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悪霊の宴  作者: 春好 優
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第4話出会い

side咲夜

その姿を見た私は恐怖で固まった。先程は得体の知れないものへの恐怖を抱いていた私だが、その姿を見ても恐怖は収まることはなく逆に恐怖が大きくなっていた。

私の目に入ったそれは、全身裸のようで黒く肌は見えないが人型ということはわかった。片腕だけ伸びていた。そして顔面に当たる部分は右上にあるひとつの目と歪な形をした顔の半分を覆う大きな口しかなく、鼻や耳、毛は無かった。しかも何かに強烈な異臭がする。例えるなら肉が腐った匂いに近いが何かが違った。

そいつはなにか笑っているようだった。けれどこちらからしたら笑い事ではない。死の恐怖が目の前にあるのだから。

そして目の前の黒い何かは私を観察するように全身を眺めた。その間一瞬逃げ出そうとしたが恐怖で動くことが出来なかった。


(怖い、誰か、先輩助けて!)


言葉も出ず唯居ないはずの人達に助けを心の中で叫んだ。

しかしそんなものが誰にも聞こえるはずはなく、周りの静かさは絶望を自分に叩きつけるのだった。


「ギャハハハハハtaGopoq.,')?qvi÷÷〆=○×☆♪×」


化け物はいきなり笑うように叫んだ。それが笑っていたのかは定かではないが自分には笑っていると感じたのだ。

そして化け物は笑い終えると、異様に伸びた片腕を大きく振りかぶった。そしてそれを力任せに振り下ろした。

私は死を覚悟した。その瞬間思わず目を閉じた。


(あぁ、こんなことなら先輩、いや達哉さんのことをもっと名前で呼んでおけば…)


後悔するには遅くもう達哉さんに会うことは無いのだから


sideout










side???

どれだけ急いでもなかなか追いつくことは無かった。その間も嫌な予感はますます大きくなっていた。

急がなければ、それだけを考えとりあえず走った。後悔だけはしなさたくなかったから。唯前に全力で走った。

普段ならこんなことしなかっただろう。警戒を怠り、感情のままに走り続けるなど。

一体何年ぶりか分からない。こんな感情的になるなど。まるで氷がとけているような感じだ。もうかれこれ20分は走っている。そろそろ限界だ。

そう思っていると目の前に少し広いところがあり、そこには黒い液体の持ち主、黒屍鬼が居た。

よく見るとそいつの背中に隠れた誰かがいることはそいつからはみ出した生身の人間の腕が見えたためにわかった。 黒屍鬼が手を振りかぶったのを見て迷わず近づき横に蹴飛ばした。だが黒屍鬼は少し吹き飛んだだけで、すぐに立ち上がった。

俺はそれを見て急いで猟銃を構える。そして照準を合わせせた。その間もやつは下卑た笑みを浮かべて近づいてくる。

そして俺はやつの頭に照準を合わせると深呼吸をして、迷わず引き金を引いた。

ドン!と乾いた銃声が辺りに響いた。

やつの頭は黒い血を巻き散らせながら、吹き飛んだ。しかし油断出来ない。こいつは自分が死ぬと特別な匂いを出して仲間を呼ぶからだ。結構危険なな相手だ。気づかれてなかったから楽に倒せたが気づかれていたら危なかった。


「けっ汚ぇやつだ」


俺はやつが数歩動き、倒れて動かなくなるのを確認して襲われていた相手を確認した。



サイドアウト










side咲夜

死を覚悟し目を閉じたが黒いやつの腕が私に来ることはなかった。その代わりに銃声が私の耳に響いた。

すると男の人の声が聞こえた。


「けっ汚ぇやつだ」


その声を聞いた私は恐る恐る開けた。するとそこには先程の黒い怪物の代わりに少し汚れた灰色の服を見に纏った男の人が立っていた。彼が何者なのか気になる。気になった私は彼に声をかけた。


「あ、あのぉーすいません!」


「あっ?なんだ?どうかしたか?」


こんなところにいて銃を持つ人には警戒した方が良かったのかもしれない。だがその低くぶっきらぼうな声が何故か不思議と安心感を与えてくれた。


「はい!あの、助けてくれてありがとうございます!」


「あぁそうか。まぁ礼には及ばない。」


「そ、それとここは何処なんですか?」


男の人に助けてくれたお礼を言うと、私は気になった質問をした。最初は事故現場の近くだと思っていたが、あんな化け物がいる場所が事故現場どころか日本ですらないのではと思っていた。


「そうか。お前さんいつからここに居る?」


「いつからですか?えっと、3時間前ぐらいですかね?」


質問を質問で返され少し反応が遅れたが、男は考える素振りをしてから口を開いた。


「そうだな。説明してやりたいんだが、このままじゃ危険だ。俺の拠点まで案内してやるから着いてこい」


「どういうことですか?」


質問に答えてくれなかったことを不思議に思いつい聞いてしまった。


「いいから来い。またさっきの奴みたいなのが来るかもしれないからな」


私は男の言葉をきいて、男の言った言葉の意味を理解してなるほどと理解して頷いた。しかしそこでこの男が信用できるのかという、疑問が頭の中に浮かんだ。何故なら会ったばかりでしかもどういう人かも知りもしない人だ。信用出来るか分からなかった。すると男はそれに気づいたのか口を開いて言った。


「俺を信用出来ないのは分かるが〜取り敢えず着いてきてくれ、このままいたら危険だかな?だから頼む、少しでもいいから今だけは信用してくれ。」


私はその声を聞いてまた先程感じた不思議な安心感を感じた。それは多分男の声に小さな優しさを感じたからかもしれない。

すると森から何かの声が聞こえてきて選択の余地もなかったのでとりあえず男の言葉に従うことした。


「分かりました。取り敢えず貴方を信用します。」


「それでいい。じゃあ取り敢えず行こうか?」


そう行って歩き出そうとして1歩を踏み出した私は倒れてしまった。それを見た男は慌てて私に近寄ってきた。


「お、おい、大丈夫か?まさかさっきのやつに何かされたのか?」


「い、いえ違うんです。そのぉーえっとあの〜」


私は今の自分の状況が恥ずかしくて上手く言葉に出来なかった。だが言わなくては埒が明かないので頑張って口を開いた。


「すいません!安心したら急に力が抜けました!」


私は思ったよりも自分から声が出ており、それに恥ずかしくなった私は自分が出そうとした声よりも大きな声が出てしまった。


「はぁ、仕方がない。俺の背に乗れ」


男は少し呆れたようにため息をついて私に言った。そして私はあることに思い出し男の人に向かっていった。


「あっ!名前まだ行ってませんてましたね。私の名前は宮崎咲夜と言います!よろしくお願いします」


「呑気だな。まぁ良い、俺の名前は光永。ただの光永だ」


男は苗字を名乗らなかった。それが気になり聞こうとしたが彼はリュックを下ろすと私の前に背を下ろして私を背に乗るように促した。私は聞くことを諦め彼の背に乗った。そして彼はリュックを前に背負うと散弾銃を持って歩き出した。

私はその背中に乗っている時、眠気に襲われゆっくりと眠りについた。そして私は光永の横顔を見ながら夢に落ちた。


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