一話 最上シュウイチ
月が綺麗な夜。僕は鉄格子から外を見ていた。
「寒い。」
多分、今は10月くらいだと思う。寒いのは当たり前だ。でも、実際のところカレンダーも時計もないので10月かはわからないけど。
この牢獄はエアコンはもちろんこたつなどもない。あるのは机に布団、トイレだけだ。
ちなみにここは刑務所じゃないのでちょっとした娯楽のテレビがある。
じゃあ、ここはどこなのかどいう疑問が生じる。ここはASTI団という闇の組織の監禁部屋だ。僕、最上シュウイチはここで約3年間は監禁されている。
僕が元ASTI団の一員ということもあり、割と生活はまともな方だ。朝昼晩とご飯か用意されているし、運動時間やシャーワーもある。
しばらくしてから僕は布団のシーツに身を包み瞳を閉じようどしたとき、監禁部屋の扉が開く音が聞こえた。
「おい。最上シュウイチ。ボスがお呼びだ。」
僕は組織のスーツを着た男二人組に挟まれ階段を一つ上がって少し離れた場所にある部屋に案内された。
中に入るとそこにはなにもないただただ薄暗い部屋が広がっていた。よく見ると、長方形の机にモニターがあるのが見えた。
「そこに座れ。」
言われるがまま僕は目の前の椅子に座った。すると、モニターに明かりがついた。
部屋が薄暗いと言うこともあり、すごく眩しい画面を目を細くして見る。
だけど、そこには誰も映ってないのにかすかに声が聞こえる。その声は3年前に聞いたことのある忘れたくても忘れることのない声、間違いなくこの組織のボスの声だ。
「最上君。聞こえているかな?一つ質問何だけど、君がなんでここで監禁されているか分かっているかい?」
「それは……僕が罪を犯したからです。」
「そう、正解。」
どうやら向こうにも声は届いているらしい。監視が二人いるし、モニターにはカメラが付いている。変な行動は取れないな。
「一応君もASTI団の一員だからずっと監禁する訳にはいかないから、君にミッションを一つあたえる。クリアできたらあのことは無かったことにしよう。」
「じゃ、じゃあ、シュカも開放してくれますか。」
「あー、もちろん。六条ヒナタのことは気の毒だけど生き残ったシュカは開放してやろう。」
僕は手に力を入れた。
「ミッションの内容はなんですか。」
「簡単だよ。ボクは世界地図にものってないすごく小さな島を見つけた。君はその島を僕の物にすればいい。」
「どういうことですか。」
「調べたところその島には学校しかなく、そこには10人程度が住んでいる。どうやらそこにいる人たちは親がいなく行くあてもない中高生が将来に希望がある人だけ国から莫大な大金をもらい、成人になるまでそこで暮らすらしい。で、僕の物にするにはそこにいる人たちがすごく邪魔だ。つまり、お前はそいつらを殺せ。転校生のフリをして。」
僕がずっと黙っていると、ボスが喋りだす。
「できるよな。」
声だけなのに心臓を圧迫されるような感覚。その生々しい声音に僕は[はい!]と、答えるしかできなかった。
ミッションを伝えられた後、僕は用意されてた小型の船に乗り島に向かった。どうやらここから島までそんなに遠くないらしい。
「必ず助けるからな。シュカ。」
夜の風が頬に当たる。
しばらくして、目的地ランドン島が見えた。
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