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瞳に映るAiの色  作者: 穂水美奈
6/24

Episode 05:Aiつと過ごした夏の夜☆彡

 夏休みに突入し、愛莉、友加里、隆太、あきらの4人は、隆太の親戚である(…ということにしてある)涼子の旅館へ、合宿のつもりで訪れた。









 そして、涼子はまず、隆太から一同の「恋愛の縺れ」について事細かに聞いていたので、ここはひとつ、大人として一肌脱ごうと思い立ち、彼らを旅館の食堂へ集めたのだった。








 涼子が、皆のリーダー役となって話を進めた。








 「ねぇ、みんな? もし、好きで好きでどうしようもない人のことを、大嫌いにならなきゃダメってことになったらどうするかな…??」











 … … … 当然ながら、そんな唐突な質問に対して、即答できる者はいなかったが、やがておもむろに隆太が…








 「あ…!!ぼ、、、僕だったら、その、、、相手に…、嫌われちゃうようなことを目いっぱいしちゃいます!」








 …続けざまに友加里も…。





 


 「わ…私は、、、何とか相手のダメなところを探し出して、それをいっぱい並べて、キライな理由にしたいです。」








 涼子はさほど表情を変えず…





 「ふ~ん。そっかぁ。 ねぇ、愛莉ちゃんはどう思うかな?」








 「わっ…!!私は…、、、その…、だいたい、みんなと同じです。」








 あきらも、あまり状況が呑み込めないままだったが、続けて…








 「お、俺もです。 で、、、でも、、、誰かを嫌いにならなきゃならないなんて、、、そんなことって、いいのか悪いのかわからないです。。。」








 …暫し、沈黙が続いたが、涼子がこの空気に陥った4人に、そっと助け舟を出すかのように…








 「うん。そうだよね。 確かに、みんなの言っていることはもっともだよね。 あ、実はね、私、今日ここに来る水泳部のみんなが、恋愛とか友達について悩んでるってこと聞いて、それで、少しお話してみたかったんだよね。」








 …4人の緊張は高まる一方である。 隆太あたりは、大好きな涼子と、気になる友加里に板挟みの状態で、今にも泣き出しそうだった。








 涼子は、うっすらと笑みを浮かべて、話を続けた。








 「ねぇ、みんな。 これって、私の勝手な意見なんだけど、逆に、どうして好きになっちゃったか?ってこと、思い出すことできる? きっと、自然に好きになったって思うんだけど、相手の良いところも悪いところも、自然に自分の心が受け止めていくんだよ。 だから、無理に嫌いになろうとしても、それは遠回しに相手のことを傷つけてるってことになるよね。 いくらダメなところを探しても、それを理由にしても、本音からそう思っていない限り、相手のことは思ってしまうわけだから、私としては、嫌いにならなきゃダメってなっても、あえてそのまま付き合い続けるよ。 そう。 普段通りに…ね。」








 …小さく頷く4人。 だが、言葉を発する勇気は生まれてこない。。。








 「つまりね、わざわざ嫌いになる必要っていうのは、ないと思うんだよ。 自分が相手に対して、態度とか行いとかを、どんな風に評価するか、そして、すぐに答えを出すんじゃなくて、じっくりと自分の中から、相手を見つめてあげて、そこで初めて、好きとか嫌いとかって気持ちが芽生えてくるはずなんだよ。」








 友加里と愛莉は、過日の大ゲンカのこともあってか、胸中は極めて複雑であった。それ故にか、少しメソメソと泣き出してしまった…。








 涼子は、友加里の隣に腰かけて、優しく言葉をかけた。








 「きみ、友加里ちゃんだったよね。 隆太くんのこと大好きだったって、私も聞いてたよ。」








 「りょ…、涼子さん…、、、わ、、、私、もう、ダメなんです。。。 隆太のこと好きすぎて、自分で焦っちゃって、隆太にバカなとこいっぱい見せちゃって…、、、もう、無理です…。愛莉とも、何度もケンカしちゃって、、、もう、どうしていいかわからないです!!」








