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瞳に映るAiの色  作者: 穂水美奈
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Episode 03:Love Stroke "愛を交わすストローク"




 「・・・・・・・・・」 (友加里は、黙り込んで話そうとしない。)








 「ねぇ、、、友加里ぃ!! 黙ってちゃわかんないよ…。」








 「うん。。。隆太。 あのね、、、ウチ、愛莉に、隆太はウチのカレシだって話したら笑われちゃって…。 ってか、愛莉だって隆太に気があるくせに笑ったから超ムカついてさぁ…。。。」











 ---要は、二人の間に起こってしまった恋愛論争と、三角関係になった現状についての愚痴を事細かに聴かされたのだった。











 「友加里ぃ!! あのさぁ、、、中学3年間だけ恋人でいようとかって、いっそのことナシにしようよ!! ってか、普通に仲のいい友達ってことにしようよ!! その方がお互いのためだって!!」








 …友加里は、心で何か爆発しそうなものを必死で抑えるかのように、震える声でそれに答えた。








 「りゅ、、、隆太ぁぁぁぁぁ…。。。 ダメなの!! ウチ、、、どうしていいかわかんないんだよぉぉぉぉ…」








 「ぼ、、、僕だってそうだよ。でもさ、お互いの進路ってものが違えば、恋愛だって色々と無理が出てくるの、わかるじゃん!! けど、僕は友加里が、学校で一番のガールフレンドだってことだけは、絶対だって言えるよ!!」








 「そ、、、そんなぁ、、、隆太。。。 愛莉とも仲良くしちゃってるくせに、ひどくね!?」








 「い、いや、、、愛莉は、その、、、 水泳がまだ未熟だから、僕に教えてほしいってだけで…」








 「あーそー。 それで部活の後にマンツーマンで個人レッスンってわけ!? 仲いーんだねぇーーー(棒読み)」








 「いや、、、だって友加里ぃ、部活中じゃ、誰も丁寧に指導してくれないじゃん。 本当は、女子同士で、友加里が愛莉に水泳教えてあげれば一番いいのに…」








 「はぁ!? 何でわざわざウチが愛莉にぃ!? 敵に塩送るみたいなことできるかよぉ!!」








 ----結局、小一時間ほども電話で話しただろうか。 恋愛3年縛りの件は、結局明確な解決を見ないままで、この日から数日、友加里と話す機会が激減した。











 学校生活も慌ただしく進んでいった。部活はもちろん、勉強も徐々に歯ごたえを増していき、テストなどでは小学校時代とは比べ物にならない緊張と重圧を感じ、それぞれがそれぞれの「経験」を積み重ねていった。








 隆太と友加里は、お互いにぎくしゃくした関係のままだが、先日の遠足の時は、何とか一通りの会話を交わすことができた。 バスに酔ってしまった隆太を介抱したことがきっかけで、友加里は若干、隆太との距離を取り戻したかのように思えていた。








 …ちなみに遠足そのものは、何だか小学生のそれと大差なく感じられたので、隆太たちのみならず、みんな淡泊な感想を抱いただけで終わった。











 初夏の陽気の続くようになった、ある休日のこと。





 隆太は、愛莉に誘われて、A市の市民プールへ出かけて行った。勿論、隆太に水泳のコーチをお願いしてのことだったのだが、隆太がこれに応じたのには理由があった。








 愛莉は、オリンピック選手を目指す…なんて大仰な目標を抱いている割には、水泳がなかなか上達しない。





 それで先日、顧問の矢野先生や、先輩である杏奈にこっ酷く怒られたのを見ていたからだ。








 矢野先生は、30代半ばの男性教師で、水泳部の顧問にはうってつけの体格を持っている。それでありながら、担当教科は音楽という、少しギャップのある先生だ。





 だが矢野先生は、隆太たちのクラスの受け持ちではないので、授業を受けた例はなかったが、実は友加里は、近々矢野先生に、作曲家になるにはどうしたらいいか、進路の相談のようなことをしようと考えているらしい。








