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瞳に映るAiの色  作者: 穂水美奈
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Episode 01:Distance ~Aiつとの距離~

 クラスメイトの女子、友加里にファミレスに呼ばれた隆太。レストランの片隅にある席で、友加里は注文してあったスイーツとドリンクを口にしながら、隆太にこう言った。









 「隆太…あのね、、、マジで聞いておきたいことあるの!」





 「え…!? あ、ああ、、、何?」








 アップテンポな店内BGMとは裏腹に、二人の間に妙な緊張が漂った。





 …ひと呼吸置いて、友加里は持っていたコップを”トン!!”とテーブルに置いて…








 「隆太ってさ、好きな女子いるの?」








 (…やはりそういう話だったか。こういう時にどういうリアクション取ればいいか全然わかんないよ…)











 隆太は黙り込んだまま、下を向いてカタカタと震えていた。だが、友加里はというと、どこかそんな彼をほくそ笑むように、淡々とした視線で眺めているのであった。








 やがて、おもむろに友加里は…








 「ま、ウチのこと好きだって言えないのわかってるって。喋れないってことは、別に他に好きな女子いないってことだよね。あ、ウチは隆太のこと好きだよ。」








 (はぁぁぁぁ…!?!? い、今、僕のこと、好きだって言っちゃったよな…!?!? なんの臆面もなく…飄々と…)








 「んあっ…!!いや、、、そのさ、、、ぼ、僕が好きっていうのは、、、そのっ、、、と、友達として、だよ。。。ほら、思い起こせば僕が水泳クラブに入ってすぐの頃、独りぼっちだった僕に声かけてくれたのが友加里だったじゃん!それから小学校でも普通に話しするようになったし、泳力測定の時とか、大会の時とかにライバル意識持つようになったし、、、」








 友加里は、さほど表情を崩さず、スイーツを黙々と口に運んでいた。








 「…ふぅーん。。。そうだったっけ? ま、言われてみればそんなことあったかもねー」








 しかし隆太としては、未だに友加里との仲について、腑に落ちない点がいくつもある。頭の片隅には愛莉のこともチラついていたが、取り敢えず友加里に思い切って、今ある自分達の仲が、何故に作られたのか問うことにした。








 「な、なぁ、、、友加里? そもそも何で、全然かっこよくもなくて、普通すぎる僕のことなんか好きになったっていうんだよ…? 他にも友加里が好きになりそうな男子っていっぱいいるのに、何でだよ…??」








 友加里は、この時ようやく、表情を緩めた。何か、見えない距離が少し縮まったかのような感触を受けて…








 「だって、あんた以外に話せる男子いなかったしーww」








 「えぇ…?まさか…??」








 「考えてごらんよぉ。小学校の時もそうだったけど、男子たちって話聞いてりゃ決まっていやらしい話挟んでくるじゃん!! あと、わけわかんないこともやってるし…。 でも隆太って、そういうとこほとんどなかったし、あんたと話してると凄い楽しかったし、、、で、、、気が付いたらガチで好きになっちゃってて…」








 「…、、、(俯き、言葉を選んでいる隆太だが、適切なセリフなど決められない…)」








 …すると友加里は、テーブルを両手で”ドン!!”と叩いた。








 「ちょっと隆太!!聞いてるのぉ!? ウチ、真剣に言ってるんだよ!? 隆太の真面目で優しいトコ好きになったって言ってるんだよ!?それもわかんないくらい鈍感な奴だったっけ!?はぁ!?!?」








 「まま、、、待て、待てってばぁ…!! …っつーか、女子にそんなこと言われたり思われたりした試しなんてなかったし、小学校時代の友加里って、他の女子と一緒に僕のことからかったり馬鹿にしたりしてたじゃん。。。 …ってかそれ以前に、彼氏とか彼女とかって意識さえあるはずもなかったじゃんか…」








 友加里は、少し瞳に涙を浮かべて…








 「そ、、、そりゃ、、、そうだよ、、、ね。 あの時はホントに悪かったよ…。 でも、でも、、、隆太のこと実は好きで、、、好きな相手に素直になれなくて、、、それに、もし隆太のこと好きだってみんなにバレたらって思うと怖くって、、、 クスッ…ん クスッ…ん、、、」








 友加里が少し泣いている。普段は強がっている彼女でも、こんな状況になるとは青天の霹靂だ。








 「ね、ねぇ友加里…、ごめん。。。僕、そんな気持ちに全然気が付かなかったよ…。 確かに友加里って、僕とすごく仲良くしてくれたよね。僕も、女子の友達いたこと、嬉しかったよ。」








 「じゃあ、愛莉の昨日のこと、どう感じてるの??」








 「昨日のことって…??」








 「手握られたり、コク(告白)られそうになったりして…。。。愛莉もそこそこ可愛い系だし、まだ誰とも親しくしてないから、下手すると…隆太は愛莉に…」








 隆太はドッと汗を噴き出しながら…








 「そ、、、そんなたった一日で、いくらなんでも…」








 「そ、、、そうだよねーww ま、愛莉が手握ったくらいで、隆太の心まで握ったなんてことはないってわかってたけどさーww」








 「あ、でもさ、手握られて、ちょっとドキっとしちゃったけどね…」











 ”バシャッ!!!!”








