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みちくさ

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作者: 斎木伯彦

※尚、当該ページにおきましては、特定の個人団体や関係者を誹謗中傷する意図は全くありません。関係者等が『侮辱』『中傷』とお受け取りになるとすれば、残念です。

 秋田県が配布した、高校生向けの教育資料に対して、ネット上で批判が集中したそうです。

 内容としては、女性の出産適齢期に関した資料で、三十五歳を「熟女」と表現し、五十歳では閉経ならぬ「閉店」と表現しておりました。

 的確過ぎて私も笑ってしまったのですが、世の女性の中には逆鱗に触れてしまった方もおられたようです。

 怒りの大半は年齢に関する内容と思いますので、年齢区分について考察してみましょう。

 以前にも年齢に関する内容を上梓しましたが、改めて掲載します。


幼年 十歳未満

少年 十代

志学 十五歳

弱冠 二十歳

青年 二十代

而立 三十歳

壮年 三十代

不惑 四十歳

初老 四十歳

知命 五十歳

中老 五十歳

耳順 六十歳

下寿 六十歳

従心 七十歳

古希 七十歳

中寿 八十歳

耄  八十代

上寿 百歳


 幼年でも七歳未満は悼とも表記しますが、我が国の法令では新生児、乳児、幼児、未就学児と更に細分化されています。

 小学校入学時点では幼年であった者も、四年生になる頃には少年少女へと成長します。我が国の法令上は小学生を「児童」、中高生を「生徒」、高等専門学校生と大学生は「学生」になります。ですので「女児」とは小学生以下を指し、「女子」は女児を含む未成年者を指します。

 志学とは儒教では孔子が学問を志した時期として重視しており、我が国でも元服や立志式などで区切りを設ける時期です。法令でも中学校を卒業して義務教育期間を終え、勤労しても良い年代です。

 現代の法令では十八歳を成人として認める年齢にしておりますが、かつては二十歳が成人でした。これは古代中国の伝統に則り加冠の儀式を行う二十歳前後を成人と重ねていた風習に由来しています。ですので二十歳を弱冠とも表現します。

 加冠を終えると少年ではなくなり、青年に達します。

 そして孔子が「三十而立」と表現したように、男子は三十歳で一人前、壮年となります。

 この壮年が大きな年齢区分では中年に当たります。

 四十歳は初老として、老年に近付きます。

 中老である五十歳からは老年で、隠居を考えるような年代です。

 こうした古代中国の年齢区分の考えとは別に、西洋占星術では各年代に応じた主要天体の割り当てが考案されています。

 それぞれ動きの速い天体から割り振られ、


月  およそ七歳頃まで

水星 十五歳頃まで

金星 二十四歳頃まで

太陽 三十五歳頃まで

火星 四十五歳頃まで

木星 五十五歳頃まで

土星 五十五歳以降


となりますが、個々人で天体の影響が変化しますので、おおよその平均値を示すに留まります。


 こうして東西の年齢に関する考えを俯瞰すると、三十代、特に三十五歳以降は完全に中年の「オジサン・オバサン」ですね。

 水星や金星は天文でも地球よりも太陽に近い内惑星であり、地球からの観測上は太陽の周辺を往来しながら、太陽と同じように一年で黄道上を一周します。

 火星以遠の惑星は、黄道上を一周するのに一年以上を必要とします。

 若い頃の時間が早く過ぎるように感じるのは、こうした惑星の動きと何らかの関連があるのかもしれません。


 さて、我が国では「熟年」という表現があります。

 これは高齢化社会を迎えて、古来の「老年」がしっくり来ないとする声に応えて中老当たりを指す言葉として使われるようです。

 法令上は七十五歳以降を後期高齢者とされていますので、還暦以後の高齢者を「熟年」とするようですね。

 特に定年退職後に離婚すると「熟年離婚」と表現されますから、世間的には六十代という認識かもしれません。

 一方で「熟女」の定義は三十代から五十代の成熟した女性を指すようです。

 ですから秋田県が発行している冊子で三十五歳の女性を「熟女」としているのは、何ら問題ありません。

 もしかすると批判している方々は三十代女性を「成熟していない子供」と思っている失礼な方かもしれません。

 医学的にも三十代での出産は母子共に危険を伴いますので、三十五歳以上で初産を迎える状況を「高齢出産」と位置づけています。

 高校生に正しい出産適齢期を教育することは、母子の健康を保ち、健やかな成長を願う上で重要な事項です。

 高齢出産による身体への負荷を考慮し、その後の子育てに必要な体力等を考慮するならば、二十代での出産と育児は適切かつ安全な方針です。私の曾祖母は四十代で祖父を出産したと聞いていますが、その上には夭折した大伯父が二人いたらしく、若くして出産していると身体が慣れていて高齢出産にも耐えられるようです。曾祖母は八十歳を過ぎて地震で倒壊した家屋の下敷きになって死去しました。


 女性の社会進出が拡充され、育児休暇や出産休暇等の優遇制度が浸透して来たからこそ、女性の身体的負担を軽減し、精神的にも安定を図るよう、若年層での婚姻や出産を推奨する政策は時宜に適っております。

 就職氷河期世代の婚姻と出産を諦め、若年層への手厚い補助や助成を実施するのは少子化対策の一手としては正しい選択です。

 しかし就職氷河期世代の社会的な切り捨ては、世代の対立を生み出して混乱を招くだけです。

 就職氷河期世代に対しては金銭での補填を行い、若年層の賃金を上回る収入を確約しなければ技術や知識の承継が断絶し社会的損失は計り知れません。

 むしろ斬り棄てるべきは少子化を招いたおかしな言動を振りまく人士であり、それらを助長する組織や団体です。

 そのような組織や団体、個人に対しては厳罰を課し、資産没収等を通じて就職氷河期世代への補填を実施するのが良いでしょう。

 国の衰退を招いた売国奴は、強制労働をさせてでも損失補填させなければなりません。

 被害者である就職氷河期世代は、売国奴によって婚姻や育児を奪われた現実を後世に伝える生きた教材でもあります。

 秋田県が配布した教育資料には、そうした「生の声」を追記しても良いでしょう。

 教訓とは失敗からしか得られないのですから。

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