ブルドーザー
いつものように帰宅部の俺とたかしは港を何をするともなくうろついていた。
帰宅部っつってもうちの高校はクラブ必修、ってわけで伝統芸能研究会と言う名の、実際には活動してない帰宅部に入っていた。
で、港をぶらついてるとたかしが海と反対の方向を指差した。
「石炭じゃね?」
たかしの指差した方向に、確かに石炭が山のように積んである。
「あれ、火つけたら燃えんのかね」と俺が言うとたかしのやつ、何やら肩にかけたかばんから何か取り出した。
爆竹である。
「へっ、これ、あの山に突っ込んで爆発させたら石炭に火がつくんじゃないの?」と、たかしは山の方へ近づいて行った。そして、爆竹の束を石炭に突っ込み、火を付けた。
3秒もたたないうち、爆竹は「パンパンパンパン!!」と破裂音を鳴らした。
「おもしれー。俺もやる」と俺はたかしに爆竹を分けてもらい石炭の山で爆竹を炸裂させた。
「あは、こりゃいいね。でも石炭燃えないねえ」ってたかしが言うんで俺、「爆竹まとめて全部入れちゃえばいいんじゃねーの」とアドバイスしてやった。たかしは俺の貴重なアドバイスを実行しようと爆竹をセッティングしてると、「ガーッ」と轟音が後ろから聞こえたので思わず振り向いた。
ブルドーザーがこちらに向かって来てる!それもシャベル、と言うのか前に付いてる腕みたいなのを振り上げて。その姿はおれに威嚇するアメリカザリガニを連想させた。
運転手であるおっさんは「おめえらどこの学校だー!」と怒り狂っている。
俺達は一目散に逃げようとした。その時である。たかしが仕掛けた爆竹がすごい勢いで破裂し、その火力で石炭に火が着いてまたたく間に石炭の山が大炎上してしまった。ブルドーザーは何を血迷ったか、そこに突入してしまった。そして石炭の山、「どかがかーん」と大爆発してしまった。
「おっさん助けなきゃ」と俺達は山に近づこうとしたが熱くて近寄れない。
と、思ったら火の中から二足歩行のロボットのようなものが現れた。
俺の推測ではブルドーザーが危機に際し変形、ロボットになってしまったようだ。
「おめえらぶっ殺す!」操縦席のおっさんは鬼の形相、俺達が逃げ出したのは言うまでもない。
(おわり)