七話 殺意
僕は、自分の個室の自分のベッドで目を覚ました。
6時三十分。目覚まし時計は七時にセットしたはずなのに。昨日、早く寝たからだろう。
確かこの学校には、七時三十分から全員で朝食を取らなければいけない。
「あと、一時間の間どうして過ごそう。………学校探検でもしようかな。」
僕は、パジャマから制服に着替えて個室を出る。
[一階、クラスメイトの個室、音楽室、職員室、校長室。]
左から順番に個室職員室、校長室、音楽室。
近くにある校長室を開けようとしたが鍵がかかっている。そして、職員室では
先生が死にそうな顔をしてパソコンをカタカタしている。
最後に音楽室だ。この音楽室は二重扉になっていて、音漏れを防いでいるみたいだ。
一つ目の扉を開けた時、心地よいピヤノの音が聞こえた。なんの曲かも分からないのに、ずっと聞いていられる。
最後の扉を開けると、更に迫力のある心地よいメロディを田中君が弾いていた。
「名前通りだな。」
小さな声で喋ったはずだが、聞こえたのか田中君はピヤノを弾くのをやめて僕を見た。
「何?何か言った。」
「いやっ!何も。」
そう言い終わると田中君は立ち上がり音楽室を出ようとした。
「もう弾かなくていいの?」
「しらけた。」
やっぱりそっけない。昨日のことかな。
「いつもこの時間の時、ピヤノ弾いてるの。」
「う、うん。」
「じゃあ明日も来るね。田中くんの演奏好きだから。」
それを聞いた田中君は小走りで音楽室を出ていった。
決めた。まず最初に殺すのは、田中君からだ。
田中君がいなくなったのを確認して、音楽室を調べ始める。
周りを見渡すとトロフィーがある。コンクールに出たりしているはずないのにトロフィーが何十個も飾ってある。
音楽室を出て旧校舎に向かった。
[教室、体育館、コンピュータールーム、図書室。]
旧校舎は本館の一階からしか行けなく、旧校舎は一階しかない。
教室は別にいいとして、コンピュータールームと図書室を調べよう。
中に入っても特に目立つものはなかった。
その後、旧校舎から行ける体育館もトイレや倉庫、バスケットゴールぐらいしかない。僕は本館に戻り二階へ上がる。
[二階、理科室、図工室、保健室、家庭科室。]
まず、近くにあった理科室に入った。実験用具が沢山あるだけで、……よく見たら、毒物も沢山ある。何かに使えそうだな。
その他にも保健室や図工室を調べたが、ベッドやのこぎりがあるぐらいで成果はあまりなかった。
家庭科室に入ると目には入ったのは、沢山の食材だった。にんじん、キャベツ、大根、さつまいも、以外にもカレールーや白米、麺などもある。
家庭科室を出て階段を登ろうとしたとき、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
最初は何処から声が聞こえたのがどこかわからなかったが、少しかおを上げると本田君と少女?がいた。
その少女?は昨日、ぶつかっただけで名前を聞けなかった人だった。
「よぉ、シュウイチ。そういえばこいつがお前に自己紹介をしたいって。」
「ちょっ!言ってない。」
「まぁまぁ、名前ぐらい教えてあげなよ。」
それを聞いた少女?はすごく嫌な顔をして渋々僕に話かけた。
「春夏アユミ、以上。」
「えっ!終わり。」
「あんたと話して何になるの。」
地味に傷つくじゃなくて、全くこの人のことを知らないのは困る。
「わりぃー、こいつツンデレだから。」
「はっ!誰がツンデレ。キモい、キモい、キモい。」
多分、ツンしかないと思う。
「二人はこんな朝早くから何しているの?」
「筋トレだよ。」
二人は朝早くから筋トレか。もしかしたら殺人現場とか見られる可能性があるな。
「私は巻き込まれただけ。」
それから、少し本田君と話して三階へ上がった。
[三階、トレーニング場、食堂、物置き部屋。]
まず、トレーニグ場に入ったが、すごく汗臭い。周りを見れば使った形跡がある。本田君たちいつからトレーニグしてたんだろう。
すぐにトレーニング場がらでて、食堂に入った。朝食はあともうすぐだけど誰もいなかった。
特に調べることもないし、次行こう。
物置き部屋に入って中を見渡す。中は意外と広いし片付いている。少し先にはまた扉があるのがわかるが、鍵がかかっているため開けることができない。
それにしても、銃や刃物まで、ましてや使い方も分からない武器もある。
物置き部屋の捜索を終え、四階に行くため階段を登ったら、大きな扉と甘海君が見えた。
「何してるの?」
「最上さん!そちらこそ。」
「学校探検だよ。どこに何があるのか知っておかないと不便だからね。」
「でも、この先は屋上ですよ。」
屋上なら調べなくていいか。どうせ、鍵がかかっているし。
「最上さん。そろそろ朝食だから食堂に行きましょう。」
言われた通り、甘海君と一緒に食道に向かった。中に入ると全員揃っていた。それに、豪華な朝食まで用意してあった。
「ハハッ、おはよう、最上君。」
「おはよう。小苗、この朝食は誰が用意しているんだ。」
「確か、早朝に国からヘリで届くらしいよ。」
少し会話をし終わった後、みんなと一斉に食べ始めた。僕も食べ始め感動した、すごく美味しい。
この感動に浸っていると、先生が喋り始めた。
「みんな聞いてくれ。昨日の夜、教室の花瓶が割れていた。明らかに誰かが割った形跡がある、何か知っている人がいれば手を上げてくれ。」
すると、影くんが手を上げた。
「そうか。じゃあ、影は俺と職員室に来てくれ。」
僕には関係ないと思い、食べ進め何人か食べ終わろうとしてた時。
[ドォォォォォン!!!!]
学校の外から、物凄い爆発音が聞こえた。当然みんなは驚いていたが、僕含め全員が冷静を取り戻し、爆発音が聞こえた場所まで全員が向かった。
外に出て森を出た海辺のところまで煙がでている。
「先生!これなんですか。」
どうやら先生と影君が先についていたみたいだ。
「分からん。何かの小型ボートみたいだが。」
みんなが混乱している中、僕は誰よりも早く爆発した物が何か分かった。僕の唯一の帰るための手段、僕のボートだ。
周りが海だから火はすぐ消せたものの、僕の船は丸焦げで使い物にならなくなっていた。せいぜい分かるのは、船に付いているASTI団の紋章。
「ここは先生がやっとく、とりあえず、今日は授業は休みだ。」
それを聞き、学校に帰ようとする人たちを見て、僕も振り返るが違和感を覚えた。
それは、学校が四階まであることだ。甘海君が言うには三階までしかないはずだ。そういえば、何で甘海君はあそこにいたんだ。
丸焦げになった船を見つめている甘海君に話かけようとした時、甘海君がみんなに問いかけた。
「皆さん。ASTI団って知っていますか?」
なぜ知っているのか、なんて考える前に一つの感情が僕の中にあった。
こいつを殺さないと。
読んでいただきありがとう