1-1
記念すべき1話目です。
今回は1-1~1-4まであります。
ここは僕の事務所。アズっていう名前の芸能事務所だ。会議部屋や事務室があるのはもちろん、ダンスレッスンが出来る場も広々と設けられている。
僕はレッスンを終え、部屋に荷物を取りに行くところだった。
(この時間帯は夕日がきれいだなぁ…)
窓からオレンジ色の光が差している。
いつもは仕事が終わる時間帯はすっかり暗くなっているので、少し新鮮な気持ちで廊下を歩いた。
奥に進むにつれ、青暗くなっていったが、その中にポツリ、と部屋からの光が漏れ出ていた。
(あれは…僕の荷物が置いてある部屋…)
清掃員さんか誰かだろうか?
こんな時間帯にあがる人なんてそういない。まだ皆各仕事場にいる時間帯である。
僕はドアノブに手をかけた。
すると…
『ガタンッ』
と部屋の中から物音がした。
僕は思わず手をひっこめ耳を傾けて、中を伺ってみた。
(…中に誰かいるのかな?清掃員さん?)
『だから、この話はもうナシって…』
聞こえてきたのは女の人の声…
どうやら誰かと揉めているようだ。
『わ、私に触れないで!』
…?この声って……
『いや、まあ別に私は良いんだけど、アンタのためにね…』
そうだ、この声は…
さく『私には今はコウがいるし、ね?この話は無し』
僕の名前…。そうだ。この声は紛れもなく、さくらちゃんの声だ。
…一体誰と揉めているんだ?
相手は…
『どうして僕じゃダメだったんですか?…先輩?』
ひまわり………!
何で揉めているんだろう。
僕は荷物を取りに行くことをすっかり忘れて耳を傾け続けた。
…というか、到底乱入して取りに行けるような雰囲気じゃないけど。
ひま『…僕のこと嫌いになっちゃったんですか?』
(??)
さくらちゃんがひまわりを嫌い?…そんな…嫌うことある?
さく『そんな訳ないじゃん!』
ひま『じゃあ、どうしてあの時別れようって…』
え……『別れる』……?
ひま『確かに僕から告白はしました。
でも…
それでも……
僕は先輩の………
初めての恋人だったんたですよ…?』
実は今回の短編は2月頃に考えてた話のリメイク版なんです。
でも、その元のものはあまりにも酷いものだったので、さすがに書き直したんです。
ここまでご覧頂きありがとうございました。