 そっと彼女の頭を撫でながら、涼子はそれに答えるように…








 「友加里ちゃん♪ …そんなに自分を追い詰めないで。 それはあなたにとって、隆太くんが大切な存在だったからこそ、誰かに取られまいと、必死に守ろうとしたのでしょう? 友加里ちゃんにとっての隆太くんが、かけがえのない男子だというのなら、いきなり将来のことなんて考えないで、今を大切にお付き合いしてみたらどうかな?」








 「私が思うには、好きな人を嫌いになる方法なんて、ないと思うんだよ。 そのままの自分でいて、そのままの自分を評価してもらうのが一番なんだよ。」











 「うぐっ…、、、うぐっ…、、、うぇぇぇん…」











 泣きじゃくる友加里を見かねたか、隆太がそばに駆け寄って話した。








 「友加里ぃ。 …僕もごめん…。 僕も、心の中じゃ、友加里って女子の中で一番仲良しな友達だと思ってたんだよ。 か、カノジョとかってのは、正直、からかわれてるって思ってたし、自分が女子にモテるなんてありえないって思ってたし。 昔からしょっちゅうケンカしちゃうから、友加里は、本気で僕のことを思ってたなんて、全然、実感がなかったんだよ…。」








 「うぅぅ…っ!! 隆太のバカぁぁぁぁぁ!!!!」








 …泣き叫びながらも、友加里は隆太を抱いて、彼の胸をドンドンを叩いていた。

















 「なぁ、愛莉? …隆太のカノジョって、もしかして友加里だったの??」








 「え? …うん。。。 ってか、友加里が勝手にカノジョになったって思い込んでたみたいだけどね。」








 取り残されたかのようなあきらと愛莉は、ボソボソとそんな会話を交わしていたが、両者とも友加里や隆太の行動をこれまでに色々と見てきている。 ゆえに、二人が恋愛的感情を持っていることは十分察していたが、この手の話に変に横槍を入れるような真似はできないと思い、あえて今まで、ほとんど気づかぬフリをしていたのだ。











 涼子は、友加里が泣き止むのを見計らって…








 「さぁさぁ、もう泣かないで♪ まだ中学校生活は…というか、青春の時代は長いんだよ。 今すぐに恋愛の結論を出そうとしないで、部活も遊びも、今を楽しんで生きていかなきゃ損だよ!! そうしているうちに、みんなが、どんな気持ちで相手を見つめるのが一番合っているか、追々、わかってくるはずだからね。」








 …コクッ…と、軽く頷く友加里。 隆太も、涼子の表情を見て、少しだけ安堵した様子だった。








 「あ、みんな? みんなにも繰り返すけど、たとえ好きな相手と距離を置きたくなっても、無理に悪いところを並べたり、掘り返そうとしたりしちゃダメだよ。 まだまだお互いの知らないところもいっぱいあるだろうし、その中に共感できるような良いところもたくさんあるはずだよ♪ 好きも嫌いも、自然にそう思うようにならないと、気持ちがその通りにはならないからね。」











 胸の鼓動高鳴る4人の間に、少しだけ爽やかな風が駆け抜けたような気がした…。











 「さ、みんな、今日は折角浅虫温泉に来たんだから、サンセットビーチでいっぱい泳いでいこうよ!! 私も今日はお仕事お休みだから、一緒に海に行きたいなぁ♪」








 隆太は、硬直したこの場を一刻も早く抜け出したいという思いで…








 「そ、それいいね!! さ、ほら、、、みんな、行こうよ!!」








 友加里「そ、そうだね隆太。」 


 


 愛莉「うん、そうしよ!!海来たんだから泳がなきゃ!」 





 あきら「よぉ~し!さっそく支度して来なきゃ!!」











 ちなみに彼らが寝泊りする部屋は、涼子の住まいの方の部屋を貸すことにした。 旅館の客室は提供できないし、何より大人の涼子が近くにいると、何らかの安心感があるだろうから、必然的にそうなったのだが…








