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ふふ……結局私は、人間にはなれないんですね……。


一応人間やってるのに、人間として認めてもらえないなんて……なんと不公平な世の中……神様のばかん……。



でもまだ犬に昇格しただけでもマシかなんて思ってしまう自分が、虚しかった。




「やべえ……ホントそっくりだお前」




先輩……うっとりとした目で見つめてくるの、やめてください……。



「……似てるか?」「わからん、でもジローちゃんやからな」と、横でひそひそ話し合っている双子。




“ジローちゃんだから”




それで済まされるのも、先輩なら何となくわかる。



ちょ、ちょっと変わった人なんだねジローさんは。本当にこの人ヤンキーキングなんだろうか……。


私にはただの──……いや、やめておこう。



「私、授業行ってくる」



これ以上ここにいたら、ダメな気がした。

ジローワールドに引き込まれたら帰ってこれなくなる、そんなの絶対いやだ。



ハイジやケイジくんや、その他のみなさんもよく平気でいられるなと思った。慣れるもんなんだろうか。

ずっと一緒にいれば、ジローをスルーできる能力が身に付くんだろうか。



そんな人生に役に立たなさそうな能力を身につける気もさらさらないので、私は足早に立ち去ることに決めた。




「タマ、また来いよ」




教室から出て行こうとすると、背にかけられたのは白鷹先輩の少し名残惜しそうな声。



タマって……私のことかしら。



振り返ってみたら、やっぱり先輩は偉そうにソファーに腰掛けて私を見つめていた。



もうタマになっちゃってんの!?私ももなんですけど!!

しかもまたここに来ないといけないの!!?冗談じゃないんですけどっ!!!




なんて心の叫びがキングジローに返せるわけもなく、苦笑いでぺこりと頭を下げることしか私にはできなかった。




そしてようやく不良キングダムを脱出した私はため息を何度も吐きながら、とぼとぼと自分の教室に歩き出した。


正直もう家に帰りたかったけど、サボるのは気が引けたからとりあえず出るだけ出よう。




「もも!」




静粛な廊下に反響する、私の名前を呼ぶ声。



大教室から出てきたハイジが、なんだか興奮しながら私に近寄ってきた。



「何よ……っていうか、何なのよあの人!あんたね、私に何の恨みがあんのよ!!楽しい!?私をこけにしてイジめて楽しいの!?笑い者にしたかったんでしょ!!そうよね、私はどうせあんたにとっちゃ石ころだもんね!?」


「バカ、お前声でけえって。悪かったよ、お前なら何とかなるかもって思ったんだ」



今が授業中だということも忘れて喚いていたことに気づいて、私は慌てて口を噤んだ。でもハイジを睨んで、イライラをぶつけておいた。



そんな私にハイジは申し訳なさそうにしてたけど、どこか嬉しそうなのはなぜなんだい。




「ももちゃ~ん機嫌直して?石ころじゃねえって。可愛いよお前は、タマよりはさ~。な?」




う、嬉しくねえ!!なんで比較対象が犬なんだ!




「いや~マジやべえな……ジローちゃんが女と目ェ見て話すなんてよ……」




しみじみしている緑くん。なんか自分の世界に入っちゃってるけど、意味不明だわ。



「ねぇ……さっきから何なの?白鷹先輩が女の子といるのが、そんなにすごいわけ?」


「……いいかもも、今から言うことは誰にも言うなよ?お前にはこれからジローちゃんの世話をしてもらわねえといけねーから、特別に教えといてやるよ」




……は?世話?世話って何!?

ちょっと、私をどうする気なの!?



ハイジは周囲に誰もいないか確認すると、腰を屈めて私の耳元に顔を寄せた。



わ、近すぎて変にドキドキしてしまうじゃんか……!



「ジローちゃんはな、女嫌いなんだ。それもハンパねえよ、スジガネ入りだ。天敵なんだよ、女はな」


「えっ、あ、あんな綺麗な男の人なのに!?とてつもなくモテるでしょう!?」


「ああ、うじゃうじゃ女が寄ってきやがる。だからそーいう女をジローちゃんに近づけねえために、俺達が気をそらさせてんだよ。わざわざ女に言い寄ってよォ。めんどくせえったらねーよ。ま、ケイジは楽しんでるみたいだけどな」


「へ、へぇ……」



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