毒呻く奇賊
昼前には三人はその村に着いた。
「旅人さんですか。珍しい」
「今夜寝る場所を借りたいのですが」
「かまいませんよ。歓迎します」
村人は快く三人の旅人を迎え入れた。
「旅人さん。旅のお話を聞かせてくれませんか」
「お昼はいかがですか」
「大丈夫です」
「どのくらい旅を?」
「一年と少しになりますね」
「この三人でカノセを出て、この大陸のどこかで暮らしてみようと思ったんです」
「ではいずれはどこかに?」
「そのつもりです」
「ここは不便じゃないですか?町からは遠いですし」
「そうかもしれませんね」
「ここにくるまでも大変だったでしょう?」
「そうですね。ここ二日は野宿でしたよ」
「まあ」
「はは。とはいってももう慣れたもんですよ。このあたりはそこらじゅうにファゾンがあるのでよほどのことがなければ魔物には困りませんし」
「あちらの城は見ましたか?」
「みましたよ。壁の層の作り方が古い型のものだったな。このあたりではよくあるんですか」
「お詳しいですね。あれは大陸東側でも一際古い時代のものだと言われています。あれのほかはありませんよ」
会話が途切れたころ、ショウが村人たちに訊いた。
「そういえば、門の近くにあったあの立て札はなんですか?張り紙になにか印が書いてあった」
その瞬間、周囲の村人たちの顔色がさっと変わった。
様子を見に行った一人が大急ぎで帰ってきた。
「あった」
村人たちは集まって相談を始めた。三人はただならぬ雰囲気を感じて黙ったまま待っていた。
すぐに村人たちは解散してあちこちに散らばって行きた。皆焦ってるみたい、とヘジーが呟き、二人は頷いた。
タロという名の村人が三人に近づいてきて言った。
「申し訳ありませんが今夜はこの村にはいられません。我々についてきてください」
「...なぜ?」
「張り紙があった日は、日暮れを過ぎてこの村にいてはいけないのです」
他の村人が集まってきた。タロは持ってきてもらった自分の分の荷物を受け取った。
「今は時間がありません。向こうで話します」
そう言って右手で山を示した。
山の反対側の中腹には簡単に柵で囲われた空間があった。柵の周囲には魔物除けのファゾンが点在していた。そこにある小さな建物と村人たちが運んできたもので、一晩は過ごせそうだった。
「安全は保証できませんが、あのまま村にいるよりはマシのはずです」
荷車から荷物を下ろし終えると、タロが三人に話し始めた。
ある朝、村の前に見知らぬ立て札が立てられていた。立て札には張り紙があった。
張り紙には、今夜から翌朝まで日が沈む間村から出ていろ、とあった。
今まで誰もこんな話は聞いたことがなかった。
村人たちは相談の末、手が離せない作業をしていた二人だけが残り、あとの者は野宿をしてその夜を過ごした。
次の日の朝、他の者が村に戻ると二人は死んでいた。それで、村人たちにできることは何もないことがわかった。
「これが去年の10月のことです。それ以来、我々は毎朝立て札を確認していました。今までに何度か同じようなことがあり、そのたびに我々は夜を別の場所で過ごしました」
この場所は野宿の安全を確保するために作られたと言う。張り紙が変わる頻度はばらばらで、数日しか空かなかったこともあり、一ヶ月ほど空いたこともあった。
「今回は油断していました。昨日が一ヶ月ぶりだったので、まさか二日連続で来るとは思っていませんでした」
昨日確かに剥がしたはずの張り紙が新しく張られていたのだと言った。
「旅人に関しては例がないのでわかりませんが、おそらく」
話を聞いた三人は顔を見合わせた。
夕日を背に、三人は村に向かっていた。
「どう?」
エザーが言葉を発したのは今朝村を見つけたとき以来だった。
「いったい誰が?それに目的が全く分かんない」
「そうだよね。目的が気になる」
二人の答えにエザーも頷いた。
気になることを無視できない三人は、村人の制止を断って村に戻ることにした。
「そうだな、余計なことはしない。何かあっても、あの村に迷惑はかけない」
「何かあると思うの?」
「さあ」
「危なければ逃げればいい」
「いつもみたいにね」
「ぎりぎり日が暮れる前には着けるかな」
翌朝村の門の下で三人が死んでいるのが見つかった。
命だけがなくなったような、傷のないきれいな三つの死体は近くの森に埋められた。
もとは本編のエピソード1の没。没になる前に死ぬことは決まってた。
死なせるなら先にいえと。造形と執筆が不仲なのはこういうところだな。急に思いつくからしかたない
入力中に候補で三人旅の一人乞食なんて言葉があることを知った
これ以上AIは進化する必要あるのかな。そろそろやめてもいんじゃないか。携帯電話なんて結構前からもう退化しかしてないのに