第5話 魚の味
リーリエたちは川に到着し魔法の練習の準備をしていた。
「こんなところまで来てどうやって練習をするの?」
リーリエは先程魔法の特訓をもっとしようと思っていたところのなので、やる気は十分だった。
「まずは君が使える魔法を見せて欲しい」
サペンに言われ深呼吸をして右手を前に出し魔法体勢にリーリエは入った。
「ウォーターボール!」
右手から魔法陣が出て、掌から魔法が発動した。ウォーターボールは川を越え、向かいの木に当たり当たった木は折れてしまった。
「あわわわ。折っちゃった、、」
両手で口を抑えて焦っていた。そんな姿を他所にサペンは納得のいかない顔をしていた。
(無詠唱で魔法を出せるのは凄いけど、リーリエの魔力的にこんな威力では無いはず、、手加減したのかな?)
サペンはリーリエに話しかける。
「リーリエ。今のウォーターボール手加減した?」
「手加減なんてしてないよ!本気で打ったよ!召喚魔法の練習ばっかりしてたからあまり他の魔法は得意じゃないんだよね。でも!川の近くだからいつもより威力は強かったよ!木は折っちゃったけど。。」
申し訳なさそうにリーリエは言う。
この世界の魔法は自分の持っている魔力に自然エネルギーを混ぜて魔法を発動させている。だから、水属性の技を出す時に水辺の近くだと多くの水エネルギーを取り込めるので威力も増す。同じように他の属性も近くに同じ属性のエネルギーがあると威力を増やすことが出来る。
サペンはリーリエの話しを聞いて余計納得のいかない顔をしたが、今は分からないので様子を見ることにした。
「わかったよ。そしたら、まずは基本魔法の練習をしよう!」
サペンは魔法に関しては元々居た世界で訓練していたので、そこそこ使えるが得意ではなかった。
ガッツリ戦闘系というよりも、サポートに回る魔法を得意としていた。
「上手くできたらご褒美を準備するね!」
「ご褒美!!!」
リーリエは目をすごく輝かせた。
「ご褒美ご褒美〜」
楽しそうにご褒美を連呼していた。
「まずはウォーターボールじゃなくて、連続して水を出し続けてみようか」
「わかりました!」
魔法の体勢になり、右手から水を出し始めた。だが、少し経つと魔力が切れてしまい水を出せなくなってしまった。リーリエは疲れて足から崩れ落ちてしまった。
「あ、あれ〜?いつもよりも続かなかった気が、、」
サペンが近づいてくる。
「今日は僕を召喚して、この世界に居続けてるしいつもより続かないのはしょうがないよ」
リーリエの頭を優しく撫でる。
「ど、どういうこと?」
息を切らしながらサペンに聞く。
「僕達召喚獣はご飯を食べなくてもこの世界に居続けることができるんだ。それは召喚者の魔力を貰ってるからなんだ。僕は貰ってる魔力がすごく少ないけどね。ご飯を食べれば魔力を貰わずに生き続けれるしね!」
サペンはまだ頭を撫で続ける。
「じゃ、じゃあ、サペンがいると、このまま私は、魔力は回復しないの?」
心配そうに尋ねる。
「そんなことは無いよ。さっきも言ったけど、僕がお腹いっぱいになれば、リーリエの魔力は必要ないし、リーリエも少し休んだり、何か食べれば魔力を回復してくるよ!ということで少し待っててね!」
そう言うとサペンは疲れたリーリエを置いてどこかに行ってしまった。
「サペン〜。置いていかないで〜」
リーリエの力の無い声は多分サペンまで届かなかった。少し時間が経ちリーリエは呼吸が整ってきた。するとサペンが何かを持ってきた。
「魚を捕まえてきたよ!」
サペンは2匹の魚を両手に持ってきた。
「僕もこの世界の魚は初めて食べるけど美味しいのかな?」
魚をじーっと見ながら質問をする。
「わからない。私も食べたことないから」
リーリエは苦笑いをして答えた。
サペンはすぐに木の枝を集めにいき戻ってきた。
「疲れているところ申し訳ないんだけど、木の枝に魔法で火を付けてくれないかな?」
リーリエに頼んでみるが、
「それはちょっと、、」
サペンはリーリエが疲れているのだと思い、リーリエの魔力を使って火をつけた。
しばらくすると、魚はいい感じに焼け美味しそうな匂いを出していた。
「もう食べられそうだね!」
リーリエは料理を毎日しているので出来上がりがわかった。
「魚は初めて食べるな」
「天界と同じならきっと美味しいよ!」
2人でいただきますをして、まずはサペンから食べ始めた。
「こっちの世界の魚も中々美味しいな。まぁ今度は味付けをしたいな」
リーリエは美味しそうに食べるサペンの姿を見て、小さく一口パクリと食べてみた。
「美味しい〜!!」
思わず顔が緩くなってしまった。身がプリプリとしていて、今まで感じたことの無い幸せ感に包まれた。そしてすぐに二口目三口目と食べ、完食をした。
「ごちそうさまでした」
満足そうに空を見上げる。
(こんな美味しいものがあったのか、、、)
サペンも食べ終わり、1人と1匹は景色を眺めながら話しをした。日が傾き始め、帰りの準備をしている時にサペンはリーリエに1つの質問をした。
「そういえば魚を焼く時に火の魔法を使わなかったのはなんで?」
疲れているだけと普通なら思うが、どうも気になっていた。
「それは、魔法を始めた時に初めて使ったのが火の魔法だったんだけど、周りに火が無いのに凄い威力のファイヤーボールが出ちゃって、そこからは怖くて使ってないんだ」
夕日がリーリエの瞳を赤く照らしていた。2人は家に帰って行った。帰ってからは色々と済ませた頃にはすっかり夜になっていた。サペンはベットの下に座り、リーリエはベッドに入った。
(明日からまたお手伝いだけど、友達がいるから何を言われてもきっと大丈夫。)
今日は色々なことがありすぐに寝ることが出来た。
読んでいただきありがとうございます!
この作品の完成を1番楽しみにしていのは私かもしれません。
またすぐに上げられるようにがんばります!
コメント、評価お待ちしています!
ちなみに、コメントは誰でも出来るようにしました!
よろしくお願いします!