 先生のいない時間帯は、部員は皆、練習メニューに従って、クロール、背泳、平泳ぎ、バタフライなどのリレーなどを行うのだが、その時の監督役が、杏奈なのである。








 その日、杏奈の怒号がプールに響き渡った。








 「織畑!!あんた、水遊びがしたくて水泳部に入ったのか!?全然気合いが入ってないじゃないか!!!!もっと身を入れて泳げってんだよ!!!!」








 …もちろん、愛莉は愛莉なりに努力してはいる。 しかし、水泳を始めたばかりの彼女には、まだやる気に対し、技術がついてこないのであった。








 「織畑!!そんなことじゃ水泳部クビにされちまうぞ!! やる気ないんだったら今すぐ退部届出して来いよ!!」








 愛莉は、厳しい声と自分の不甲斐なさを目の当たりにして、泣きじゃくっていた。 それを慰めに入ったのが、誰であろう、隆太だったのだ。





 水泳部の練習がとりわけ厳しいのは、県の体育大会でもこの学校は常に、競技で上位を独占してきているので、そのプライドがあるためらしい。





 隆太やあきらは、男子部員の中でもそこでの活躍を有力視されていたが、女子部員の方は、友加里はそこそこの活躍が見込めるものの、愛莉は戦力外とみなされていた。 しかしながら、愛莉は以前、杏奈に対してやはり、オリンピック選手を目指している…と話していた。 杏奈の怒号が飛び交ったのも、その意志を信じてのことだったのだ。











 「隆太…えへ、、、ごめんね。。。 アタシのために付き合わせちゃって。。。」





 「い、、、いや、、、いいんだけど、僕の教え方なんかで、上手くなるかどうかはわからないよ…?」








 「いいんだよ。。。隆太と二人っきりで泳ぎができれば…」








 「え、、、な、、、なんて…?」








 「ああ、、、何でもないよ…♪ さ、行こう行こう♪」




 二人は、スポーツ施設にあるプールへ入った。 ここでは、大人から子供まで、幅広い人が、それぞれの目的を持って、水のスポーツを楽しんでいる。二人もまた、水泳の練習のために訪れたのだが、隆太は何か、これも一種のデートのように思えてしまい、恥ずかしそうに顔を赤らめていた。









 「キック!! キック!! 腕も、そう!! 大きく回して!! みぎ! ひだり! 指の先まで伸ばして真っ直ぐ力を入れ過ぎないで…」








 「ぷはぁ…っ!! 隆太、、、泳ぎ、やっぱり簡単じゃないよね…」








 「あたり前じゃんかーww 僕だって、幼稚園の頃からずぅ~っと練習してきたんだよ。 いきなりは無理だって。でも、練習していけばきっと上手くなるよ!! 愛莉を見てると、ストロークがだんだん上手くなってきたように思えるもの…!!」








 「そう? ありがと♪」











 たどたどしいながらも、一応、水泳の練習を一通り行った。 その後二人はプールを出て、更衣室の外で待ち合わせていた。











 「隆太って、水泳に人生懸けてるとか? 幼稚園の頃からってすごくね~?」








 「そうかな~? 僕って、生まれてすぐの頃から、病気しやすかったんだよ。 それで親が、身体を鍛えさせなきゃ…ってことで、自分の意思とは関係なく水泳始めさせられたんだ…。」








 「そうだったの…。 それって、嫌じゃなかった?」








 「うん。。。一時期は、そう思ったこともあったね。 でも、やっているうちに少しずつ泳げるようになってきて、次々と大会にも出て、そうしていくことが、だんだんと楽しくなってきたね。」








 「そっかぁ♪ でも、意外に、カノジョがいたから頑張れた!!とかだったりしてwww」








 「な…!!なんだよそれ…??」








 「ほらぁ、、、友加里って、水泳の世界じゃライバルなんでしょ? 聞けば、隆太と大会のたびに、タイムとか順位とか競ってたって言うし…」








 「そ、、、それは友加里が勝手に僕をライバルにしてただけだって…。 べっ…べつに友加里がいてもいなくても関係ないって…」








 「ああーーー!!りゅーた(≧▽≦) 顔真っ赤だよ~♪♪ きゃ~っ♪」








 「ちっ…ちがうーーー!!」








 走り出す愛莉を追いかける隆太。 しかしその時、隆太は床の段差につまづき、すっころんで水泳道具をまき散らしてしまった…。








 「あいたたたた・・・・・・」








 「だ…大丈夫? 隆太?」








 「うん…何とか。」











 「ねぇ隆太ぁ、悪いけどアタシ、そろそろ親が迎えに来てる頃なの。 アタシこれから塾行かなきゃならないから、迎え頼んであるんだよ。 散らかった道具拾ってあげたいんだけど、、、ごめんね!!」








 …愛莉は体裁悪そうに、足早に隆太を置いて立ち去ってしまった。








 「ちぇーーーwww なんだよ愛莉のやつ…」








 …ふて腐れた表情をしていた隆太だったが、その時、オーディエンスルーム(観覧席)の方から…








 「うふふふっ…♪ キミ、水泳上手なんだね♪ すっごい元気でうらやましいね♪」








 「…!?!?」











 隆太に声をかけたのは、身長160センチほどの大人の女性であった。








 


