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短いです。というか最初を長くし過ぎました。でもこのままいきます。
その日からユイナは変わった。
毎日朝早く起きて、走りこんでみたり、腕立て伏せをしてみたりの基礎訓練や、そこらへんに落ちている少し重めの木の棒を荒削りした木刀のようなものを素振りしてみたり、思いつく様々な訓練を行うようになっていった。
訓練もしばらくして、森の小型の魔物を狩ってみたりと実戦形式も取り入れ始めた。
変わったのはそれだけではない。
少し甘えん坊だった性格は次第に自分を追い込むようなストイックなものになり、言葉遣いも固くなっていった。
訓練には俺も付き合っていた。
俺に具体的な目標はなかったが、たぶんユイナのそばを離れると、このままいなくなってしまうかもしれないという焦りのようなものがあったのだろう。
目標のある者と目標のない者。
その実力差は日が経つにつれ大きく開いていき、14歳になる頃には俺はユイナの足元にも及ばなくなっていた。
「ここを出て行って、冒険者になろうと思う。」
ユイナの14歳の誕生日も間近に迫った頃、突然ユイナはそんなことを言った。
冒険者は14歳から登録することが出来るので、それまで待っていたというのだ。
再び俺の両親との話し合いは行われた。
長い話し合いになったが、結局俺の両親が折れ、ユイナはここを出ていくことになった。
俺は焦っていた。
ユイナがこの小さな世界から外の世界に旅立ってしまう。
ユイナがいなくなってしまう。
「お、俺も冒険者になる。」
相当に焦っていた俺は、ユイナに便乗する形で集落を出ることとなった。
集落を出るのはユイナの誕生日の次の日に決まった。
どうしても誕生日を祝いたいという俺の両親の願いをユイナが聞き入れたためだ。
あっさりとしていたが、暖かい雰囲気で誕生日は行われ、俺達は旅立つこととなった。
集落が町から遠いとはいえ、町には3日ほどで着いた。
道中はたいした魔物が出ることもなく、野営が辛かったくらいで問題も起こらなかった。
町に入り、すぐにギルドに行く。
そして、俺達は冒険者となった。