4-1
4-1です。
皆様ハッピーバレンタインです。
甘くないバレンタインもきっと良いと思うんですよね。
さく「どーしたの、冴えない顔して」
私は眉間にしわを寄せ寄せた我が兄の顔を覗き込んだ。
蘭夜「…お、さくら、おはよう。」
さく「久しぶりに朝一緒だね」
蘭夜「まーな、俺も今から。…ったく、今年もやって来たのか」
さく「バレンタイン?何、不満なの?」
蘭夜「…当たり前だろ」
さく「その割には随分と早起きなことで。」
蘭夜は毎年バレンタインに侍従やら料理番やら政務やら…それで済めば良いものの、近衛隊、そして一般の精霊からも政務を通してチョコを貰う。それは非常に大量に。
コイツのどこがいいのやら……
さく「モテちゃう王様は悩みが多いんですねー」
蘭夜「大体は義理だろんなもん。…『一応王には何かあげとくか』感覚でチョコ渡すやつもいんだよ」
さく「失礼でしょ。食べれなくても気持ちは受け取っとくの」
蘭夜「あと、どさくさに紛れて毒交じってたりするから、政務に全部1度見てもらうんだけどよ…それがクソ面倒臭ぇんだわ」
さく「あー…王様は……悩みが多いんですね………」
蘭夜「んだろ!?」
さく「そんなに多くの精霊に貰ってたら私のチョコ要らないね」
蘭夜「…あ、いや…」
蘭夜が言葉に詰まった時だった。
蔦善「……ん、蘭夜様……?」
蔦善がやって来た。
蘭夜「おーてふ!おはよ!」
蔦善「おはようございます。…今日は随分と早いですね」
蘭夜「何となく目が覚めたんだ」
さく「嘘つけ」
蘭夜「マジ!!」
蔦善「そうなんですね。チョコを貰うためなんですね」
蘭夜「お前話聞いてた?」
全く朝から騒がしいな…。蘭夜がいるだけで一気に煩くなる。もう多分一種の才能だと思う。
さく「てふ、これ。ハッピーバレンタイン」
蔦善「さくら様!あ、ありがとうございます!!」
さく「朝一にこんなの渡してごめんね。好きな時に食べて」
蔦善「本当にありがとうございます」
てふには苦めのチョコを渡した。甘すぎるのは好きじゃないからね。
蘭夜「おい!」
さく「なーにー」
蘭夜「何じゃねえ!」
絶対に言わせてやる。蘭夜よ、言え。
さく「何も無いなら私もう事務所行くけど」
蘭夜「いや待てって!」
さく「だから何で?」
そう聞くと蘭夜は口をパクパクさせてから、控えめな声で言った。
蘭夜「……その、俺に…チョコは…」
さく「何て?」
蘭夜「ガチふざけんな!チョコだよチョコ!!知ってんだからな、お前が昨日夜遅くまで皆の為に菓子作ってたの!」
ふふ、何ムキになってんだか。
さく「…あるよ。ほら、チョコ。いつもありがと。…アンタも可愛いもんだね」
蘭夜「アァ?!どういう事だよ!おい!!」
私は頬を赤くしながらキレている蘭夜の横でわざとプププと笑ってそのまま王宮を出た。
さくら、蘭夜の2人に喋らすと永遠に会話を続けてしまって結構長くなってしまうのが悩みです。
今回はさくらが振り回しまくってる回ですがどうぞ。
ここまでご覧頂きありがとうございました。