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第8話 目覚め

「ぎゃー!助けてくれ!」


リーリエが村に着くとそこには全身緑の生き物が村を襲っていた。


「あの生き物は何?あんな生き物見たことがない」


リーリエが息を切らしながら小さく言う。


「あれは多分ゴブリンだね」


着いてきていたサペンが答える。しかし山菜を採りに行ったりして魔物の姿は見たことがない。どこから来たのかがわからなかった。


「助けなきゃ」


リーリエは呟くとゴブリンに向かって走っていった。サペンも少し送れて向かっていった。

ゴブリンの数はざっと20匹くらいで、まだ村の奥には進行されていなかった。


「サペン、村の人達を奥まで連れていって!私がここで時間を稼ぐから!」


リーリエはゴブリンの恐怖より自分が育った村が無くなる方がよっぽど怖かった。楽しいことより嫌なことの方がたくさんあったが、そんなこと今は関係なかった。


「もし危なくなったら逃げるんだよ」

「大丈夫。私も死にたくはないから」


サペンはリーリエの覚悟を感じとり、指示にしたがうことにした。


「これ以上先には絶対にいかせない!」


ゴブリン達の前に立ちはだかった。


(魔法が効くかわからないけど、やってみるしかない!)


リーリエは魔法体勢に入った。


「いけ!ウォーターボール!」


リーリエの放ったウォーターボールはゴブリンに直撃し、吹き飛ばした。しかしすぐに立ち上がりまた歩いて襲いかかってきた。


(ウォーターボールじゃ倒すことができない。それなら、、、)


「ウォーテス・ブレッド!!」


リーリエの右手からウォーターボールより小さく鋭い水が一定の間隔で放たれ、ゴブリンの体を貫通させた。体を貫かれたゴブリン達は悲鳴をあげながら倒れていった。


(よしっ、これなら効果があるみたい)


リーリエはゴブリン達にウォーテス・ブレッドで攻撃を続け全滅をさせることができた。


(な、なんとかギリギリ魔力がもった、、、)


安堵からリーリエは地面に座り込んだ。そこへ村人の誘導が終わったサペンとリーリエが戦っていることを聞いたであろうアベクが心配そうに来た。


「リーリエ!大丈夫?!」

「なんとかギリギリ魔力もったよ」


リーリエは疲れながらも笑顔を頑張って作った。アベクはリーリエを抱き締めた。


「まったく無理をして。心配だったんだぞ。」

「ごめんなさい、、」


リーリエが謝った時だった、いつも山菜を採っている方から急に大きな足音が響いてきた。二人はすぐにその方向を見る。するとそこには、3メートル近くある巨大なゴブリンがいた。


「なんなんだあれは、、」

「サ、サペンもしかしてあれもゴブリン?」


アベクとリーリエは巨大なゴブリンを見て震えていた。


「見た目からしてそうだと思うけど、あんなに巨大なゴブリンは見たことも聞いたこともない」


驚いたようにサペンは答える。リーリエはそれを聞き立ち上がった。


「あと二回ならさっきの魔法も打てるからやってみる!」


その言葉を聞きサペンは心配そうにリーリエを見つめる。それに気がついたリーリエは


「大丈夫!さっきと変わらないならただ大きくなっただけで効果はあるはず!」


サペンを守るようにしてリーリエは巨大ゴブリンに向かって魔法で攻撃をした。


「ウォーテス・ブレッド!!」


リーリエから放たれた魔法は直撃した。しかし、巨大ゴブリンにこたえた様子は無く前進を続けた。


「うそ。どうしよう」


魔法が効かないことに動揺を隠せなかった。リーリエの普段の魔力量ではあと一発が限界なのをサペンは気がついた。そこで1つ提案をすることにした。


「あと一回しか打てないなら火の魔法を使うしかないよ!」


リーリエは無理そうな顔をしたが今のサペンは甘やかしてくれなかった。


「村の人達を守るんでしょ!そこまで巨大ゴブリンも来てるんだから怖がってる場合じゃないよ!」


一瞬悩んだが、サペンの言葉を信じることにした。リーリエの右手から火が出始め、それはどんどんと大きくなっていった。


「ファイヤーボール!!!」


魔法を放ったリーリエと近くにいたサペンとアベクは勢いで後ろに倒れた。ファイヤーボールは巨大ゴブリンに直撃をして苦しんでいる様子だった。


「お願いだから、これで倒れて、、」


倒れながら願うように巨大ゴブリンを見ていた。巨大ゴブリンは前屈みになり倒れた、、

かのように見えたが次の瞬間、空に向かって咆哮を出し炎を振り切った。


「えっ、私の魔法が、、」


リーリエは絶望を感じていた。それと同時に魔力切れで立つこともできなくなってしまった。


「リーリエ!!」


サペンが呼びかけるがギリギリまで魔力を使ったせいか声がうまく出せていない。この状況をどうにかしようと考えるが良いアイディアが全く浮かんでこなかった。


「サペンくん。一旦避難所まで逃げよう。このままだと三人とも殺されてしまう」


アベクはリーリエを避難所まで下がることにした。逃げる途中、サペンは振り返ると巨大ゴブリンが追っては来ているが、走って来ないことに気がついた。


(あの、巨大ゴブリンもしかして走れないのか?でも避難所までモンスターが来る時間は10分くらいか。時間がない、何か手はないのか)


