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8・始めてみなきゃわかんないよな。

翌朝。

のぉぉぉぉぉおおおお!!俺はどうしたらいいんだぁぁぁぁああああ!!

桜木さーん!!

今日こそは、いてくださぁぁぁいい!!

そう思いつつ、朝から中庭に直行する。

そこには木に触れている桜木さんが居た。

「桜木さんっ!」

桜木さんが俺を振り返った時、びっくりした。

体がかすかに透けているような気がして、今にも消えてしまいそうなところは前からあったけど、今日は一段とそれが強くて、思わず桜木さんの腕をつかんでいた。

何を引きとめようとしたのか分からないけど、引き止めるように桜木さんの腕を引いていた。

「朝から騒々しいわね、何?」

いつもどおりの口調だったので安心して手を放した。

「あ、えっと、俺、ホントもう、どうしていいかわかんなくて・・・・・・だから桜木さんに聞きたいんです。俺、女子に告白されて!!どうすれば良いかな・・・・・・。」

「どうしてそんなこと、私に聞くの?付き合えば良いじゃない。それなら少しだけ聞こえたし。彼女の言う通り私は幽霊なのんだから、どうすることも出来ない。違う?」

丸聞こえだったことをおくびにも出さずにしれっと答えた桜木の言葉に少し納得する滝野。

「でも、いいのか?友達だったからそういう対象としてみてこなくて、女友達と変わんないつもりで接してきた。俺は本気じゃないのに、付き合ったりして悪くないのか?」

「そんなの、始めてみなければ分からないでしょう?それとね、私、あなたにお願いがあるの。」

「桜木さんが?俺に?何?」

「ここにもうこないで。」

「え・・・・・・?」

な、何で俺は・・・・・・なんか、ずっとそばに居てくれると思ってたのに・・・・・・。

「摂理を守るためにはそうなるべき。そして、あなたは新しい彼女とうまく行き続けるためにも私は邪魔になる。お互いに不利なことはないと思うけど?」

「なんで・・・・・・そんなこと。」

「私にとってあなたは危険人物で、さらには邪魔な存在だから。」

「俺が嫌いってこと・・・・・・か?」

「そのとおり。」

俺の目を見て、真っすぐに顔をそらざずに桜木さんは笑った。

そっか。そーなのか。俺、邪魔だったのか。

「は・・・・・・ハハ。イヤァハハハ!!それは気付かなくてごめん。」

「本当に。」

一言の突込みがぐさりと胸に突き刺さる。

「分かった。俺、桜木さんに聞いてよかったよ!俺、挑戦してみるわ。じゃあ、さよなら。」

「さよなら。もう二度とここにこないでね。」

笑顔が痛い。

「わーった。」

お互いの笑顔がいたい。

何でだろう。

「菊谷。」

「え・・・・・・あ・・・・・・あう・・・・・・な、何?」

真っ赤な菊谷。

そうだよな。始めてみなきゃわかんない。

「俺、考えたんだ。でも、付き合うって良くわかんないから・・・・・・。」

そういいかけたら菊谷の顔が沈んだ。

「ばぁか、最後まで聞け。よくわかんないから不満ばっか言うなよ?」

「え・・・・・・それって?」

真っ赤な顔の菊谷が俺を見上げて涙目になってる。

「ああ、付きあお。」

「嬉しい・・・・・・。」

菊谷はいきなり泣き崩れた。

「菊谷っ!!」

「あ、あたし・・・・・・もう、絶対・・・・・・だめだと思った。それに滝野は桜木さんが好きなんだって。」

少しだけその言葉に動揺した。

「え?なんで俺が桜木さんを?」

「だって、不安だったぁ・・・・・・。」

弱々しく泣きじゃくる菊谷を俺は初めてみた。

仲良くなる前も菊谷は泣いては居なかった。

「心配にさせてごめん・・・・・・。」

「も、桜木さんとこ・・・・・・行かないで。」

『さよなら。もう二度とここにこないでね。』さっき言われたことが脳内にめぐり、びくりとする。

「な、なんで?」

「だって、あたし、あの人にかなうとこない・・・・・・スタイルも顔も、滝野の好みの性格も・・・・・・。」

そんなこと考えてたんだ?俺にはいつも菊谷が嫌がらせするために桜木さんから引き離そうとしてんのかと思った。

「桜木さんは桜木さん、菊谷は菊谷だろ。」

「・・・・・・ん。」

小さく頷いた菊谷。

そして昼休み、笑顔の菊谷が俺を訪ねた。

「滝野~!!ご飯、一緒にたべよぉ!!」

すると教室が一瞬静まり返り、すぐにでっかい声に包まれた。

「え、ええぇぇぇぇぇぇええええ!!」

クラスのほぼ全員が叫んだ。

「っせ・・・・・・。」

思わず耳をふさぐ。

「な、何?菊谷、あんた、ついに念願が!?」

「おい滝野!どーゆーことだよ!!」

「う、ウソだろ!滝野に彼女だぜ!女に興味ないんだと思ってたのに!!」

「いやー、滝野ぉ!俺たち童貞仲間だろぉ!!」

みんな興味津々の顔で近づいてくる。

と、そんな中、髪の毛をタコみたいに逆立てて怒りに燃えてるやつが俺のところに来た。

「たぁきぃのぉ・・・・・・?これはどぉゆぅことだぁ・・・・・・?」


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