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第9話 旅

三人が悲鳴の聞こえた方を向くと避難をしていた人たちが腰を抜かして震えていた。


「お、おい。俺は見たぞ、あいつ、紫色の炎を出したぞ、、あれって、魔物の、、」

「私も見たわ。あれは間違いなく魔物の一族よ、、、!!」


村人達はどうやらリーリエに恐れているらしい。助けてもらったのに怖がっている村人達をサペンは不思議に思っていた。


「やっぱり、さっきの魔物もあいつが呼び出したんだ!」

「そうだ!昔から俺は怪しいと思ってたんだよ」


そうだそうだと村人達からリーリエが悪者の流れができてしまった。


「私はみんなのために、、」


リーリエが思いを伝えようとするが聞く耳を全くもたなかった。


「あいつは追い出すべきだ!」

「魔物から村を俺たちで守るんだ!」


そういうと村人達は一斉にリーリエに視線を送った。その視線は昔良く感じていたものと同じものだった。リーリエは震えていた。


(なにあの視線。あんな視線送られたら誰だって、、、)


サペンは心配そうにリーリエを見つめる。状況を一番早く察したのはアベクだった。


「私と一緒に来なさい」


リーリエの手を引っ張り家に向かった。


「魔物が逃げるぞ!」

「逃がすな!」


村人達も後を追いかけた。

家に着くと、アベクはリーリエとサペンに大切な物を部屋から持ってくるように伝え、自分は急いで自室に向かった。サペンは何も持たず、リーリエは魔法の本を持ってきた。アベクはボンサックを渡し、中には袋が入っていた。


「時間がないから良く聞くんだリーリエ。君はいつも山菜を採ってる森とは反対の森のペルム一族(ペルムいちぞく)との境目で拾われた。そっちに行けば、もしかしたら本当の両親に会えるかもしれない。あと、」

「ちょ、ちょっと待って」


慌ててリーリエが話を中断させる。


「急にどうしたの?私はお父さんともっと一緒にいたいよ」

「ダメなんだ!!」


アベクの大声に一瞬怯む。


「君がペルム一族とわかった日にはすぐに追い出す前提で村長は君を拾ってきたんだ。私だってもっとリーリエといたいが、身元がわかってしまった。この中に入っている袋はこの時がいつきても良いように貯めていたお金だ。ジェラにばれないように貯めていたからそんなには無いが使ってくれ」