 友加里は…








 「ええ…、、、男子と部屋隣同士ですか…!? …って、おいいいか男子ども!! 絶対!!絶対女子部屋のぞくなよwww のぞいたらただじゃおかねぇからなーーーwww」








 隆太は…








 「の、、、のぞかないってばぁ!! やだなぁ…!!信用してくれたっていいじゃんかぁ!!」








 友加里「うっさいなぁ!!男子と隣り合わせの部屋なんだよ!!あーーーきもいーーーwww」








 あきら「友加里!!だったらお前だけ外で寝ろよ!! 涼子さんの家に泊めてもらっているのにわがまま言うなって!!」








 友加里「うっせーーーwwwだったらあきら、お前外で寝ろよ!! 小学校の修学旅行の時女子風呂覗こうとしたって噂あったんじゃねぇ??」








 あきら「ちげぇーーーって!!!!女子が勝手にそう思い込んでただけじゃんかーーー!!!!」








 …涼子が眉をハの字にして仲裁に入り…








 「ほらほらあんた達、さっき言ってた傍から何よ? 心配だったら女子はあたしの部屋で寝てもらってもOKだから安心しなさいな。」








 (一同)「は、はぁい…」




 一行は、サンセットビーチ浅虫へとやってきた。 涼子の旅館のほぼ裏といった場所で、今日は夏休み突入間もなくというタイミングだったためか、さほどビーチは混雑している様子はなかった。









 涼子は、砂浜にパラソルを立てて…





 「みんな、いっぱい泳いでね♪ あたしは、ちょっと泳げないからここにいるけど…。」








 「よぉし隆太!!競争しようぜ!!どっちが早くブイのところまで泳げるか!!」








 「あきら!!負けないさ!! 僕だって泳ぎはだいぶ上手くなったんだから!!」








 …友加里や愛莉も…








 「あーー、ちょっとあたしたちも競争させてよーーーww」








 「よぉ~~~し、せーーーの、ドン!!」








 …4人は、プールとは違った場所で味わう解放感を目いっぱい味わった。 恋愛の事情を縺れさせていたとは思えないほどに、無邪気で活発に海で遊ぶ彼らの姿を見ていた涼子は、にこやかな表情をしながらソフトクリームをなめていた。











