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四、魔王と思われた何か


「きたか。」


玉座から声が響く。少し低い女性の声だ。

リンカーラは一度魔法を解いた。それに続きリョースゲイルも香水をしまう。



赤を基調とした部屋は広く大きな窓を左右対称に二枚ずつ配置しある。

玉座上には屋根付きのカーテン、同色のカーペットが玉座のしたから階段に伸び、下の広間で円形に広がっている。

魔王を強調させる間取り。そこに威厳を出すように椅子に肘をつき、足を組む魔王。

心なしか快晴の空にも暗雲が現れたように感じる。



それでもリンカーラ・モルタリアは揺るがない。

「私の名前はリンカーラ・モルタリア。隣はリョースゲイル・イタクキャーよ。よろしくお願いするわ。」

魔王を見つめ口角を上げて話す。その一方で目は少し挑発しているようにも見える。

リョースゲイルもあいさつに合わせ一礼するが片手は彼の背中、大鎌に触れている。


「そうか、そうか、ならば名のろう!」

と魔王は立ち上がった。

「我が名はリスビル・ユーリンダレム。誇り高き魔王の一人だ!」

桃色の髪、真紅のドレス、そして緑の目と尖った角。

彼女、リスビル・ユーリンダレムこそこの海王魔国を統べる魔王だ。

「空気の変わりようをこんな肌で感じれるなんて、流石の威厳ね。」

これにはリンカーラも驚きを隠せない。

魔王はリンカーラと目を合わせ口を開いた。

「さて、自己紹介も終わったし確認したいことがある。」

「そうね、私も聞きたいことがあるわ。」



「「師匠はどこだ。」」




沈黙。

二人の質問が重なったからだろう。

お互いの顔を見て驚いている。

「どういうことだ。」

最初に口を開いたのはリョースゲイルだった。

「ちょっと喋っていいなんて言ってないわよ。」

「喋っていけないなんて聞いてない。」

リンカーラの文句を軽く流し一歩前に出る。

「今回俺たちがここに来たのは師匠に会うためだ。これを見ろ。」

リョースゲイルは師匠からの手紙をリスビルに投げる。

それを受け取りリスビルは中を開いた。

「偽物、ではなさそうだな。間違いなく師匠の字だ。」

彼女は手紙を優しく触った。

「そこに書いてある通り師匠は魔王城にいると書いてある。あとはわかるだろう?」

魔王はため息をつき玉座に座った。

手すりに片肘をつきその手に顎を乗せ考える。

「言いたいことはわかる。ただ、」


「我にもわからないのだ。」


「「は?」」

二人の声が重なる。

リスビルは苦い顔で続ける。

「あぁわかる、明らかに怪しいだろう?でもわからないのだ。我が八つの時に姿を消して……。」

そこで話が切れてしまった。

試しにとリンカーラが師匠クイズを出してみたが全問正解。

別の人の話をしているという可能性も無くなった。

「一度すり合わせが必要ね。」



リンカーラたちの師匠は男女二人組だ。

突如世界に現れ滅亡しかけた紅宝国ルビアータを救い、『大賢者』なんて称号を得た、らしい。 

というもリンカーラの父親が十何歳くらいの頃の出来事なので本人もよく知らない。

リンカーラが生まれた後、リョースゲイルともう一人の三人に様々なことを教えてきた二人。

ただある事件を境に大賢者はリンカーラたちの元を離れた。


「それが私が八年前のこと。」

「ちょうど我の目の前に現れたのと同じ時期だ。」

そこから一年ほどリスビルはお世話になったそう。

だけど大賢者の二人はまた姿を消した。

一通の手紙、

「つまりこれを残して。」

リスビルは力無く頷く。




「これはパパに要相談ね。リョースゲイル。」

「頼まれた。」

リスビルはポカンとした顔で二人を見つめる。

「怪しがって、戦うかと思った。」

「そんな憶測で戦おうとするほど野蛮じゃないわよ?」

「や、リンカーラは野蛮だろ。」

「ん?」

笑顔(圧力)でリョースゲイルを見るリンカーラと同タイミングで完璧に顔を逸らしたリョースゲイル。

その動作に思わず

「ぶっ、は。」

リスビルは笑い出してしまった。

リンカーラたちは無自覚なので彼女が何に吹き出したかわからない。

ただ威厳のあった魔王は少女のような笑顔でずっと笑っていた。


「はー、笑った。こんなに笑ったのは久しぶりだ。」

リスビルが落ち着いたのは数分経ってからだった。

張り詰めた空気もいつのまにかなくなり、窓から見える空も快晴に戻っている。

リスビルは一息つき立ち上がった。

階段を降りリンカーラたちの前に立つ。


「まだお互い信頼し合えるまではいってないと思うが、ひとまず我は良い関係を築きたい。これからよろしく頼む。」


そうしてリスビルはリンカーラの手を差し出した。


リスビルは嘘をついていない。

リンカーラ側にはその証明がない以上リスビルを同じ師を持つ者と断定はできない。

しかしリスビルが嘘をついてない場合、リスビルから見ると今同じ師を持つ者同士初めての会合でなる。

同じ師匠の弟子、と言うだけで信頼できると言うことにはリンカーラも頷ける。故に

「一週間後良好な関係を築けていることを祈るわ。」

「一週間で調べ上げてこいと?」

リスビルの手を取りひとまず敵対するつもりはない、と表明したリンカーラ。

と横で文句を言うリョースゲイル。

一件落着、とまではいかなくても悪い結果にはならなそうだ。


「ところで……、さっきから痛いんだけど?」

握手をして数分経った。しかしリスビルは笑顔でリンカーラの手を掴んでいる。

「なあ、リンカーラ。調べがつくまで一週間だったか?その間暇か?暇だよな?」

「ちょっと?」

心なしか笑顔が怒りに見える。

流石のリンカーラもこれにはたじたじである。

「報告によると窓ガラスを割って侵入したそうだなぁ?それにこっちは部下を眠らされてるんだ?」

「えぇっと……。」

「師匠と我に会いに来ると言う目的も達成されたし、今度は修繕費を払わなければな?」

リンカーラたちのプランといえば、師匠とリスビルにあってまた色々と教えてもらう予定だった。

そのために国から出たようなものだ。

「じゃ、俺は国王に会うため紅宝国ルビアータに帰るんで、頑張ってー。」

「ちょ?リョースゲイル?リョースゲイル!私お金持ってない!」

リョースゲイル、逃走。

まあこれに関してはリンカーラが百悪い。

リンカーラはリョースゲイルを追おうとしたがリスビルは手を離さないし王女じゃないんだから自分の責任くらい自分で果たさなければ。

「じゃあぜひその魔法の才を働かせて海王魔国に貢献してくれ!」

「あーもう!……しばらくお世話になりまーす!!」

「うむ!よろしくな!」

こうしてリンカーラは負けた。

魔王の笑顔はやはり一人の少女のように見えた。


リンカーラ魔王の部下に就任。



魔王のような一人の少女



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