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転生したのは辺境の田舎娘でした 6



「…つまり、トゥシェさんの魔法によって私が土砂崩れに巻き込まれる未来が予知され、彼女がその未来を変えてくれた、ということですね。」

「そう、ですね…。」



村の人達には帰ってもらった。あの後汚れた身なりを整えてから、私、私の両親、ラン、ランの両親、そして例の男の人の7人でランの家で話をしている。彼の名前はエリオット=ド=グリモワール、どうやら伯母さんの古い友人らしい。どうやって知り合ったのか尋ねたら「まぁ、いろいろとね。」とはぐらかされてしまった。ケチだなぁ。

部屋の灯りの下だと、ミントグリーンの長髪にアメジストのような紫の瞳がハッキリと見えて、以前ソファで視た人と同一人物だと確信が持てた。


それにしても伯母さん、まさかお貴族様に友達がいたなんて…。

この国でミドルネームに『ド』がつくのは貴族と決まっている。ちなみに王族なら『トゥール=ド』になる。



それはさておき。

私達は今、どうしてあの場に私とランがいたのかについて話をしている。そして話題はおのずと私の魔法についてに移行した。過去や未来をランダムで視ることができると伝えると、グリモワールさんは顎に手を当ていろいろと考えいるようだった。



話が終わり、雨も落ち着いてきたので私と両親は家に帰ることにした。私が泊まる予定だった部屋はグリモワールさんに使っていただくことにした。それにしても今日は本当に疲れたなぁー。













「まさか、時の魔法使いに出会えるとはね。…でもこのままだと、彼女の力は暴走してしまうよ。」

「わかっているわ…。」

















次の日。

私達一家はいつも通り朝食をとり、畑仕事に行く準備をしていた。その時玄関のドアがコンコンとノックされる音がした。ドアを開けるとそこにはグリモワールさんがいた。



「おはようトゥシェさん。朝早くにごめんね。大事な話があるんだ、ちょっといいかな。」

「え?…わかりましたどうぞ…。」



両親に許可を取り、グリモワールさんを家にあげた。うちにはランの家ほど広い部屋もゆったり座れる椅子もないが立ったままというわけでもいかないので、普段食事をするテーブルとセットの椅子に座ってもらう。なんとなく、私と両親は対面の椅子に詰めて座った。



「昨夜は慌ただしく申し訳ありませんでした。改めて、私はエリオット=ド=グリモワール。サントル魔法学園の学園長を務めています。」



律儀に挨拶された。へぇ、この人魔法学園の学園長さんだったんだ。どうりで昨日もさらっと身体浮かせたり出来たのね………へ????




魔法学園の、学園長!?!?!?



「我が魔法学園では13歳から18歳の5年間、生徒の魔力向上やコントロール技術を磨きます。トゥシェさんは15歳と聞きました。そこでひとつ提案なのですが、トゥシェさん。学園に入って君の魔法を磨きませんか?」




……はい!?



「…どういうことですか!?」



思わず身を乗り出す。グリモワールさんは続ける。



「魔法にはあらゆるジャンルがあってね、君の魔法は『時の魔法』というものに分類されるんだ。時の魔法を使える人間はごく僅かで、総じて魔力が強い。トゥシェさんは現時点でランダムに魔法を発動しているみたいだけど、このまま放っておくと映像を見る頻度は増えていくだろう。やがて何に触れても映像が流れるようになる…それは困るだろう?」



た、確かに。そんなことになったら私多分生きていけない。



「大変有り難いお話です…けれど、お恥ずかしい話なのですが我が家の経済状況では、魔法学園の学費を払うことが出来ません。」



お母さんが眉を下げて申し訳なさそうに言った。その通りだ、あくまで勝手なイメージだけど、うちの財産全部売り払っても学費1年分にも満たない気がする。3人でシュンとしていたら、グリモワールさんはなんだそんなことかとでも言いたげな顔をした。



「学費だなんてとんでもない。トゥシェさんは私の命の恩人です。学費はおろか、学園での生活に必要となる資金は全て私が負担します。」



なんと!!!!

さすが学園長様、超絶太っ腹だ…



「返事は急ぎません。ただ、私は今日の昼過ぎには村をでなければならなくて。なので心が決まったら手紙を送ってください。いつでも歓迎しますよ。」



ニコリと笑いかけられた。中性的な美人の笑みに思わずキュンとした。



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