02
「えっ?」
「ようこそ、千代崎美言様!!」
「あな、た・・・、まさか本当に、からりん・・・なの?」
「はい!!あなた様のからりんです!!」
からりん、それは「Colors」のマスコット的存在、チュートリアル進行などをしてくれるキャラクターだ。からりんはその愛らしい姿で私を見つめる。
「今日からあなた様のサポートとしてあなた様のお側付きになりました!!さぁ、さっそく初期で力を貸してくれる色を選びましょう!!」
「え、あ、うん・・・」
いまいち、状況はわからないけれど、おそらく私はこの世界にトリップした。 そう「Colors」が現実に存在している世界に。どうしてここまで冷静なのかと言うと、二次創作サイトでこういった話を読んだことがあるからだ。二次創作で夢小説も腐向けの小説も嗜んでいた私に死角はない。
「こちらの五色の方々の中からお選びいただけますよ」
そういって指示されたインクの入ったボトル。色の三原色と呼ばれるシアン、マゼンタ、イエローとブラックとホワイトが並んでいる。基本的に「Colors」は和名色の擬人化キャラクターたちが実装されているが、和名のみ、というわけではなく和名以外の名前の色、カラーコードのみでのキャラクターたちも多数存在している。特にカラーコードのみのキャラクターたちはあだ名を決めるのが楽しいとプレイヤーでもっとキャラたちを愛せると評判だ。ちなみにキャラクターは全て男性。
さて、チュートリアルの続きをしなければならない。もう「Colors」のステータスなら何度もチェックした。ステータス重視で行くなら…、ブラックかホワイト。色の系統ごとによって「Colors」では武器が決まっている。例えば、黒白系なら銃、青系は弓、黄系は魔法、赤系は回復、茶色系は盾、紫系は槍、緑系は楽師。銃や魔法に種類はなくて、ただ銃や魔法としか表記されていないから詳しい武器の内容を知らなくても気軽にゲームができるのもいいところ。赤系の回復も回復特化というだけで、攻撃ができないわけじゃない。他の系統色に比べたら攻守に関するステータスが低いだけだ。
「うん、決めた。マゼンタ君、力を貸してください」
最初に攻略するうえで回復に特化した色は外せない、と私は思う。だからステータスが弱くたって構わない。私の力になってくれる色なら。それにマゼンタ君はゲームの時にも選んだ色、だから彼のことはよくわかっている。
ふわっとインクボトルが光る。その光が収束した時に、マゼンタ君が目の前に立っていた。
「初めまして、僕のマイスター。僕が、マゼンタ。君の選んだ、最初の一色だよ。よろしくね」
「初めまして、私のマゼンタ君。あなたは私の選んだ最初の一色、これからどうぞよろしくね」