必死に考えたが良い案が全く浮かばなかった。

考えているうちに、レンガで作られた大きな避難所に到着した。


「おーい!私だ、アベクだ!扉を開けてくれ!」


そう言うと扉が少しだけ開いた。扉を開いた人物はアベク達を見ても、それ以上開かなかった。


「アベクさん。その魔物の子もこの中に入れるんですか?」

「なっ、、!!」


そんなことを言われるとは思ってもおらず、驚きを隠せなかった。村人は話を続けた


「こんな辺境の地に魔物が来るのはどう考えてもおかしい。きっとそいつが呼び寄せたに違いない。アベクさんを中に入れることは良いですが、そいつらを入れるのはできません」


村人に勝手なことを言われ、アベクは激怒した。


「ふざけるな!!!」


怒号に一瞬村人が怯む。


「この子が命がけで時間を稼いでくれたお陰で、村人の被害は最小限に抑えられたんだぞ!それをまだそんな風に言うのか!!!お前だけの判断でそんな勝手なことが許されるわけ、」

「避難所にいる村人全員の意見です」


話が終わる前に村人からそう言われ、愕然とした。


(村人全員だと、、みんなリーリエに助けてもらったんじゃないか。自分たちさえ良ければ良いのか、、)


アベクは愕然とし、それと同時に村人達に頼ることを諦めた。


「わかった。それなら私たちが他のところに行こう」

「アベクさん巨大ゴブリンがあと少しで来ます!」


サペンが告げた。振り返るとすぐそこまで来ていた。


(この子をなんとかして助けなければ、、)

「サペンくんありがとう。私たちは森の奥に逃げよう」


アベクとサペンは行ったことのない森の奥に逃げ込もうとした時、リーリエが微かな声で呟いた。


「逃げちゃダメ。村の人達が殺されちゃう」


2人は立ち止まった。先ほどの村人とのやり取りをリーリエも聞いていたはずだ。あんな村人たちはどうなろうが関係ないとアベクは考えていた。


「少し休んだから魔法使えるから降ろして」


無理して作った笑顔を2人に向ける。サペンは嘘をついていることがすぐにわかった。残りの魔力量はまだたくさんあるのだが、いつも使える量はこれが限界だ。それは魔法を使えないアベクにもわかった。現にリーリエは立つことすらできなくなっている。


「それはできない」


また走ろうとすると腕に軽く痛みを感じた。痛みがするところを見るとリーリエはアベクの腕を力無く噛んでいた。これはリーリエが今できる最大の反抗だ。今まで反抗したことが無い子が自分にいじめをしている人たちの命を守るために必死に反抗をしている。そんな姿を見てアベクは気持ちを固めることにした。


「わかったよ。なら私も隣にいよう。死ぬときは私と一緒だ。だから、私を守ったくれ」


アベクはリーリエを地面に降ろした。アベクとサペンは技に巻き込まれないように一歩後ろに下がった。巨大ゴブリンはすぐそこまで来ていた。


「お願い出て。ファイヤーボール!」


座りながら魔法を出そうとするも、魔方陣が手から出始めたがすぐに消えてしまい、放つことはできなかった。


「ハァ、ハァ、ハァ、、、」


リーリエは肩で大きく息をしていた。

自分で助けると言ったがダメかもしれないと思い後ろを振り向くと、サペンとアベクがまっすぐ目線を向けていた。


(私が負けたら、この村はどうなっちゃうの。私の唯一の居場所が無くなっちゃう。サペンとお友達になれた場所が、お父さんとジェラさんと過ごしたこの村が、、絶対無くしたくない。無くなるなんて嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。私が、、、)


「わたしがまもるんだーーーーー!!!!」


叫んだ瞬間サペンは電撃が身体中を巡り、リーリエは背中から紫色の炎が勢い良く様々な方向に飛び出てきた。それと同時にリーリエはさっきまでの疲れが嘘のように立ち上がることができた。


「私の育った村をなにも知らないあなたなんかに壊させやしない!」


いつも通り右手を前に出して魔法体勢に入ると、肩甲骨から紫色の炎が右腕を巻くようにして流れ、手のひらに集まり玉になっていた


「これが、私の思いだ!!いけ!!」


そう言って放たれた紫色の炎の玉は巨大ゴブリンに当たり、火柱を上げた。


「ギャァァァァァーーー!!」


巨大ゴブリンは悲鳴をあげながら跡形もなく燃え尽きてしまった。

周りに魔物がいないことを確認すると、興奮が徐々に収まっていきリーリエから出ていた紫色の炎は小さくなっていった。


「まもれた」


安心をして後ろを振り向くと二人が近づいてきた。


「良く頑張ったなリーリエ」


アベクに頭を撫でられ、恐怖から解放された安心から嬉し涙が溢れてきた。三人は生きていることに安堵した。


余韻に浸っていると後ろから悲鳴が聞こえてきた、、、

読んでいただきありがとうございます!

リーリエがなんかすごいことに目覚めましたね(笑)

あと、最後の一文の理由が気になりますね、、、


いいね、ブックマーク、評価、感想お待ちしています!モチベになるので、、


それでは第9話でお会いしましょう!バイバーイ


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