 …友加里は手に持ったコップの水を、隆太の顔目掛けて投げつけた。








 (+□+)"" 「な、、、何するんだよぉ…」








 「うっせ!!ww 今の一言マジムカつく!!!!」











 再び、二人の間を沈黙が包み込んだ。店内BGMが、二人の耳に妙に印象深く入り込む…











 やがて友加里は、ある決心をしたかのように…





 「隆太…。ごめん。。。つい、カッとなっちゃって…。。。 とりあえずここ出て、青い海公園に行こうよ。 そこで、もっと大事な話あるからさ…」








 「え…、、、うん。。。」








 …二人はファミレスを後にした。隆太は今回の会計を割り勘にされてしまったことに納得いかない様子だったが…。











 春らしい陽気の漂う街を二人で歩いた。 青い海公園はここから歩いてもさほど時間はかからない。 街路樹の桜が満開に咲き誇っており、否応なく二人の恋心をくすぐった。








 友加里は歩いているさなか、しきりに右手を隆太に差し出した。





 「ほら!手!!」








 「え…?? 手が、どうしたの??」








 「はぁ?? 手出したら繋げよww」








 「えええっ…!? そんなこと… 誰かに見られでもしたらどうするんだよ…」








 「誰かって、誰が見てるっていうのさ! 男子とデートして手も繋がないとかどんだけよwww」








 「こ、これってデートだったの…??」








 「あたり前じゃんww 男女で出かければ大体デートに決まってるじゃんwww ばっかみたいww そんなこといちいち聞くなんてさ…」








 隆太にしてみれば、そこまでの意図も思惑もなかったので、このシチュエーションは相当に心臓を揺さぶった。思えば女子とデートというのは、これが人生初かもしれないので…。








 隆太は、周りの視線を気にしながらも、友加里の手を握った。…というか、緊張のあまり、「掴んだ」と表現した方が正解だろうか??








 「ちょwww なにそんな繋ぎ方。。。 ちゃんと手のひら同士くっつけて、腕組んでさぁ…、、、そう、いわゆる、恋人つなぎってやつでさぁ…」








 「あわわわわ、、、」








 隆太の胸の鼓動は最高潮だった。 しかしそれは、友加里だって同じだった。 彼女にとっても初めての「デート(仮)」は、緊張しないはずがない。青い海公園までの1キロにも満たない距離は、妙に長くも短くも感じられたが、二人に共通していたことは、お互いの物理的距離は「ゼロ」まで縮まったことへの嬉しさだった。








 よく見ると他にもカップルで手を繋いでいる男女はいる。 勿論、自分達よりも年上の人ばかりだが…。








 隆太は、もし僕達が恋人同士だと悟られたら、何というマセた子供達だ…とあきれられるだろうなぁ…という心配もしていたが、街の色に溶け込んでしまえば、そんな不安も無用の長物に過ぎなかった。








 「あ、隆太、ちょっとそこのコンビニ寄っていこ♪ 公園で食べるおやつとか買っていこうよ♪」








 「へえぇ…? 普通にさっき食べてたくせに…??」








 「いいじゃん。 別腹ってことでさww」








 コンビニに入る時も、もちろん”恋人つなぎ”のままである。 だが隆太もある程度、友加里の心が伝わって来たのか、若干の度胸も据わってきたようだった。








 そう思いつつ、コンビニに入った。 店員のお姉さんの元気な挨拶が飛んでくる。











 「いらっしゃいませこんにち・・・・・・・・・はぁーーー・・・!?!?」











 コンビニのお姉さんも、隆太も、一瞬、石になってしまった。











 それもそのはず。 彼らが立ち寄ったコンビニの店員のお姉さんは、誰であろう、隆太のお姉さんだったから。








 (お姉ちゃん、学費のためにコンビニでバイトしてるって聞いてたけど、まさかここだったとか冗談だろ…??)








