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目の前に晒けだされた男の体に、免疫なさすぎて直視できない。
けど、ちょっとだけチラ見してたりもする。
別に運動系の部活やってるわけでもないのに、ハイジの体は筋肉で引き締まっていた。
腕とか胸板とか意外にも逞しくて、腹筋だって割れてて。
まさかケンカで鍛えてんの!?とか恐ろしくなったりして。
そんな私の視線に気づいたのか、ガシガシと頭をタオルで拭いていたハイジがにやりと笑った。
「エロい目で俺のカラダ見ないでくれる~?ももちゃんのえっち!」
「っ!!み、見てないし!バカじゃないの!?」
動揺しちゃダメだ。焦っちゃダメだ。
私、別にエロ目でヤツの体なんか見てないんだから、堂々としてたらいいのよ!
……なのに。
顔が真っ赤っかな私は、説得力ないんだろうな……。
「なぁ……ココ、男しかいねえんだけど」
「……へ?……知ってる、けど……」
急に、そんなことをハイジが言い出した。
低くなった、声。
顔からもいやらしい笑みが、消えていった。
不穏な瞳だけが、そこにはあった。
突然真顔になったハイジについさっきまでフザけていた空気なんかなくって、戸惑いが隠せない。
「お前わかっててあがったのかよ、この家に」
「そうだけど……な、何よ、何が言いたいのよ」
ハイジの濡れた髪の毛の先から、ぽたりと雫が落ちる。
首筋を伝い、鎖骨へと流れていくその様が……妙に色っぽくて。
しんとした廊下と、淡いオレンジ色の照明が、この男のどこか危うい魅力を際立てる。
なんか……変だ。
いつものハイジじゃない。
私を見下ろすその目が、獣みたいだと思った。
アブナイ気配が、渦巻き始める。
コイツから離れたほうがいいんじゃないかって、距離を取ろうとしたのと──同時だった。
「油断しすぎなんだよ」
一言私に囁きかけると、ハイジはいきなり私の腕を引っ張り……
近くの部屋に、強引に連れ込んだ。
一瞬のことで、抵抗なんて文字すら浮かばなくて。何が起きたのかわからなかった。
連れ込まれた先は、誰も使ってないと思われる畳敷きの和室。
混乱しているうちにぐるりと視界が反転して、目に映るのは天井。
ううん、それよりももっと近くに迫るのは……影に覆われたハイジの顔。
背中に感じる、畳の硬い感触。
気づいた時には私は、ハイジに押し倒されていた。




