28・興味でも趣味でもない
「桜木さん!」
なんか日に日に消えかけてる気がして俺は本当に急いで急いでいろんな方法を探した。
相変わらず桜木さんは居たり消えたりを繰り返してて、消えたら毎回あれが最後なんかじゃありませんようにと願う。
おかげで今宇宙分野の理科はテスト点が今までにないくらいにいい点を取ってて先生なんかもこっちに興味があるんじゃないか?なんていってる。
興味があるんじゃない。
趣味でもない。
俺はただ探してるだけだ。
今までの結果すべてを覆せるようなそんな方法を。
それだけなんだ。
バイトの休み時間も寝る暇も全部惜しんでいろんな方法を割り出すせいか、俺は学校で気を失った。
たぶん、寝不足だ。
保健室にはそっぽを向いた梅原が座っていた。
「ん・・・・・・梅原?」
「保健室、あんた倒れたから。」
「・・・・・・俺の顔見たくもないのに俺の看病してたのか?」
「か、看病なんてしてないわよっ!」
へぇ、そうですか、じゃぁその濡れてそうな手に握ったハンカチはなんですか?
しかも俺の目の周り濡れてるんだけど?ああでもなんか、お湯みたいな感じ・・・・・・。
「じゃあなんでいるんだよ。」
「し、心配しちゃ、悪いわけ?知ってるくせに。あたし、ずっと滝野が。」
「愛想をつかしたはずだろ。」
「しかたないでしょ!あたしだって嫌いになれるならなりたい!あんたのこと!今まで散々言ってきたし、散々嫌なところも見た!でもそう簡単に嫌いになれないから好きって言うんじゃないの!?恋って言うんじゃないの!?そんなにいうならあたしの恋を返せ!」
胸倉をつかまれた。
「またかよっ!お前、胸倉つかむ癖やめろ!!」
そのとき、胸の辺りに梅原の頭が落ちてきた。
「菊谷さんから聞いたよ・・・・・・あんた、伝説の幽霊が好きなんだって?」
「ああ、桜木さん?桜木さんは幽霊なんかじゃないけど、それが?」
「くやしいよ、幽霊なんかより、菊谷さんなんかよりあたしのほうがずっと滝野を好きでいる時間が長かったのに、あんたはあたしを見てもくれない。みんな新しい娘達があんたのこと奪ってくの。初カノは菊谷さんで、あんたの心を奪ってったのは幽霊。どうしてあたしもいるのに、あたしは振り向いてさえくれないの?」
「いや、だってお前、暴力的で怖いし・・・・・・。」
その瞬間梅原の顔が上がって俺は激しくゆすられた。
「あんたのせいでしょ!話しかけてるだけじゃあたしに気付いてくれないから!あたしだってできるなら可愛い女の子でいたかった!いたかったの!!なのに・・・・・・それじゃダメだった・・・・・・これは苦肉の策だったのよ・・・・・・。」
「うわぁ!!ごめんなさいごめんなさい!!・・・・・・おぇ・・・・・・気持ちわる・・・・・・。」
止まったと思うと梅原の頬に涙が伝っていた。
「・・・・・・梅原?」
梅原ははっとした顔で俺に背を向けた。
「ばっかみたい、いつまでこんな男に振り回されてるんだろ、あたし。もう、絶対・・・・・・泣かないって・・・・・・思ってた・・・・・・のに・・・・・・。」
そういいながら梅原は大泣きした。
俺はただどうしたらいいのか分からなくて、梅原が落ち着くまで頭を撫でてやった。
きっと少し前の桜木さんを失った昔の俺なら抱いてしまっていたのかもしれない。
しばらくして鼻をぐずらせながら梅原は言った。
「ちょっと、いつまで人の頭なでてんのよ・・・・・・あたしは子供じゃないっつーの。」
「ああ、ごめん。」
ぱっと手を離したとたんに怒られた。
「バカ!あんたそんなんだからダメなのよ!」
は?わけわかんねー!