 (りゅ…、隆太…!?!? 弟が女の子と手繋いでコンビニご来店とか信じられないんですけどwww)











 「どうしたの?隆太?」








 「あああ、、いや、あの、、、!! ってか、手、一回離さないと、買い物しづらくないかなーーーって…」








 「平気だよ。 むしろカレカノの雰囲気味わえて最高じゃんwww」











 …隆太はこの状況を、もはや脳内で整理できないほどにパニックになっていた…。








 結局、おやつ&ドリンクは友加里が選び、買い物かごに入れた状態でレジの”隆太の姉・流美”のもとへ”二人で”会計にと差し出した。








 「お、、、弟www いったいいつの間にこんな彼女作って…。。。」








 流美は、いま仕事中でなければ、無理矢理に二人を引き離してでも事情を聞きたいところであったが、客として弟が(彼女を連れて)訪れても、普段通りに接客しなければならない。(当たり前だけど)








 (カタカタと手や声を震わせて)「いらっしゃいませ~、ポイントカードはお持ちですか~?」








 「あ、友加里、ポイントカード出せって」





 「いいよ、隆太の出しなって♪ さっき水かけちゃったお詫びにポイント分あげるって♪」





 「そんな悪いって、、、僕の分まで買ってもらっちゃってるのに…」





 「気にすんなってぇ♪」








 …流美は、色々な意味でイラっと来てしまい…








 「あのお客様、恐れ入りますがお早くお願いします…。コホン!」








 結局、ポイントカードは隆太が自分のものを差し出した。「はい、カードお返ししま~す…」(震え声)











 当然、友加里はレジのお姉さんが隆太の姉であることを知らない。 ゆえに、タジタジな応対になっている理由もわかるはずがないのだった。








 (あ、きっと新人さんなんだね。今日初めてレジ担当したとか…)








 …彼女的にはその程度だったが、隆太の脳裏には、これから来るであろう恐るべき試練が想像され、戦々恐々といった表情を隠し切れなかった。








 …何とか会計を終えて、「ありがとうございました~またお越しくださいませ~」の声に送られて、コンビニを後にした二人。








 再び”恋人つなぎ”にしたものの、隆太は今にも失神しそうなくらい、手足がガタガタになっていた。








 「ちょwww隆太ぁ? どしたの?? トイレ行きたいのぉ??」








 「え、、、あ、、、うん、、、実は…そうなんだ…。(嘘だけど) ごめん、ちょっとだけトイレ行かせてっ!!」








 「んもうww ま、言い出せないのわかるけどねーww」











 友加里のもとを離れて、隆太は一目散にビルの陰に隠れ、ケータイを開けてメールを打ち始めた。





 送信相手は、さっきのお姉さん。。。 つまり、姉に対してだった。











 From:隆太 お姉ちゃん、さっきのこと、お願いだから家族にも誰にも絶対言わないで!! 本当にお願い!! ちゃんと後で事情説明するから、とにかく誰にも黙ってて!! お願い!!」 -END-











 要するに、姉に対する口止めだったのだ。








 もっとも、まだ勤務中の流美がメールを見るのは、まだ先になりそうだが、隆太としては、あの状況をまじまじと見られてしまっては、以後どんな目に遭うか想像に難くない。 姉がおしゃべりな性格であることを知っていたので、なおのこと黙っていられなかったのだ。








 (頼むよ姉ぇ…、、、僕の人生懸かってるからさぁ…)








 …不安顔を何とか隠しつつ、友加里の待っている場所へと戻った隆太。








 「おっせぇ!! 男子のくせにおしっこなげぇよwww」








 「ああ、ごめんっ…、まぁ、いいや、行こうよ。」








 「うん…。じゃ、また、手、繋いでさ…」






 …そして、二人は青い海公園にたどり着いた。 涼やかな風の吹く午後の海を眺められる、絶好のデートスポットだ。幸い今日は、さほど人気もない。 隆太と友加里はベンチに腰掛けて、海鳥の声が優しく響き渡る海を眺めながら、二人きりの時間を過ごそうとした。









 だがこの時、友加里の表情は少し強張っていた。








 「あれ…?友加里?顔色悪くね?? 大丈夫??」








 「りゅ、、、隆太…。。。 さっき、大事な話するって言ったよね。。。」








 「あ、ああ。。。 でも、何さ、それって…」











 友加里は、一度深呼吸をして、水平線の彼方を見つめながらこう言った。











 「あんたとウチの関係だけど、中学出たら終わりってことにしようね。」











 「え、ええーーーっ!?!? …な、、、何でさ、友加里!?」











 「うん…、、、だって、、、私達のためだもん…。。。」











 「…????」














 -つづく-

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