「いやだよ、私は、私はお父さんともっと一緒に居たいんだよ」


話しを聞いたがやはりアベクと離れるのが寂しく泣き出してしまった。そんなリーリエを引き寄せて抱きしめた。


「大丈夫。私はいつまでもリーリエのそばにいるよ。目には見えないけど、心はずっと一緒さ」


グスンっと言いながら頷く。


「お父さんはこれからリーリエが逃げる時間を稼ぐから裏口からまっすぐ全力で走って森に向かうんだ。森に入れば怖がってみんな追ってこないから。いいね?」


リーリエは最後に力強くアベクを抱きしめた。アベクはリーリエの頭を撫でた。


「よしよし。良い子だ」


「アベクさん!そいつを出してもらおうか!」

「あいつはここで殺さないとこの村が危ない!」


二人が別れを惜しんでいると玄関の方から声が聞こえた。


「よしっ、もう行くんだ。こっちはお父さんに任せなさい。サペンくんリーリエを頼んだよ」


サペンはまっすぐ前を見て振り返らず、寂しそうにしているリーリエを引っ張っていった。


「元気でな」


アベクは小さく呟いた。


村人の声がする玄関を勢い良くあける。


「なんだい。私になにか用でもあるのかい?」

「あいつを隠しているのはわかっている。早く出してもらおうか!!」


村人達はすごい形相でしゃべっていた。


「村の救世主であり、家のなかに居る私の娘を殺そうとしているあなた達に会わせることは出来ない!!!」

「やっぱり家のなかに居るみたいだ!みんなで探せ!」


アベクは口が滑ったという顔をわざとした。

村人達が家に入ろうとするのを必死に抵抗するも、アベクを倒していき、家と酒屋を隅々まで調べられた…



それから少しした頃、二人は無事に森に入り、少し奥で休憩をしていた。リーリエは村を離れる決断がまだできていないように家の方向を見ていた。


「サペン、私のした選択は間違いだったのかな」


リーリエは座り小さく丸まった。


「そんなことはないと思うよ」

「でも、守りたかったものを全部守ったのに私が望んだ未来にはならなかった」


自分の居場所と村人の命を守っる為にモンスターと戦ったのに、助けた村人から居場所を奪われてしまったのだ。そんな誰にもぶつけることができず、どうしようもない気持ちから発せられた一言だった。しばらくお互い無言の時間が流れたが、サペンが現状の整理を始めた。


「今わかっているのは君がペルム一族で、この世界では恐れられている一族だということ。あとは、この奥に君の本当の両親が居て故郷があるということだ。とにかく先に進んでみよう」


森のさらに奥に二人の姿は消えていった。


進んでいくとなにやら看板が見えてきた。


「えーっと、これより先は危険」


この看板を見てこれ以上先がペルム一族の領土だということを二人は察した。


(これより先が私の本当の故郷、、、)


自然とリーリエの歩くスピードは早くなっていった。しばらく歩いていると日が傾いて辺りは夕焼けに飲み込まれた。


「出口だ」


リーリエは言葉よりも先に走り出していた。

今の自分には少しでも癒しが欲しかった。


(私の本当のお父さんとお母さん、、、!!)


森を出た瞬間太陽からの逆光で良く見えなかったが、だんだん目がなれていくと、そこには廃村が広がっていた。人が住んでいないのは明らかだった。


「うそ、こんなのって、、」


リーリエは言葉を失った。二人で村をまわってみたがやはり人はいなかった。

辺りが真っ暗になった頃に探索はやめて、ここで野宿をすることにした。重い空気が火を囲む二人の間に流れる。気の利いたことをなにか言おうとしたが良い言葉が出てこなかった。


「今日はなんだか疲れちゃったからもう寝るね」

「ピー、、、」


二人は気まずい雰囲気のまま休むことにした。


次の日リーリエが目を覚ますとサペンの姿がなかった。


「えっ、サペン、、、」


飛び起きて探しに行こうとすると、地面に穴が空きサペンが出てきた。


「おはようリーリエ!今食べられるもの採ってきたから食事にしよ!よく考えてみれば昨日の朝からなにも食べてないしね。今後のことはそれからでも遅くないよ!」

「そうだね」


サペンはあれから寝ずにどういう言葉をかけたらリーリエが喜ぶか考えたが、言葉ではなく行動で示そうと考えた。この行動はサペンが必死に考えたリーリエを元気付けるためのものだった。


リーリエはそれを察したのか昨日の行いを振り返り恥ずかしくなった。色々あったのはサペンも同じなのに、文句を言わず自分を引っ張っていってくれた。それに比べ自分は冷たい態度を取ってしまった。気を引き締めるためにリーリエは自分の顔を両手で叩いた。


「ど、どうしたの?!」

「もっとしっかりしないと行けないなと思ってさ」


笑顔をサペンに向けた。


「よーっし!どうせ食べるなら美味しいものを食べたいよね!私が作るからサペンも手伝ってね!」

「ピーッ!!!」


サペンは元気良く返事をして、仲良く料理を作った。


「よし!これで完成!」


二人は自分達で作った料理を食べた。食べ終えたリーリエは立ち上がり今後の動きについて示した。


「私はペルム一族について調べて、両親を探すことにする」

ここまで読んで頂きましてありがとうございます!

一旦ここで一区切りになります!

この後はリーリエが旅に出ます。どんな冒険が待っているのか作者の私もワクワクです。

これからも応援していただけると幸いです。


いいね、コメント、評価お待ちしています!


よろしくお願いします。

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