表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/145

転生したのは辺境の田舎娘でした 1

初投稿です、よろしくお願いします!



突然のことで申し訳ないけれど、私トゥシェ=ルルーには幼い頃から前世の記憶がある。


前世の私は人見知りで引っ込み思案で、小説を読むことが大好きだった。

その中でも特に好きだったのは、前世の記憶がある悪役令嬢が窮地に立たされて奮闘したり、婚約破棄された令嬢が新たな運命の出逢いをしたり…いわゆる御令嬢が主役の異世界モノ。

私が転生したこの世界は王族貴族が存在し、まさに『異世界』そのものだ。ただ…





私が転生したのは王国の端の端、辺境のド田舎村だった。






魔法王国ソルセルリー。中央にそびえ立つ王城、隣接する王国唯一の魔法学園、広がる貴族様達のお屋敷とキラキラな城下町。

そこから数多の街を越え、山を越えた場所に、私が暮らすボール村がある。



国名でお察しの通りこの世界には魔法がある。火をおこしたり水を操ったり、何が出来るかはその人次第だけど、極めるためには魔法学園に通わなければならない。もちろん魔法に関する書物を読むなどすれば上達はするけど限度がありまして。だから魔法を使える者は皆、魔法学園に通え…





ないんですよ!!!!!!!




魔法学園めちゃくちゃ学費高いのよ!!!?!?それを5年間払い続けないといけないとか!!!!?!?無理でしょ、平民には無理ゲーでしょ。故に平民で魔法を使える人はいてるけど、ちゃんと魔法を活用できるのは王族貴族や一部の金持ち平民だけなのです。



つまり!せっかく転生できたにもかかわらず、田舎娘の私は王族も貴族も悪役令嬢も婚約破棄もこれっぽっちも関係のないところに生まれ落ちてしまったのです…。



あーーーー贅沢言ってるのはわかってる。わかってるんだけど。王子様の婚約者とか、侯爵令嬢とか、当事者が無理ならせめてそれらのストーリーを傍観できる下っ端貴族とか使用人とかに転生したかったなぁーーーーー!!!!!!これじゃチャンスないんだもん…





文句めちゃくちゃ言ってますけど私はこのボール村がとても好きです。前世ではいわゆる隠キャだった私が今世でここまで明るく成長することが出来たのは、この村ののどかな雰囲気や、あたたかい村の人達のおかげだもん。だから前世の記憶が鮮明になった時に残念だなーとは思ったけど。それはもうめちゃくちゃ思ったけど!!きっと私はここで一生生きていくんだなあと、それも悪くないかなって思っているのです。






先述のように平民も魔法そのものは使えたりはします。私も例外ではなくて。

私は両手で触れた物に関する過去や未来の出来事を頭の中に視ることができる。一見便利な魔法だけどそんなことはない。


例えば、今私の目の前にあるお皿。本来ならばお皿の上に母の姉であるマヌーヴル伯母さんが焼いてくれたクッキーがあるはずなのに、手を洗って戻ってきたらクッキーは姿を消していた。私が自分の魔法を上手く使えるのなら、お皿に両手で触れてクッキーが消えた瞬間を視て犯人を割り出せばいい。

けれど今私がお皿を触っても、映像が視えるとは限らない。なんなら仮に視えたとしても、それは伯母さんがクッキーをのせる瞬間かもしれないし、もっと昔のお皿が売られている時代かもしれない。反対に、遠い未来でお皿が割れる映像が視えるかも。


そう、私は魔法を発動するタイミングもコントロール出来なければ、視る時期の調整も出来ないのだ。



だからランダムに発動される魔法と程よく付き合いながら、魔法を必要としない日常をおくっている。まぁ、クッキーを食べた犯人は、魔法使わなくてもわかってるんだけどね。


私はどこかに潜んでいるであろう犯人に聞こえるように声を張り上げた。




「ちょっとラン!!!!私のクッキー食べたでしょ!!?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