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10・うわ!すんません、すんません!!

「た・・・・・・き・・・・・・」

「苦しませてごめん、本当は、俺の中では大事だと思ったんだけど、心配させてばっかでごめん。もう、近づかないから。これ以上、苦しませないから、俺を嫌ってくれて良いよ。」

すると菊谷はついに崩れ落ちた。

それを支えようとした手を、一瞬戸惑ってから元に戻した。

そして図書室を後にした。

これなら、きっと菊谷の望む悪役になれるんじゃないかと思ったから。

ガラッと扉を出た先に、気まずそうな梅原が居た。

「また、お前か。梅原。」

「聞くつもり、なかったんだけど、本、返しに来たの・・・・・・。」

俺は深いため息をついた。

しかも梅原、本なんか読むんだ?

「胸が苦しくなるってこーゆーこと言うのか?こんな気持ちになるなら俺も菊谷のこと、本当にまんざらでもないどころか結構好きだったのかもな。」

「滝野・・・・・・も、もぉ~!!何落ち込んだ顔してんだよ!!やめろよな!あたしにもお前のしょんぼーい気持ちがうつるだろぉ!?」

いきなり笑い出した梅原、こいつはほんとに人を人ともおもわねーんだな。

すこしくらいほっとけよ。

「俺は細菌かよっ!!」

「お、お前がげんきねぇとあたしが調子狂うんだってぇの!!」

「元気か・・・・・・。」

「そっ!!」

いつにないバカ(ぢから)で肩を叩かれ、少しむせる。

「いってぇ・・・・・・ゲホゴホッ!!」

それから数日経って、俺は桜木さんに聞いてみたいことを聞けないまま、会う勇気もなくかすかに見える中庭のほうを眺めていると梅原が目の前に来た。

「菊谷さんのこと、そんなに好きだったのか?」

「わかんね。大切にしたいとは思ったんだけどな~。どーもうまくいかねぇ。」

「お前、最近女子とあんまり話さないじゃん?だから、菊谷さんのことそんなに落ち込んでんのかなぁって女子達言ってんのよ。」

「別に?」

すると梅原がぐぐっとよってきた。

「あたしがアンタを慰めてやろっか?」

梅原の谷間がちらちらとたまに除く。

「は?」

「だから、あたしが菊谷さんをあきらめるための新しい彼女になってやってもいいって言ってんの。」

「な、何言ってんだよ。」

目が泳いでしまう。

何を言い出すんだろうこいつは。

「大真面目よ。」

あまりにも近づいてくるのでうす紫色と紫色の総レースブラが少し見えていた。

思わず顔をそらした。

「バカじゃねーの?そんなの無理に決まってんだろ、お前に失礼だし、第一に俺は落ち込んでなんかねーよ!」

すると梅原は立ち上がったと思うと俺の胸倉をつかんだ。

「うわっ!!ウソですウソです!すんません!!」

「あたしの顔を見ろ!!」

思わず抵抗していたからだがぴたりととまる。

「え?」

顔を上げたら強い光を目に宿した梅原が居た。

「お前は本気で人を好きになったことがあんのか!?」

勇ましく勇敢な女。

「わ、わかんねーもんはわかんねーよ。」

梅原はため息をついて俺を突き飛ばすといった。

「ついてこい。」

「は?」

「ついてこい!!」

「は、はい!!」

わけ・・・・・・わかんねー。

ただ俺は言われるがままについていき、だんだんと人気のないところに入っていく梅原に疑問を持った。

「どこいくんだ?」

「ついてくればいい。」

こーゆー強制的なのは良くあることだからみんなあんま俺たちを気にしない。

気づいてるのは俺だけだ。

何かを強く決心した梅原は女戦士のようで勇ましく、勇敢に俺を導いていく。

可愛い系でスタイルのいい女戦士。

その姿は男の俺から見てもすごくかっこよくて、歩くたびになびく肩まである長めの髪の毛が綺麗で見とれてしまう。

何かを決断する人ってなんでこんなにかっこいいんだろう。

ついつい見とれてしまうほどに。

「よし、ここならいいな。」

「何がだよ?」

梅原はばっと真っ赤な顔で俺を振り返った。

「お前は本気で人を好きになったことはないのか!?」

「たぶん、ねーよ。」

「菊谷さんのことはどうなんだ!?」

「大切にはしたかった。何度言わせるんだ。」

「あ、あたしがお前の傷を癒してよやろうかと言ってるんだ。なのに何故断る?お前はあたしが嫌いか?」

「嫌いじゃねぇよ。」

すると梅原は微笑んで「やっぱり、菊谷さんのこと好きだったんじゃないか。」と言った。

「何でそうなる?」

「あたしが嫌いじゃないならあたしが良いって言ってるんだからあたしを利用すればいい。彼女にも言われてたじゃないか。最後くらい悪役になれと。あたしと付き合えば軽い男だと思って晴れて彼女の願いもかなうのにお前はそれをしない。それはお前が彼女に本当に心から嫌われることを恐れてるからじゃないのか?」


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