 …やがて、夕陽が沈み、夜が来た。








 夕食の後、4人はお風呂に入っていた。 旅館の温泉なので身体が温まる上、友達同士で入浴する特別な気分も手伝って、皆のテンションは上がって行った。








 「りゅーたーーーww 入ってるーーー??のぞくなよーーーwwwあきらもなーーーwww」





 「ゆ、友加里!? のぞかねーよ!! 失礼なヤツっ!!」








 …と言い返しては見たが、隆太の顔は、若干赤面していたのだった…。








 湯船に入っていると、あきらが声をかけて来た。








 「なぁ、隆太…、ぶっちゃけ、聞いてもいいか?」





 「えっ…!?何を??」








 「お前と、友加里って、本当に恋仲だったの??」








 「んああぁっ!!あ、、、あきらぁ…!! そ、、、それは、お察しの通りってことで…!!」








 「やっぱりなぁ…。 あ…、でも安心しろよ。 俺、お前と友加里が付き合ってること、絶対誰にも言わねぇから。」





 「そ、そうか??ありがとう。」








 「…で、代わりに…って言っちゃなんだけど、、、お、、、俺の話も聞いてくれないか…??」








 「え? ああ。。。 何だい?」











 「…実は、俺にも、カノジョ、、、っていうか、ガールフレンドいるんだよ…」








 「な…!!!!なんだってーーー!!あきらにガールフレンドーーー!?」








 「バッ…!!バカぁ!!声でけぇよ…!!」





 「あ、、、ごめん…」











 「…で、あきら? その子って、クラスの子?」





 「い、いや…、実は、その…」








 …顔を真っ赤にして俯くあきら。 よほど話しづらいことだが、一方で親友の隆太になら話せるだろうか…?と、内心、ドキドキしていた。








 「その相手ってのが、年下で、小学5年生なんだよ!!」








 「ええーーーっ!?!? しょ、、、小学生!?」





 「ああ…、、、お、俺、その相手と、どうしていけばいいか、マジで悩んでてもう正直辛いんだよ…」











 「ってか、何でそんな子と付き合うことになったんだよ?」








 「うん…、その子、名前は、紡木真奈つむぎまなって言って、妹のクラスメイトなんだよ。 何度か、宿題をみてやったり、遊び相手になってやったりしているうちに、なぜかガチ恋されちゃってて、中学入ったあたりに、本気で好きだから恋人になってくれって言われちゃって…」








 「そ、、、そんな…」








 「な!? 隆太!? 絶対…変だよな!?!? 中1が小5と付き合ってるなんて、おかしすぎるよな…!?」








 「あ、、、いや、、、それ以前に、どうしてその子、あきらの事そこまで好きになっちゃったんだ?」








 「わかんない…。 普通に優しく接してただけなんだけど、その子に、一気にアタックされちゃって、気が付いたら、付き合ってもいいって返事しちゃってて。。。ってか、断れるような状況じゃなくって…」








 「そっかぁ。 あきらって、愛莉に好意寄せられた時も断ってたけど、それって、その子のことがあったからだったのかぁ…」








 「頼む隆太!! …このこと、絶対誰にも言わないでくれよ!! 本当に頼む!!」








 …あきらの「告白」(?)と、真剣な眼差しを前に、隆太はその約束を守る誓いを表明したのは言うまでもない。














 …とっくに女子たちは風呂からあがっていたが、隆太とあきらは、脱衣所に座り込んでこの話を続けていた。








 「…だから俺、彼女に、嫌いになってもらうにはどうしたらいいか、すっごい悩んでたんだよ。。。」





 「ってか、あきらは、その子の事本気で嫌いなの?」





 「い、いや。。。 別に嫌いじゃないよ。 ただ、恥ずかしいだけなんだけど…」





 「じゃあ、はっきりと付き合えないって言えばいいんじゃない?」








 「…隆太、わかってねぇなぁ…。そんなことしたら、妹たちの友情も壊すし、彼女の気持ちもダメにしちゃうじゃんか…。 そ、、、それに、、、本心言うと、自分のことを好きって言ってくれる女の子いるって、悪い気はしないじゃん…。 ゴホッ!! そ、それはともかく、付き合いを断る理由が見当たらないんだ。 だから昼間、涼子さんに、好きな人を嫌いにならなきゃって時、どうするって聞かれて、それって俺のことかと思ってメッチャドキドキしたさ。」








 「あきら…。」








 …隆太は、親友の重大な秘密を知らされてしまった。 しかし、これでお互いに何かと隠し事をする必要もなくなったと考え、思い切ってあきらに、自分が好きなのは友加里よりも涼子であることを、打ち明けたのだった。勿論、そうなるまでの経緯も、大雑把ながら交えて。。。








 「隆太…、、、信じられねぇ…ww 隆太って、年上女子が好みだったとか…」





 「うん…。 だって、がさつな友加里には全然ない優しさとか、淑やかさとかがあるからね…。中学入ってから、友加里とケンカする回数も増えちゃってたし、友加里は、卒業したら僕との恋愛やめるって言ったし…。 そんな時に出会った女性だったから…」








 「何というか、運命の出会いみたいな…?」








 「…うん。。。」











 脱衣所に妙な空気が漂った。 お互いに恋愛していることを打ち明けて、しかもそれぞれが、どこか曰くつきの恋をしていることを露呈したようなものだったので…。











 やがてあきらは…








 「隆太!!俺、お前のその恋、応援するよ!!」





 「えっ…!?」








 「涼子さんって、確かに俺たちよりうんと年上だけど、きっと隆太のこと、いや、周りのみんなのことを、明るい気持ちにさせてくれると思うよ!! 確かに、年の差大きいから、隆太には不安いっぱいだとは思うけど、俺は、本気でお前が涼子さんのこと好きだって言うんだったら、全力で応援するよ!!」








