団体戦!出場メンバー決め
如月家 神無月家 水無月家 皐月家
他8つの家がある。この12個の家を世間では
『月衆一族』
と、そう呼んでいる。
他にも多々一族はあるがその中でも頂点を君臨するほど強い一族。
最初の4つの家は特に強く『月衆一族』を支配している。
そしてそれぞれの家に一人ずつ天才が産まれた。
如月舞 神無月零 水無月弓人 皐月香織
この4人がいたときのキング聖空学園には
《レベル10》
という今はないレベルがあり、この4人だけのクラス《10組》が存在していた。
その時の4人を
《月衆の奇跡》
とそう呼んだ。
この4人の内の1人、
神無月零、通称『レイ』
がこの世界の大反逆者。キング聖空学園のある広い地区《千門区》をたった1人で崩壊寸前まで負いやった人物。《千門区》は強者揃いの地区なのだがそれを嘲笑うかのように破壊を楽しんでいた。
これを《千門区の乱》という。
この乱の後、零は姿を消したが弱っていたため世界最高勢力
『世界能力政府』によって捕らわれ世界一の大監獄『カイゼル・ラデン』に幽閉された。それと同時に残りの《月衆の奇跡》たちも姿を消した。彼らの後を知っている者はいない――――
ショートホームルーム前に澪から今の話を聞かせれていた。
「ふ~ん。そんなことがあったんだな。」
俺は澪から話を聞きあくびをかいた。
「もう!何で知らないのよ!千門区に住んでるのに!」
少し強く怒っていたが俺は気にしないで話した。
「そこまで詳しくは知らなかったってだけだよ。そういえばさっき皐月家って言ってたけど、それってお前の家のことか?」
「うん。まあ。そんなとこだね。別に皐月家で産まれたからって私は《月衆一族》を支配したいとは思ってないけどね…」
澪は少し声量を小さく話していたがその理由は俺には分からなかった。だが俺は、問い詰める訳にもいかないと思い、話をそらす。
「そうだ、そうだ!この前校長に聞いたんだけどさ、年に一度ある行事って何?」
咄嗟に思い付いた事を聞いた。丁度いい。どんな行事か気になってたしな。
「あぁ。それはね、団体戦だよ」
「団体戦?」
―団体戦。年に一度に行われる恒例行事。それに伴って『能力リレー』『能力騎馬戦』が行われる、体育祭みたいなもの。団体戦はフィナーレで行われ、各クラス代表六名が参加する。メインが団体戦という事。だからみんなは団体戦と呼ぶ。その3つの競技の総合得点が一番高かったクラスは二名だけレベル9に上がることのできる特別試験が実施出来るという権利が与えられる。だが、毎年レベル9が優勝するためこの権利を手にした人はいない。つまりは、レベル9の者は、誰一人と王の候補者を増やさないという目的があり、その他のレベルは必死にレベル9というレベルに憧れ、勝ち取るという行事―
「なんだか荒れそうな行事だな」
ブルルッと、俺は胸のうちが燃えたぎるかのようにワクワクしていた。トーナメントでは、いい結果が出せなかったが今回は、皆と力を合わせ、レベル1というクラスとして優勝を掴んでやる。
なんて事を思っているとチャイムが学校に鳴り響き、同時に軌道院先生がドアをガラガラガラと開けいつも通りダルそうに「座れ~」と言った。その瞬間にクラスの皆が急いで席につく。俺の隣にはまた、いつも通りのもの静かな少女が座る。転入初日以来、話してないな。彼女の名前は一月凛。彼女が誰かと話しているところは見たことがない。少し気になるな。だけどどうすることもなく座ってると先生が話始める。内容はさっき澪から聞いた、団体戦だった。
「えぇ~。皆も分かるように団体戦の時期がやってまいりましたぁ。という事なので今から出場種目決めをやっていきたいとおもいまぁす。と言っても決めるのは団体戦だけで他は勝手に決めるんだけどねぇ。それじゃぁ誰が団体戦にでるか話し合ってぇ。六人だよぉ」
先生の言葉で教室がざわつき始めた。
だが誰も自分が出るとは言い出さない。
「俺は出るぞ。団体戦!」
俺は、立ちながら手をあげてクラス中に響くくらいの声量で言った。
「おっ。よく言った。あきら君。頑張ってぇ。あと五人だ。誰がでるぅ?」
