3・濡・れ・衣だぁ!!
翌朝寝ぼけながら学校に早めにつくとどっからか本が急なカーブを描いて飛んできた。
「どわぁぁぁぁ!!」
俺は慌ててよけるともう一冊飛んできた。
それは振り向いた瞬間に顔面に直撃、鼻に食い込んで思わず悲鳴をあげた。
「いてぇぇぇぇぇえええ!!!」
「うっさいわね!バカ。いくら幽霊が綺麗で美人だからって相手は幽霊なのよ!?あんたなんか相手にするわけないじゃない!それに本気になったって後々泣くわよ!相手は幽霊なんだから!!」
なんか・・・・・・怒ってる・・・・・・?
「い・・・・・・何言ってんだよ!確かにあの人は綺麗だと思うよ!性格きついけど!!けどなんでそんなことお前に言われなきゃなんないんだよ!!」
「やっぱりよこしまなこと考えてたんじゃない!!滝野のバカァ!!」
さらに本がなだれてきて、俺は雪だるまならぬ本だるまになった。
そして菊谷はいなくなってて騒ぎを聞きつけた先生に見つかった。
「こらぁ!!本は大切にしなさぁい!!滝野君、片づけを速やかに済ましたら職員室に着なさい!!」
「お、俺!?ひっでぇっすよ先生!これは俺じゃなくて菊谷がぁ~!!」
「問答無用!!」
スッコーンとチョークが飛んできた。
「生徒虐待ー・・・・・・。」
大体今時チョークって。
どうなのねぇチョークって!!しかも思ったんだけど、みんなコントロール良くない!?なんで何でもかんでも真っすぐ俺の頭とかにあたんのかなぁ!?
まったく。
なんで俺が怒られなきゃなんないんだっつーの。
これもそれも菊谷が~!!
あー!!むしゃくしゃする!!
先生にこってり無罪の罪で絞られたあと、俺は教室に向かった。
「はよー。」
ぐったりしている俺を見るなり女子が俺を指差し驚く。
「きたぁあああ!!滝野が幽霊にさからっておきながら来たよ!!ありえない!英雄!?まさかこれから!?」
甲高い声を聞いて耳が痛くなる。
思わず両手で耳をふさぎ俺も叫んだ。
「うっせーな!!叫ぶなよっ!!」
「あっらぁ?滝野、いつの間にそんな口叩けるようになったのかなぁ、あんたは?」
いままで黙っていた女子が俺の前に立ちはだかり、ネクタイを引っつかむとでかい胸が俺の体に付きそうになりそうなくらい近づいてきた。
眼が・・・・・・目が光ってるよ!?これ、アニメなら赤くキラーンッて光ってる感じだよ!?
「う、梅原は何も言ってなかったじゃないかっ!!」
短いスカートでニーハイをはき、足を俺の足に絡ませる。
「ああん?てめぇ、忘れたのかぁ?女子には優しく、乱暴なことはしない!だろぉ?」
や、やばい。柔道5段、合気道もマスターしてる梅原 美月にはったおされるぅうう!!
大体乱暴なことしてんのはお前だ!!
「お、女の子?」
「ここにいるだろうがここに!!わかってんの!?」
こ、怖い!!怖すぎるっ!!
「は、はい・・・・・・。」
「よろしい。」
ぱっと俺から離れた梅原。
外見は大人しい感じで、スタイルは抜群。
けど、性格はご覧のとおり、最悪。
「ああん!?今てめぇあたしのこと見てなんか失礼なこと考えただろう!?」
「い、いえ!!めっそーもございません!!」
じりじり近寄ってくる梅原を必死で遠ざける。
とゆーか俺も逃げる。
「あっそう。その顔引き締めなおせよ。むかしっからなぁんか抜けた顔してんだから。」
って、ねぇ!それ俺のせいじゃないよね!!もともとがこんな顔なんだよね!?俺の顔に文句があんなら俺じゃなくて俺を生んだ親に言ってくれっ!!
「そりゃ、無理だろ!整形でもしない限り!」
「じゃぁ金ためて整形すんだな。がんばれよぉ?」
「ひどっ!!」
俺に顔の形を変えろってことですか?そうなんですか!?ねぇそうなんですかぁぁぁぁ!?
「・・・・・・そんなに俺の顔、ひでぇかな・・・・・・さきたん・・・・・・。」
崎田に寄りかかると崎田は俺を振り払った。
「きもいよ、くっつくな。まあ悪くないと思うけど。なかなかイケメンなほうじゃねぇ?それとさきたんやめろ。」
「まじ!?俺様いけてる!?」
「開き直りはやっ!!」
崎田に苦笑され、俺はニカッと笑った。
今日は、いるだろうか。
幽霊さん。
居なくても会えるまで会いに行くけどな。