 「あきら…!!あ、、、ありがとう!!」








 「あ、もっとも俺のカノジョのこととかはあんまし話題にしないでくれよ…ww せめて俺が、高校生ぐらいになったら、もっと大々的に打ち明けるつもりなんだけど…」








 「うん。わかったよ!! あきらも、恋、実るといいね!!」











 …男子同士の友情? そこには、不思議と美しく輝くオーラのようなものが漂っていたかのようだった。











 …と、突然風呂場のドアを開ける音が…。 涼子だったのだが…








 「あ、いたいた!! こらぁ二人とも!! いつまで入ってるつもりよ~?? 女子たちが二人がいつまでもお風呂からあがってこないって心配してたんだよ?? 早く着替えて部屋に戻りなさいよ~」








 隆太「ああっ…す、、、すみません!! …ってか、涼子さん、下着姿の僕たちをガン見とか…」








 「!!!!…あっ…!!ごめん!!隆太くん!! で、、、でもいいじゃん、男子は。





 「そ、そんなぁ~(//□//)" 恥ずかしいですよぉ~~~」








 「まぁまぁ、そんなこと気にしないで早く上がっておいでよ。 今日は浅虫ねぶたの出る日なんだから、一緒に見ようって♪」








 あきら「へぇ~♪ねぶたですか!! この地域でも出るんですね♪」








 「そうだよ~♪ さぁさぁ、早く早く!!」








 既に着替えを終えた愛莉と友加里は、旅館の玄関先でねぶた囃子を聞いていた。 慌てて駆けつけた隆太とあきらを見て、呆れ顔をした女子たちではあったが、小さな温泉街に響くねぶたの笛、太鼓の音は、彼らの心を大きく弾ませてくれたのだった。




 「ほら、あんた達も一緒に、ラッセーラー♪ラッセーラー♪」









 「は、、、はい…。 ら、、、らっせぇらぁ…」








 ねぶた祭りはいつも見ているだけで、実際に跳ねたり、列に加わったりしたことのない4人だが、涼子の先導を受け、共に旅館から温泉街を一周して、祭り気分を味わい心を高揚させた。











 その夜は、それまで皆の間にあった緊張がほぐれたせいか、修学旅行気分で盛り上がった。








 友加里と愛莉は、目下ケンカ中であったものの、今日一日の経験で、お互いの緊張が若干ほぐれたようで、一緒にコイバナなどをしながら寝ることにした。





 一方の男子たち、隆太とあきらは、色々な激白(?)から何からで疲労困憊。 お互いにある程度の気持ちを話し合った程度で眠りに就いてしまった。











 …そんな夜更け。











 何と、皆が寝静まった頃、友加里はこっそりと隆太の部屋へ忍び込んできた。








 「隆太!隆太! 起きて! 起きて!」








 「なな…、、、んあぁぁっ…友加里!? ここ、男子部屋なんだけど…」





 「シーッ!! 静かに!! お願い。話したいことあるの。 一緒に、ビーチに来て。」











 …こっそり旅館を抜け出し、人気のないビーチに出かけた二人。








 友加里は、辺りに人がいないことを確認すると、やおら隆太に抱き着いた。








 「ちょwww!!ゆ、、、友加里…!?!?」








 「うわぁぁぁぁぁん…、、、ごめん、、、!!ごめん、、、!! 今まで隆太の気持ち全然考えないで、勝手なことばっかりしてた自分が、どうしても許せなくて…。。。グスングスン…、、、それに、隆太お願い!!涼子さんのことは好きでもいいし、将来結婚しちゃったっていいよ!! でもね…でもね…!! ウチのこと、ウチのこと、まだまだ、好きでいて欲しいっ!!今までの事本当にあやまるよ!!愛莉とケンカして迷惑かけたこととか、中学出たら恋愛やめるとか、ウチ、隆太に嫌われるようなことばっかりしてたってこと、今になってわかってきたよ!!」








