僕の事を好きな彼女と彼女への気持ちを知られたくない僕。
彼女とは? 1年前から付き合いだした。
僕がバイトで働いている仕事場に彼女が新しく入って来る。
初めは、可愛らしい女の子だと思っていた。
でも? 一緒に働くうちに芯のしっかりした女性だと
僕は思うようになる。
可愛いだけじゃなく、真面目で仕事熱心な女の子だった。
僕は、そんな彼女が少し気になるようになった。
彼女に、話しかけたいけど、、、?
僕は、口下手だし彼女に何を話したらいいのか?
よく分からない。
その間、他のバイト仲間の男子が彼女に告白した。
『実は? 明ちゃんの事、俺好きになって、だから俺と付き合って
くれないかな?』
『ごめんなさい、他に好きな男性がいるから、付き合えない。』
『・・・えぇ!? そう、分かった。』
バイト仲間の間でも、その話は直ぐに広がった。
『お前さ~! 何、抜け駆けしてんだよ!』
『普通、好きになったら? 告白するだろう!』
『でも、フラれたんだろう!』
『・・・まあな、』
『なんて、断られたんだよ!』
『他に気になる男がいるんだと、、、!』
『相手が誰だか聞いたのか?』
『そんなの知るかよ! 聞きたくもない!』
『なんだよ! 聞いてないのか?』
『あぁ!』
『次は、オレが明ちゃんに告白しようと思ってたのに...。』
『告白しないの?』
『他に好きな男がいるなら? 告白しても無理だろう。』
『まだ、分かんないじゃん!』
『普通、分かるだろう!』
『一か八か? 明ちゃんに告白してみれば?』
『・・・・・・』
『ダメでも、気持ちはスッキリするぞ。』
『・・・うーん、まあな!』
・・・バイト先で、そんな会話をしていた。
僕もその輪の中にいたのだけど、会話には入れなかった。
次は、もう一人のバイト仲間が、明ちゃんに告白する。
僕のドキドキは止まらなかった。
もし? 明ちゃんの好きな奴が、そいつなら。
僕は、告白せずに僕の恋は終わってしまうからだ。
それでも、アイツより先に明ちゃんに告白する勇気もない。
僕は、その日一睡もできなかった。
僕が、眠れない夜を過ごしている間に、アイツは明ちゃんに
告白をしていた。
『ごめんね、呼び出したりなんかして。』
『・・・ううん、別にいいけど? 私に話って何?』
『オレさ~前から明ちゃんの事が好きだったんだ! オレでよければ
付き合ってほしいんだけど、、、。』
『ごめんね、私! 他に好きな男性がいるの、ごめんなさい!』
『その、明ちゃんの好きな相手って? 誰?』
『それは、言えないの! ごめんね、でもありがとう。』
『・・・ううん。』
・・・また、バイト先で明ちゃんに告白した話をしている。
僕は、ゆっくりと近づいて聞いていた。
『はぁ~明ちゃんの好きな奴って? 一体、誰んだよー!』
『えぇ!? 聞いてないの?』
『フラれて、誰だか聞ける勇気ねえーよ!』
『・・・・・・』
『オレ、もう無理! 他の女の子の事なんか好きになれないよ。』
『まあまあ、そういうなって! 今日は付き合ってやるから~』
『マジで! 今日は付き合ってやるから飲むか!』
『よし! 飲もうー!』
二人も、明ちゃんに告白して撃沈。
一体、誰が明ちゃんは好きなのか、、、?
そんな時、明ちゃんの方から僕に話しかけてくれた。
『・・・白田さん!』
『・・・・・・』
『今日は、一人ですか?』
『・・・ううん。』
『一緒に帰りませんか?』
『・・・えぇ!? あぁ、僕でいいの?』
『はい!』
『明ちゃんって? 好きな奴がいるんでしょ!』
『伊東君に聞いたんですか?』
『・・・まあ、ううん、』
『私が好きなのは、“白田さんですよ。”』
『・・・えぇ!?』
『知らなかったんですか?』
『・・・あぁ、ううん、』
『やっぱり、鈍感な人ですよね、白田さんって!』
『・・・別に、鈍感じゃないよ。』
『じゃあ、私が白田さんの事! “一目惚れ”だった事も
知ってました?』
『・・・・・・』
『やっぱり、鈍感じゃないですか!』
『・・・ごめん、』
『それは、どっちの“ごめん”ですか? 私の事が好きじゃない
ごめねんか? 鈍感だから気づいてなかったのごめんか?』
『・・・鈍感だからの方だよ。』
『良かった、好きじゃない方じゃないんですね。』
『・・・・・・あぁ、』
明ちゃんは、キラキラした顔で僕に笑いかけた。
僕も実は、ホッとしていた。
僕の事を、好きになってくれて。
鈍感だったから、気づかなくて。
僕も、明ちゃんの事が好きだから!
でも今は、明ちゃんに僕の気持ちを言わないでおこう。
彼女が、僕の事を好きだという真実を楽しみたいから。
僕の気持ちも明ちゃんに、ずっと前から向いているよ。
それは! “今は内緒”だけどね。
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