女?」
ぼーっと突っ立っている私に、ソファーに座ってタバコをふかしていた黒羽先輩が声をかけてきた。
「お、女!?違います、私は……」
否定したものの、なんて言ったらいいんだろう。
自分から、ペットですなんて宣言するわけにもいかないし……。
「あ~ワリィワリィ。アイツのペットなんだよなぁ。こっち来いよ」
くくっと笑うと、黒羽先輩はぽんぽんと自分の隣を叩いた。
何よ、わかってんじゃん。
この人……反応に困った私を見て、楽しんでるのかな。
躊躇する私に、「とって食ったりしねーよ」と目を細める黒羽先輩。仕方なく私は先輩の隣に、ちょっと距離を置いて腰を下ろした。
黒羽先輩はじろじろと遠慮なく、私の頭のてっぺんからつま先まで視線を這わしてくる。
……とっても居心地が悪い。
「お前さぁ……ハイジに処女捧げたんだって?」
「はぁっ!?」
ニヤつきながら、とんでもないことを口走った金髪。
そりゃ誤解だっつーの!!ハイジがあんなに一生懸命弁解してたのに、何を言うんだこの人……!!
っていうかあの時黒羽先輩いなかったのに、なんで知ってるんだ!!
「それは間違いっていうか、アイツとはそんなんじゃないですから!!」
「照れんなって、隠すこたぁねえだろ?初めてがアイツじゃキツかったんじゃねえの?アイツ激しそうだもんなぁ」
何なのコイツ……!!は、激しいとか知らないし!!っていうかハイジのそんなこと知りたくないし……!!
「ちゃんと優しくしてもらえたか?どうやって迫ったんだよ」
「だから、違うって言ってるじゃないですか!」
「じゃあ誰とヤったんだよ」
「誰ともヤってない!!」
「そうか、じゃあまだ処女か!バージンか!!ジローが喜ぶな、ぎゃははは!!」
「!!」




