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21話を投稿します。

感想を書いてくれた方ありがとうございます。

「じゃあ乾杯な。」


「ああ。」


そう言ってグラスを合わせる俺と魔王。

さすが魔王だけあって、持っている酒はとてもおいしいものだった。


「なあ、魔王の仕事って何をやっているんだ?」


一杯飲んで一息ついたところで俺は魔王に話しかけた。


「魔王の仕事か。街にいる魔族たちからくる嘆願書などに目を通して、その解決策を考えたり、普通の兵士じゃあ倒せない魔物が現れた時には俺が倒しに行くこともある。あとはステータスでスキルを判別する奴よりも格上の奴がいた場合、そいつがステータスを見てもスキルがわからないだろ?だから、そういうときに俺が見てやることもある。あとはずっと書類を書いている。」


最後の一言を言うときに魔王は暗い顔をした。

ずっとの所を強調していたので、よほど休みがないんだろう。


「大変なんだな。」


「まあな。でもみんなサポートしてくれるから何とかやれている。じゃあなければとっくに逃げ出してるよ。」


そうだよな。

見たところ俺と年も変わらなそうだ。

ユイナもギルドマスターという大変な仕事をしているが、こっちは魔王だもんな。


「なあ、魔王は今何歳なんだ?」


「おい、俺のことは名前で呼んでくれていいぞ。魔王とかどうせ肩書みたいなもんだから、名前で呼ばれた方が気が楽だ。あと年は今年で19歳になる。」


なるほど一歳年上の人だったのか。


「わかった。カイトと呼ばせてもらう。」


俺はそう言って再び杯を空けた。




「なあ、どうしてウォルスは旅なんかしているんだ。」


しばらくくだらない会話が進んだところで、カイトがそう切り出してきた。


「なんで俺が旅をしているなんて知っているんだよ。」


カイトとの会話の中で俺が旅をしていることについては一切触れていないはずだ。


「ん?ああ、それはお前らがとばされてきたときにミーアが言っていたからさ。俺の目の前で必死に、私たちは旅をしているだけです。魔族の方に危害を加えるつもりはありません。って、何回も言っていたな。」


「そんなことを言っていたのか……。」


ミーアは、自分は落ち着いていたと言っていたが、やはり混乱していたようだ。

普通目の前を魔族に囲まれたら混乱するよな。

俺を心配させないようにしてくれていたらしい。

本当に優しい奴だ。


「俺が旅をしていた理由は強くなるためだ。」


俺はそう言って杯を空ける。


「何のために?ウォルスはたぶんそこらの町では強い方なんだろ?生活していく分にはそこまでの強さは必要ないだろ?旅をしてまで強さを求める必要があるとは思えないが。」


「いや、俺は強くなる必要がある。盗られた女を取り戻すために。」


持っているグラスに力が入った。

力の入る自分の手を見て、力を抜くように心を落ち着かせる。


「とはいっても、勝手に女を盗られたと思っているだけなんだけどな……。」


そう言って一息ついた俺の口は、酔っぱらっていたせいもあるのか、止まることを知らず、カイトに色々と話してしまっていた。





「それでだ、俺はその男に負けた。手も足も出なかった。完敗だったよ。だから俺はそいつに勝ってユイナを取り返そうと思っている。」


「そうなのか。で、その男はどのくらい強いんだ。」


「わからない。けどSランクでギルドマスターのユイナを倒したくらいだから相当強いだろう。しかも確か空間属性の魔法を使えると言っていた。」


「馬鹿な!」


俺の話を大人しく聞いてくれていたカイトは、いきなり大声を上げた。


「今この世界で空間属性の魔法は衰退していて、空間魔法の使い手はいないはずだなんだ。転移魔法ならまだしも、なぜ空間魔法を使える?おかしいだろ。おい、そいつの名前はなんて言うんだ?」


先程までの落ち着いた様子が嘘のように、カイトは取り乱していた。


「そいつの名前はケンイチ=カミヤだ。」


絶対にこの名前は忘れない。

俺の打ち破るべき敵。


「まさかとは思っけど、やっぱりあいつか……。」


ケンイチ=カミヤの名前を聞いたカイトは天を仰いだ。


「知っているのか?」


「ああ。」


行程の返事をしてカイトは、視線を俺に戻し、口を開いた。



「そいつは俺と同じ世界から来た異世界人だ。」


「は?」


俺はしばらく開いた口が塞がらなくなってしまった。。


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