いつもながらにダルそうに決定を下し、クラス中の生徒の顔を伺った。俺も、皆の顔を伺ってクラス中を見回した。すると澪と目があった。澪は、軽く微笑み目を反らした。おそらく、ファイナルの団体戦には出たくないのだろう。続けて見回すと隣の席の凛と目があい、すぐに目を反らされる。俺は、そのあと仕方がなく席につこうとしたが、先生に教壇に呼ばれた。
「団体戦にでたいひとは前に出ろぉ~。決まるまでずっとこの教室から出さないぞぉ~。」
「僕、でるよ」
そう言い立ち上がったのは差江津快瑠だった。髪が白くて顔立ちが凛としている。女っぽい男が自ら団体戦に参加したいと言ったのだ。
「いいのか?快瑠?」
「う…うん。誰かがやらないといけないなら僕でもいいかなと…いいよね?」
上目使いでこちらを見た。やばい、胸がドキドキしてきた。だがコイツは男だ。うん。男だ。男なんだ。
「大丈夫だよ。ありがとうな」
「なら俺も出るよ」
次に出ると言ったのは、須藤鷹だった。真っ黒い髪が特徴的な鷹が言った。
「おっ!よく言った鷹くん!残り三人!どうするぅ?」
鷹の出場宣言以降、誰も出たいと言う人が現れなかった。一時間目、二時間目と過ぎても誰も出るとはなのりださない。
だが、不意にある少女が自分から名乗り出た。俺はおもいがけずに驚く。
「私が出ます。」
そう言いながら教壇にあがったのは、一月凛だった。ずっと顔はうつむいていて恥ずかしそうだけどな。一度にこんなにも視線を浴びるのは流石にきついよね。
「ありがとぉ。一月君。はい、あと二人!」
凛がこちらの教壇につくと俺は小声でありがとうと言わせてもらった。
残り二人。この団体戦にでたい人はいるのだろうか。だがすぐに残りそう二人が手をあげる。
「なら、私たちも出るよ。」
そう言ったのは、左奥の席の隣り合っている二人。犬井彩夏と猫理冬美の仲良し二人だった。
どちらも髪の毛が長く赤髪でしかも容姿が似ている。初めに会ったときは、姉妹だとおもったな。
結局澪は出てくれないみたいだったな。
最後まで澪はうつむいていた。何が彼女を戦いから遠ざけようとしているのだろうか?
俺には分からない。たぶんわかる日は来ないかも知れない。
「よぉし。決まったな!これでエントリーするぞぉ。残りの二種目は、リレーは全員参加、騎馬戦は男子が上だから私がいろいろと決めておくぞぉ。それじゃ、長い長いホームルームはおしまいだぁ。今は3限だから能力練習に励めぇ」
先生がかったるそうにそう言い、クラスの皆はアビリティ・バトル・ルームへと移動する。団体戦に出る俺たちは解散後に先生に教室に集められた。
「さぁ!団体戦頑張ろぉ」
「いきなりですね。他に何か言わないんですか?」
鷹が先生にツッコミを入れた。
「う~ん。でも俺が何かいってもなぁ。ヤル気出してくれるかなぁ?」
「大丈夫だよん!先生!私たちはもう団体戦に出ようとした瞬間からヤル気だよん!」
「そうなのだ!ヤル気なのだ!」
彩夏、冬美の順番でやる気を聞かせてもらった。ははっ。皆ヤル気じゃね~か。こりゃ負けられないな。
「僕も、ヤル気かな。出来るだけ足を引っ張らないようにします。」
快瑠が前で指を組み、上目使いをしていた。俺はそのしぐさを横から見たとき、胸がドキッとしてしまった。不覚だ。
「ありがとぉ。三人共ぉ。頑張れぇ。凛くんとあきら君は何かないかい?」
「頑張りますよ。次こそは、神無月に勝って見せますよ。いっぱい練習して、強くなって、必ず!」
「いい意気込みだぁ。でも当たれるとは限らないよぉ」
「分かってます。凛さんは、何かある?」
「私も…やるからには…頑張ります…」
「そっか。」
小声に言う凛に相づちをして、先生に凛がヤル気ということを伝えた。
「よし!それじゃぁ。団体戦張り切っていこぉ!」
軌道院先生のいつも通りだるい感じの気合いをもらい俺たちは皆顔を見合わせる。皆は頷き拳を上へ突き上げる。
「「「「「「おお~~~~~!」」」」」」
こうして無事に団体戦出場メンバーは決まったのであった。期待と不安とやる気が同時に感じた瞬間だった。
第9話~団体戦!出場メンバー決め~