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一口食べてみると、本当に美味しくて。



深みのあるダシがしっかり染みこんでて、正直お母さんが作るすき焼きの何倍も美味しくてめちゃくちゃ驚いた。



「飛野さん……上手なんですね、お料理。すっごく美味しいです!!」


「大したことねーよ」


「そりゃな~。日本料理界じゃ名の知れた、一流料亭の跡取り息子だもんなぁ。料理の腕前はプロ級だよな、若大将」



からかいたげな目つきで、飛野さんを見やるタイガ。



え……?


手にしているお箸の間から、椎茸がぽろりと落ちた。



そう、なの?


飛野さんのおうちって、料亭だったの!?しかも跡取り息子って!!



「そーいうお前も、高級老舗旅館の跡継ぎじゃねーか。若ダンナ」



まるでお返しといわんばかりに、ニコリと笑って説明ちっくに語る飛野さん。



……うそ。


高級旅館の跡継ぎ?タイガが!?

このちゃらんぽらん男が!?


タイガもお坊ちゃんなの!?


こ、この人達……不良を装って、セレブじゃんか!!



ジローさんもお金持ちだし!!




開いた口がふさがらない。


世界が違うとは思っていたけど、またまた別な世界にいる人達だった。



私、そんなスゴイ人達と同じ学校だったなんて……しかもお知り合いになるなんて……。


セレブなのに、なんで不良やってるんだろ……。



軽いショックを受けて、ぼーっと遠くを見つめていた。



隣でジローさんは黙々と、すき焼きを食べていた。



あれ、そういえば。



「太郎さんは、晩ご飯一緒に食べないんですか?」



もうほとんど残ってないけど……。



「あの人は忙しいからな。外で軽く食ってくるって。もう帰ってくんじゃねーかな」



飛野さんがそう教えてくれた。



そっか……そんなに忙しい人なんだ。私と会う時間なんて、あるのかな。



その時、部屋のドアが開く音がした。




「ワリィ、遅くなった」




ほんの少しだけ息を切らしながら入ってきた、男の人。




──直感した。




この人だ……ジローさんの、お兄さん。






想像力を膨らまして、持てる情報のありったけを駆使して思い描いていた。



ジローさんの、お兄さん。


キングオブキングの称号を手にする、どエライお方。



さぞかしその見た目も(きら)びやかなんだろうと、ドキドキしていたのに。




なんてことはない。


黒髪で黒のオシャレなスーツに身を包む、落ち着いた雰囲気の男の人だった。



ただ黒髪とはいっても、たぶん昔染めすぎて傷んだのか、完全な黒じゃなかった。焦げ茶っぽい色が所々混じってる。



短めの髪を後ろに流し、前髪を一筋だけ垂らしている。



肌は少し焼けて、健康的な色。アゴヒゲなんかも生えてる。


さらに頬には、斜めに古傷があった。

まるで、鋭利な刃物で切られたような、傷。



目がジローさんに似てる。

切れ長で二重の、綺麗な目。


鷹のような、鋭い目。



鼻筋だって通ってて高くて、眉も上向きで凛々しくて。



期待を裏切らない、美形なお兄さんだった。




ただ……ジローさんとはまた、タイプが違う。



中性的なジローさんに比べて、太郎さんはとてもワイルド。


整った顔をしていながらも、男らしさが全面に押し出されていた。


ジローさんと同じくらい長身で、スーツ越しでも体格のたくましさが伝わる。



それにしても……外見なんか、問題じゃない。


ジローさん達カラフルヤンキー軍団はド派手で目立つけど、この人はどちらかといえば控えめ。




なのに──



“白鷹太郎”という人の存在感は、半端じゃない。



ただそこにいるだけで、圧迫される。


凡人なんかとは格が違いすぎる“別格”のオーラに、ごくりと唾を飲み込んだ。





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