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連続投稿です。過去話もこれまでだ!!

冒険者は厳しい職業である。

ランクが高くなれば身の入りは大きいが、一番底辺のGランクの頃は貰える収入と支出が同じ位、もしくは支出の方が大きくなることはしょっちゅうで、武器も防具も買うことが出来ず、最初は苦しい生活が続いた。

こんな生活が嫌にならないわけがなかった。

何度も家に帰りたいと思った。

しかし、それをしなかったのはユイナと一緒にいたいという気持ちの方が上だったからだと思う。

ユイナはめげなかったし、弱音も吐かなかった。

そんな彼女を見ていたら、俺も弱音を吐くわけにはいかなかった。


しかし、それでも差はつくものである。

長いような短いような貧乏冒険者の期間を終え、順当にランクを上げて行った俺達はCランクまで上がっていた。

その頃から戦闘で俺が怪我をする回数が多くなっていった。

悪いときにはユイナに庇われるときもあった。

そして、


「次のクエストから別行動にしようと思う。」


俺への死刑宣告であった。



そこから二人の差はますます広がって行った。

Cランクで停滞する俺と、Aランクまで上がって行ったユイナ。

クエストが異なるため、すれ違いになる生活。

接点があるとすれば自分たちの集落付近の魔物を討伐しに行くときくらいだった。

一緒に住んでいた宿も別々になった。

ランク的にも実際の距離的にも離れていった。

そんなあるとき、偶然暇な時間が重なったので一緒に食事をする機会があった。

久々のゆっくりとした二人の時間に俺は浮かれていた。

そんな帰り道、


「ユイナさん、好きです。俺と付き合ってください。」


突然俺達の前に現れた男はユイナに向かってそう言い放った。

その男は何回か一緒にクエストをこなしたことのある男だが、ここ最近あまり接点はなかった。

10秒ほどの沈黙。

俺はいきなりのことに呆然として何も言えなかった。


「悪いがお断りさせてもらおう。」


ユイナはその男に向かってそう言った。

安堵する俺。

だが、その後にユイナが続けた言葉に体を撃ち抜かれたような感覚になった。


「私は自分より強い男とじゃないと付き合わないし、結婚もする気がない。」


ウォルスが私よりも強くなった時に結婚しよう。

彼女の言葉は俺に向かってそう言っているような気がした。

ここ最近停滞している俺への叱咤と激励を込めて。

あの時ユイナがそう言った本当の意味は分からない。

だけど俺にはそう聞こえたんだ。


その日から彼女よりも強くなることが人生の目標となった。




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