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「お前にはムラムラしねえって言っただろ」




ちょっと、何……!?なんなの!?




「つーかよォ、お前パンツまでカワイイくまさんが描いてあんじゃねーか。小学生で卒業しろよ、そんなお子ちゃまパンツはよ」




パンツ……



うわっ、見えてる!!!



めくれ上がりすぎたスカートのせいで、私はハイジの目の前にくまさんパンツを露出してしまっていた。


慌ててスカートを元通りにして、がばりと起きあがる。




「お前よ……今の状況、もし俺じゃなかったらどうなってたと思う。確実にヤられてんぞ」




ヤンキー座りで私と目線を合わせると、ハイジはちょっぴり顔つきを厳しくした。




「たとえお前がキューピーちゃん体型だろうがくまちゃんパンツだろうが、サカるヤツはサカるし関係ねえんだよ。男ってのはそーいうもんだ。女だったら誰とでもヤれる」




私はさっきの余韻で、ハイジに威勢よく噛みついていくこともできず。


じっとコイツの話に、耳を傾けるだけ。



それに、ハイジの態度に悪意は感じられなかったから。




「俺らみてえなのばっかじゃねえ、平気で女を襲うヤツなんざ世の中腐るほどいんだよ。もっと男に警戒心持て。のこのこヤロウばっかの家にあがんな。よく知りもしねえ車に、乗ったりもすんなよ」




……それが言いたかったの?



だからわざとあんなこと、したの?



私に、男への“警戒心”を植えつけるために?




「……ま、この家は安全だけどな。俺も、ももちゃん襲うほど女に飢えてねえし?」




またニタリと目障りな笑顔になるハイジ。


そんなムカつく笑顔だって、今だけはそのままでいてほしかった。



それぐらいに、私はさっきの出来事に衝撃を受けていた。




「覚えとけよ、俺の言ったこと」




しゅんとなった私の頭をぽんぽんと軽く叩くと、ハイジは腰を上げて部屋から出て行った。



私を一人、置き去りにして。



ヤツが背中を向けた瞬間──私はその背中に、違和感を抱いた。



出て行くときに一瞬だけ見えた、火傷のような跡。

左肩から背中にかけて、背中の左上半分の皮膚がただれていた。



その傷から、目を逸らすことができなかった。




それからしばらくは放心状態で、私は座り込んだまま和室にいた。


ハイジの言わんとしてたことは、わかった。



でもあそこまでやる必要あるの?やりすぎじゃない?


あ、あんなとこ触ったりして……!!



本当に怖かった。

警戒心通り越して、危うくトラウマになるとこだったじゃん。



けれど……それすらもハイジは見抜いてたのかもしれない。


どこまでが許される範囲か。


どこまでだったら、傷を残さないか。



身をもって覚えさせられた、っていうことなのかな。



しっかり体に染みついちゃったし。


男が“そういう”生き物だってこと。



確かにヤツの言うとおり、男っていったらジローさんを始めとする白鷹ファミリーとしか接してないし、それが私の中の“男”の認識の全てだった。


それが、甘いっていうことなんだろう。



何よりも、ジローさんが危険な人じゃないから。


いや、まあ色んな意味で手は出されているけども。




「タマ、何してるんだ」




ぼんやりと和室に座って考え込んでいると、開け放されたドアからジローさんが姿を見せた。



私がこんなとこで一人でいることを不自然に思ったのか、心配そうに近寄ってきた。




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