 「え、、、あ、、、あの…!?」








 …隆太はこの時、不思議な感情を抱いてしまった。 この女性の瞳に見つめられていると、何か、優しい何かに包み込まれているかのようで、胸の鼓動が高鳴って来る…。だが、友加里や愛莉とは違った、彼にとっては謎のフィーリングだった。








 「あ、ごめんごめん。。。私、ダイエットのために水泳しようかな~ってここに見学に来ていたの。キミは、中学生かな?」








 「あっ…!!はい!! ○○中、1年の、小野隆太と申します。」








 「そう。隆太くんっていうんだね。 私は、磯倉涼子っていうの。 ちなみに、22歳だよ。 浅虫温泉ってところで、実家が宿屋やってて、そこの手伝いしてるんだよ。」








 「へぇ~、宿屋さんですか~。 僕、旅行とかで1、2回しかそういうとこに泊まったことないから、憧れちゃいます~♪」








 「あらぁ、私だって、水泳の経験ないから、キミみたいに上手に泳げる人がうらやましいわよ♪ キミみたいな人にコーチしてもらいたいくらいだよ♪」








 涼子と名乗る女性は、先ほど転倒して散らかしてしまった水泳道具を拾い集め、彼に手渡した。








 「あ!そう言えばさっき転んじゃったよね! けがしなかった!? 何だったら、医務室に連れてってあげるよ。大丈夫?」








 「だ…、大丈夫です。 ちょっと痛かっただけですから。 あ、りょ、、、涼子さん。。。」








 「ん?なあに?」








 「す、、、水泳って、すっごく身体にいいんですよ!! 僕は、幼稚園の頃からやってて、お蔭ですっごく健康に毎日過ごしてますよ♪」








 「へぇ~♪ それはすごいね~。 じゃあ、将来の夢は水泳選手ってことだね♪」








 「え、、、あ、、、いや、、、そこまでは、まだ…」








 「うふふっ♪」








 隆太は、初対面の涼子さん、しかも、自分よりうんと年上の女性でありながら、随分と会話に花が咲いたことに、違和感よりも、暖かいものに触れているような気持ちを抱いていた。








 友加里や愛莉は持っていない、淑やかさ、上品さ…。 








 隆太は何か、急激に心の底からこみ上げて来るものを抑えきれなかった。








 「ああ、、、あの、、、僕、よくここに、練習に来ますから、またお会いしていただけますか!?」








 「え? う、うん…。 それはいいけど…。」








 「あの、、、め、、、メールアドレス教えてくださいっ!!!!」








 「ええーー!? ちょ…、、、隆太くん…????」











 隆太は、自分が突拍子もない行動に出ていることに、自分で気づいていなかった。








 てっきり「お断り」の返事が来るかと思いきや…








 「うん…、いいよ。 キミなら、大丈夫そうだし、本当に水泳教わることあるかもしれないもんね♪」











 ----二人は、お互いのケータイの番号とメールアドレスを交換した。 また、会話の成り行きから、プールをバックにツーショットの写真も撮ったのだった。











 この日は、その後程無くして二人は別れた。涼子は自分の車で来ていたので、隆太を家まで送ってあげようと言ったのだが、流石にそれはご迷惑だとして、一人でバスと電車に乗って帰宅したのだった。











 …涼子さん…、、、 はぁぁ…、、、 やさしい女性だなぁ…。。。











 その夜は、隆太の頭の中は、涼子のことでいっぱいだった…。











 しかし一方で、隆太には友加里との間にある問題「3年限定の恋愛」について、名案を思い付いた。











 「次に友加里に会ったら、好きな人が出来たからきっぱりと別れようって言おう…。」











 …自分の早熟過ぎる恋を振り返ることさえしない隆太だったが、その気持ちは変わらないまま、翌日の放課後、隆太は「話したいことがある」として、近くの公園に彼女を呼び出し、事の顛末と自分の想いを打ち明けたのだった。。。











 すると友加里は…











 「ぷっ…ww あっははははははははははは・・・・・・・・・・・・・・wwwwwwwwwww ナニソレwww 年上好きとか草生えるwww」











 「友加里!! 僕、本気なんだよ!!」











 「うっせバーカwww 大人の女性が隆太のこと好きになるわけないじゃん!! アンタ、からかわれてるんだよwww超おかしーーーwww」











 …笑う友加里に対し、隆太はケータイを取り出して、涼子とツーショットで写っている画像を見せた。











 すると、友加里の表情は一転。 にわかに眉を吊り上げ、瞳の色を変えてこう言った。

















 「…あんた、マジでふざけんなよ…!? ああ!!!!」

















 時間が凍り付いたような夕暮れの公園に、二人が無言で佇む姿がいつまでも残っているかのようであった。




















-つづく-








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