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夜の待ち合わせ

久しぶりの更新です



空から星が降ったら、何を想うのが正解だろうか。


『この世の終わりかな』


空に輝く光が好きな君が。僕の肩に寄りかかる君は。哀しそうに、そう答えたっけ。





空に川が流れるとき。一度だけ、会うことが許されるとき。





僕から触れることは出来ないから。

僕から会いに行くことは、出来ないから。


ただ、待つよ。1人分空いた隣に、来るはずもない何かを待ち続けるよ。


輝く星は、泣きそうなほど輝く。綺麗だね、伝えることも出来ない言葉をほろ苦いコーヒーと一緒に飲み込んだ。




あと、何回続ける?

届くはずもない、報われることもない。

約束のない待ち合わせに、訪れるはずのない再会を。



それでも待つのは。ひどく単純で幼稚で、純粋な本音。



「好きだよ」


もう伝えられない。分かっているのに、この言葉だけはいつまでも飲み込めないんだ。




◆◆◆◆




『ありがとう』




◆◆◆◆




聞こえた声が、僕を眠りから覚ましてくれた。


少し重たい瞼、ぼやけた視界で声の在りかを探す。それでも見えるのは、空を流れる大きな川だけ。





気のせいだ。幻聴が聞こえるくらい、疲れているんだ。


君はいない。肩に少し残る温もりは、夏の風のせい。


そう、ありえない。死んだ人が、蘇るわけない。それが正解。当たり前の事実。



・・・だけど今日は。一度だけ、会える日だから。

信じてみても、いいよね? 誰かに馬鹿にされても構わない。

この星の川が綺麗に見えても、見えなくても。それが今そこに輝くことは、変わることのない本当だから。



君だったらいいな。いや、君だったんだ。疑い深さや現実主義は、君が嫌いだったね。

少しくらい、夢を見よう。夢に、落ちよう。






「好きだよ」


君は、知ってる。なんて返してくれるよね。


「会いたいよ」


君は素直に、答えてはくれないだろうね。



「・・・ さよなら」



君に、言えずにいた言葉。・・・ これで、僕と君は、本当に終われるかな。





ただ君が好きでした。本当に、面白くもない単純な気持ち。でも嘘偽りない、本音。


だから、さよなら。君に、そして僕の気持ちに。 ・・・ もう、前を向いて歩くよ。





「・・・ 綺麗だね」



届くはずのない言葉も、これで最後にするよ。


溜め続けてた言葉は、涙になって溢れる。でも、これで・・・





『待ち合わせ場所は、天の川の見えるあの丘』





天の川は、優しく切なく輝いている。


僕と君がいた場所。君がいなくなった場所。僕が待ち続けた場所。






にじむ景色を、目に焼き付ける。




最後の君を。忘れないようにと。






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