表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/30

26・そんなはずない!

それからしばらくして俺は荒れて、女遊びが激しくなった。

もちろん表面上は昔に戻ったからこそたくさんの女を落とすことができた。

でも、どの女も消えそうなあの感覚はどこにもない。

存在感が溢れてて、桜木さんよりずっと自分を主張ているように思えた。

中庭にはたまに行くけどそこにはやっぱり桜木さんの姿はない。

そのまま半年が過ぎて、ある日中庭をチラリと見て驚いた。

座っている。

見覚えのある陰が。

うそだ・・・・・・そんなはずはない。

だって・・・・・・もう半年も・・・・・・!

「あん、もぉちょっとぉ!滝野!うちを置いてどこ行く気ぃ?」

「悪い、急いでるからどいて!」

すこし強引に押し切った。

中庭に出てみると、やっぱりいた。

見覚えのあるその姿は・・・・・・。

「桜木・・・・・・さん?」

その影は振り返って顔をしかめるとこういった。

「あなた、誰?」

「・・・・・・え?」

「冗談よ。滝野君。遊び人ですっかり有名になっちゃった滝野君でしょ?違う?私のことなんてすっかり忘れてるんだと思ったわ。」

「ウソだ・・・・・・だって、あの時・・・・・・桜木さんは・・・・・・。」

「ええ、消えたわ。こんなに長く消えたのは私もびっくりよ。」

むけられたかすかな笑みが、苦しくて俺は下を向いてしまった。

下を向いてから驚いた。

「桜木さん!足!!」

「・・・・・・ああ、まだ不確かな存在なのは変わらないし。それにあの時言ったでしょう?消えたら本当にそれが最後かもしれないって。でもやっぱり私は幽霊じゃなかったみたい。もしくは新しい未練ができたからとどまってるって言うのもあるかも。まぁどちらにせよ私は消えるわ。そろそろ。時間がないの。もう私には。さぁ、この手をとってくれるかしら?」

伸ばしかけた俺の手を見て桜木さんはこう続けた。

「いいの?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