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転生したのは辺境の田舎娘でした 3



翌日、山のふもと。



「晴れたーっ!」



普段より更に動きやすい格好をして意気揚々な私と、苦笑いのラン。



「ノリノリだなトゥシェ…。」



当たり前じゃない。クロワの木の場所把握して、次からはランの案内なしでも採りに行けるようにするんだから。



「ま、浮かれてるとマジで怪我するからちゃんとついてこいよ。」

「はーい。」




そして、ランによるクロワの木への道案内が始まったんだけど…



想像してたよりえぐい道、いやこれは道と呼んでいいのか?って場所をいくつも通過。本当にこんなところにあるの?と思いながら進むことおよそ2時間。既にヘロヘロな私の数歩先を行くランはようやく足を止めた。



「見えたぞ。あれだ」



ランが指さす先には、幼い頃2人で見たものと似通った木が、片手で足りる程の数の実をぶら下げてひっそりとたっていた。



「あった…ここまで来るのめちゃくちゃキツかったけど報われたわ…。」



走れそうにはないので、足元に気をつけながら木の真下に到着した。

青々と生い茂る葉の隙間に黄色い実を見つける。届きそうになかったのでランに踏み台になってもらった。実をひとつもぎり、背中から降りた。



「採れたかー?…って、1個だけかよ。俺の分は…」



呆れてそうなランにずいっと実を差し出す。



「ランの分だよ。昨日、ランが採った実をくれたからお返し。それに、昔の記憶よりも実の数少ないんだもん、これ以上採るのは良くない気がして。」

「トゥシェ…。」



予想外だったのかな、ランが呆れ顔からポカン顔になって、じわじわと笑顔になった。そして私の手から実を受け取った。



「ありがとう。」



はい白い歯みせてのニカッて笑顔いただきましたー!なんだか疲れが取れた気がした。



結局、せっかくここまで来たんだから、腹減っただろうというランのお誘いにお腹の虫が反応してしまい、2人で1個のクロワの実を半分こした。





クロワの木の下でしばらく休んだ後、私とランは帰路に着いた。行きが険しかったから当たり前なんだけど帰りもキツイ…帰りは降りが中心になるから踏ん張らなきゃだし尚更。これは昨日ランが転んだのも納得がいく、気をつけなくちゃ。


そう思った次の瞬間。



ガッ!!!!



「!?!?」



何かにつまづいた。そう思った時には遅かった。




ぐらっ…ドサッ!!!!




「トゥシェ!?」




…顔面から思いっきりこけてしまいました…私も人のこと言えないじゃん…絶対泥だらけたよ…


ずっとこのままでいるわけにもいかないので立ち上がらねば。よいしょと両手を地面につけた。



瞬間、頭の中に映像が流れ込む。





…大雨の夜?誰か歩いてきた。あれ、この人って確か…

そう思っていた時。突然映像が揺れる。何かが迫る、土砂?……え?



映像はそこで途絶えた。何今の。いつの出来事?いやそれよりも。




身体がガタガタ震えだす。目前の土が霞む。




「…トゥシェ?どうした?」



なかなか起き上がらない私そ不思議に思ったのかランが声をかけてくれた。



「…土砂に、のまれてた。」

「え?」

「昨日ランの家で視た映像の男の人が、この場所で、土砂崩れに巻き込まれて…っ、それで…」



続きが言えない。怖くて。



「…立てるか。」



ランがゆっくり、でもしっかりと起こしてくれた。心配そうなラピスラズリの瞳に吸い込まれるまま彼の胸に顔を埋め、わんわん泣いた。




私の涙が枯れて、気持ちが落ち着いた頃合いを見てランが私から一度離れた後、手を引いてくれた。まだ村についてないんだった。泣きついたせいで私の汚れがランにもついちゃったし、私の目、絶対腫れてる。お父さんお母さんから質問攻めに合うかもなぁ。そんなことを考えながら残りの山道をくだっていった。






…ーあんな怖い映像は初めて視た。



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