 「ゆ、友加里。。。落ち着いてよ。 僕は、、、友加里のこと…」








 「きっ…きっ…キライって言うんでしょ?? いいよいいよ!!うわぁぁぁぁぁん!!!!」








 「ち、違うって…お願いだから落ち着いて話を聞いてよ!!」








 「グスン…、、、グスン、、、」











 「ぼ、、、僕にとっての友加里って、そう簡単に切り離せる存在じゃないよ。 水泳の世界でもライバルだし、学校でもリーダーシップ強い、僕達を支えてくれるタイプの女子だし、何より、一番気心の知れた、大切な相手だと思ってるよ。」








 「うっ…、、、うううっ…、、、ほ、ホントに…??」








 「勿論さ!! 確かに、友加里には色々と、圧倒されちゃうこともあるよ。 でも、何だかんだ言いながら、友加里がいなけりゃ、自分はつまらない人間だったんだ。 友加里がいてくれるから、水泳でも授業でも頑張れるんだよ!! 僕の方こそ、ありがとう…(*^-^*)」








 「うわぁぁぁぁぁーーーーーん 隆太ぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」








 二人は、星空の浜辺で抱き合った。 月の光がかすかに二人を照らす、闇夜のビーチで、友加里と隆太は、すれ違っていた気持ちを修正させたのであった。











 「僕の方こそごめん!! 友加里!! これからも、仲良くしてくれよ!! お願い!!」








 「うん…!! もちろんだよ!!」











 二人は、暫し静寂と暗闇の海で、波の音だけを聞きながら寄り添っていた。








 ずっとこのまま、この時間が過ぎ去らないで欲しい…。








 一分一秒でも長く、こうしていたい…。














 初めて二人は、お互いに同じ感情を胸に抱いて、ひとつの時間を過ごしていることに気が付いた…。




















 「アンタ達!!こっそり宿抜け出すとか自重してよ!!何かあったらあたし、保護者としてアンタ達のご両親とかに顔向けできないんだからね!?」








 …つい、思い余って夜のビーチへと部屋を抜け出してしまったことを、涼子にしっかりと咎められてしまった。涼子がトイレに起きた時、友加里と隆太がいないことに気付いて、辺りを探し回っていたのだった。





 だが、この二人なら行く先は一つだろう…と、ビーチへ向かってみたところ、見事にその勘は当たったということだった。











 「ごめんなさい…涼子さん…。」





 「すみませんでした。涼子さん。 ご心配をおかけしてごめんなさい。。。」








 「はいはい。もういいから早く寝なさいね。 明日も泳ぎましょうね。」








 二人「はーい」











 隆太と友加里にとって、忘れられない一夜になったことは間違いはないだろう。








 この時、友加里は心に決めた意思があった。 例え隆太が、恋愛の成就を涼子と…と考えていても、自分は一番の親友であり続けられるなら、隆太のためにも、彼の気持ちを尊重しなければならないだろう…と。











 「大好きだった隆太を、わざわざキライになんてなれないよ…」








 「友加里をキライになったら、僕は大きな存在を失ってしまうよな…」











 各々、目を閉じれば相手のことが脳裏を過るばかりであったが、そんな「Aiつ」が瞳の中に焼き付いているかのようだった。











 4人それぞれの思いは、まだ不確かなものではあったが、浅虫温泉と涼子の旅館で過ごした一日は思い出として刻まれ、やがて夜が明けて、快晴の夏の朝を迎えた。








 そして涼子は、彼ら、彼女らの無邪気な寝顔を確認した後、旅館の玄関を開けて、朝の支度に取り掛かった。

















ーつづくー



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