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ホラー系

そして彼女は物理で解決させました。

作者: 文月 譲葉

目指すはちょっと怖い?B級ホラー。

但し作者はホラー苦手です。(←おい)

 逢う魔が時。彼女は車通りの少ない町外れの道路を進んでいた。運転しているのは小さなボディの軽車両。



ゾワ……



 クーラーの効いた車内で、彼女はナニかの気配を感じた。バックミラーをチラリと覗き込むがそこには何も写っていない。



どこだ?どこにいる?



 彼女は不自然にならない程度に視線を動かし辺りを窺う。しかし寒気の原因は見つからない。……と、その時。視界に顔が入ってきた。その場所は足元。そう。アクセルを踏む右足の、その右側に顔があるのだ。今はまだその顔と視線はあっていない。しかし目を合わせてはいけないと彼女は本能的に察した。

 減速がバレたらどうなるか分からない。

 彼女は本来なら右足で踏むブレーキにゆっくりと左足を移動させ右足から少しずつ力を抜く。同時に左足に力を込め車を減速させ、メーターが30キロになった瞬間路肩に停車させた。流れるような動きでエンジンを止め鍵を抜く。そしてアクセルに乗せていた右足を持ち上げーー



ガスッ



 足元に浮かんでいた顔を踏みつけた。力を込めた爪先をグリグリと眉間にねじ込む。爪先から力を抜くと今度は踵に力を入れ前歯を砕いてやるとばかりに口元を踏みつける。



おい。テメエ何のつもりだ?誰の許可を得て私の車に憑いてるんだ?



 容赦無く蹴りつけながら足元の顔に詰問する彼女。



あぁ。別に言い訳が聞きたいわけじゃねぇんだ。喋んなくて良いぞ?そうだな。私は優しいからな。選ばせてやるよ。自ら成仏すんのと強制的に成仏させられんのどっちが良いよ。



 獰猛な笑顔で彼女は足元の顔に選択肢を与えた……ように見えたが。



自分で成仏出来んならそもそも私の車に憑かねぇか。やっぱり私が責任を持って成仏させてやるよ。……物理で……



 ボソッと付け加えられた最後の言葉に、足元の顔は表情を引きつらせたように見えた。しかし彼女はそんな些細な事など気にもとめず、ドアを開けると勢い良く足元の顔を外へと蹴り出した。車内から無理矢理引きずり出された頭だけのソレに、彼女は足を乗せる。その姿は正にサッカーしょうねn……いえ、なんでもありません。



私さぁー……流石に除霊とか成仏ってのは得意じゃなくてな?どうしても物理になっちゃうんだよねぇ。でも大丈夫だろ?テメエに体なんてねぇんだから痛みなんて感じないって。



 それはそれはとても良い笑顔で彼女は宣うと、踏みつけていた頭を蹴る蹴る踏む蹴る。頭の形状が変わってきているようにも見えるが彼女は止めない。そしてとうとう頭は輪郭を無くし消滅したのであった。彼女は良い仕事をしたと満足気な顔で車に戻り、再び走り出したのであった。





*登場人物*


彼女

少々?気性が荒い。霊感と言うよりは野性の本能が強いだけの普通の、極々普通の(大事な事なので二度言いました)若い女性。悪質な霊を物理で強制的に成仏させちゃうまさかを本編中でやらかした。多分今回が初めてではない。


彼女の車に憑いていた霊

かなり悪質な霊。つまり悪霊。今までに何人も事故に合わせたり死なせたりしている。本編中でも彼女を事故に合わせてあわよくば殺してやろうと企んでいた。しかし相手が悪かった。物理で成仏させられるなんて体験したくなかった。

すまん、彼女ストレスフルな日々を過ごしてたらしく勝手に動いてな……


読んで下さりありがとうございました!

この話で読んで下さった貴方に小さな恐怖を与えられたなら幸いです。


誤字・脱字の指摘、感想や評価を頂けると喜びます。気軽に餌やりして下さい!←

そしてタグ付け苦手なので良いタグあれば教えて下さいませ!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] これは悪霊さん運が悪かった。 でもまあ自業自得だからしょうがないですね。
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