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詩*海辺にて*

巻貝

作者: a i o

愛について

しゃべり尽くした君は

一呼吸おいて

貝になった

白と茶色の斑点の

小さな巻貝は

ひたすらに沈黙を守り

耳にあてると

微かに風の音がした


あんなにも

やかましくいた君は

こんなにも

優しい静けさを纏っていて

沈む夕陽を前に

浜辺に座り込んで

呆気にとられたまま僕は

君の一番尖った場所を

指でつついてみる


君はいつも

何かに飢えていて

僕はいつも

与えられずにいて

きっともう

ポケットには砂ばかりだったから

君はこうして

今は海としか語らない


並んで歩くことに

満足してしまう僕

交わりたくて

しょうがない君


心地よい沈黙の中で

僕は後悔ばかりしていて

君は貝になって

僕の手のひらで

海ばかり見つめている


指先でなぞる曲線

だんだんと

膨らんでいく形

夕暮れに熱を失った砂

空っぽのポケット

君の声が聞きたくて

そっと耳にあてれば

打ち寄せてくる波の音を

もう二度と

こぼさぬように





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