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現れたのは……サラサラの明るい茶色の髪に、丁寧にメイクされた華やかな顔の女子。
私からすれば、ちょっとスカート短すぎじゃない?なんて思ってしまうギャルな女の子。
私はこの子を知っている。
同じ学年の、本城咲妃。
いつもやたら派手な集団の、真ん中にいる子だった。
「なん、で……本城さんがいるの?」
声が震える。鼓動が速くなる。さっきからズキズキ、胸が痛い。
ほんとは何となく、気づいてるのに。
「なんでって?花鳥さんが大輔を呼び出したって聞いたから、面白そうだな~ってついてきちゃった。そしたらやっぱ告ったしさ〜思ったとおりだよ」
「あんま笑うなよ、かわいそーじゃん」
大輔っていうのは田川く……いや、田川の名前。
もはや呼び捨てだお前は!
クスクス二人していやらしい笑いを零しながら、私を見ている。
滑稽だと思っているんだろう。バカだ、って。
「もう行こうぜ、咲妃」
「うん!じゃーね。もう人の彼氏に手出さないでよね。ま、あんたじゃ相手にされないだろうけど」
「何当たり前のこと言ってんだよ、興味もわかねーって」
なるほどね、田川と本城さん……付き合ってたんだ。
そんなことも私、知らなかったんだ。
なのに告白したりして……ほんとバカじゃん。
一人で勝手に盛り上がって、昨日なんか全然寝られなくて。
……惨めだなぁ、私。
ドアの向こうに消えていく二人の後ろ姿が、涙でぼやけていた。
失恋も失恋、大失恋だよ。
吹き抜けていく風が、私の真っ黒な髪を揺らす。
なんだか、虚しかった。
もう、帰ろう。小春も待ってるだろうし。
何て言おうかな……。
「やっべ、俺すげえもん見ちまったか」
とぼとぼ歩き出した私の足を、止めさせたのは──
突然頭の上から降ってきた、楽しそうな誰かの声。
数秒考え込んでしまったものの、私はそっちに顔を上げた。
「ずいぶんひでえフラれ方したな、おねーさん!どうだ今の気分は」
どうやら屋上にいたのは、三人だけではなかったらしい。
出っ張りの上から顔を覗かせて、ニヤニヤしているこの男。
髪の毛が……み、緑だ!!
初めて見た。緑色に髪染めてる人。
っていうか、いつからいたの!?
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、緑頭は出っ張りの上から飛び降りて、私の方へ近づいてきた。
ダラしなく腰で穿かれたズボン。耳には沢山のピアス。はだけた胸元。
こんなにも制服を着崩せるのも、ある意味すごい。
そして無造作に立てられた、鮮やかな緑の髪。
顔は……意外にも整っていた。
キレイな二重の目も高い鼻筋も、涼しげな口元も。私にはないものだ。
紛れもなく、イケメンだった。
それに身長もけっこう高くて、180はあるんじゃないかと思った。
派手な外見といい体格の良さといい、圧がすごい。
「の、覗いてたの?」
「あ?俺はおねーさん達が来る前から、ずっとここにいたっての」
「は、はぁ……」
ということはですね、一部始終見られてたってことですよね!!?
人生最悪の日だ。くそっ、占い当たってないし!!
もーやだ……。神様はどこまで意地悪なんだろう。
あんなふうにフラれて、そのうえ見知らぬ人にまで見られてたなんて!
「ま~、今どき珍しいわなぁ。髪は真っ黒、スカートも長えし。色気ゼロだしなぁ。顔は……さっきの野郎が言うほどブスじゃねえよ、気にすんな」
私の足先から頭のてっぺんまでじろじろ観察すると、「ぎゃはは!」と下品に笑う緑頭。
すっごいムカつく。




