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アビリティ・コネクト  作者: 高坂ライト
アビリティ・コネクト ~初回トーナメント編~
6/23

初回トーナメント編~《分岐支配》~

試合前-


「あきら、頑張ってね。あんまり無茶しちゃだめだよ」


俺が控え室へ移動する前に澪は俺にそう言い残した。


「大丈夫だよ。でもせっかくレベル9とやれるんだから無茶してみたいじゃん?」


俺は少し笑みを見せそう言うと澪は笑みを俺に向けてから走って観客席へと向かった。おそらく良い席でも取りたいのだろう。

それから俺は控え室へと移動し制服を整える。俺はすぐにアビリティ・バトル・ドームの選手入場門の前に立った-


開始の合図。その合図が俺の耳を通り聞こえたと思うことができたその瞬間に俺はすぐに攻撃体制に入る。向こう側にいる後ろで髪をくくった神無月に向かって両手を突き出しフォースを集中させる。


「スペース・リセット!!」


これは以前使用した「サイコキネス」と同じ能力。ただ名前を変更しただけだ。

神無月が歪む。何も抵抗もなくただ神無月は俺の攻撃を受けた。

するとあっけなく神無月が破裂し、神無月がいなくなった。観客たちは当たり前だが驚いた。ルール上、対戦相手は殺してはいけない。だが俺は、そのルールを破ってしまったのだと会場から思われてしまったのだろう。

だが、俺は分かる。神無月はやられてなどいない。こんなのでレベル9がやられるはずがないからな。

ならばどこへ行ったんだ。俺は、サブ能力の《超能力》感知を始めた。だがこのドーム上に気配は感じられない。

どこだ?どこにいる?

観客は唖然としていた。

だが、俺は気づいた。攻撃は当たっていないということに。いや、本当は当たっていた。だが、当たっていないという事実にぬり替えられた。

何故分かったか?それは俺の記憶が当たったという意識から当たっていないという意識に強制的に変更させられたからだ。これは何故か自分で認識することが出来ていた。


「分かったみたいだな。まぁ仕方がないか。俺と戦う奴は皆、俺の能力に気づくことが出来る」


声が背後から俺の耳のなかに入ってきた。俺はとっさに振りかえる。そこにはさっき破裂したと思われた神無月が傷1つなくたっていた。


「まあ。気づいたからって俺に勝てるはずもないけどな。」


神無月のその言葉に俺は何故かと問いかけた。

何の溜めもなく神無月は俺の質問に即答する。


「未来は俺が決めることが出来るからだ。俺の能力《分岐支配》でな」


「分岐、つまりは決められた未来の出来事『当てた事実』と『当ててない事実』がありお前がそれを選んだということか」


「その通りだ、だからお前がいくら俺に攻撃しようと全てが無力化する。そしてその逆もある。俺の攻撃は必ずあたる」


神無月はザッ!と地面を蹴り俺の方に走り寄ってくる。俺の顔目掛けて殴りかかる。俺は腰を落とし体を斜めにして拳をよけた。だが確実に避けたはずなのだが時間が巻き戻ったかのように俺は腰を落とす前の体制。ただ立っているだけの状態になっていた。そして気づいたときには記憶と意識が変更されていて、俺の頬に重い拳が直撃した。

俺は十数メートル後ろに吹き飛び、地面にザーーーとこすれた。


「くそっ。なんて能力だ」


俺は立ち上がりながら体についた砂を払い落とした。


「どうだ?分かったか?あんな単純な拳でさえお前は避けることも出来ないんだぞ?」


「そうみたいだな。でもこんな拳ぐらいじゃ俺は倒れないぞ。」


頬を殴られたせいで口端から血が出ていた。それを右手でぬぐう。

一度、いや一瞬場は静止したがすぐに俺は動き出した。それを見た神無月も動き出す。双方に向かって走り出し、お互いが1mぐらいの距離まで近づくと走っている時にためたフォースを使い俺は技を放つ。


「マーズ・スペース」


この技を使った瞬間、周りは炎に包まれた。

神無月が俺殴るがそれは俺とすりかわった火星に似た炎の球体だった。火星とはまったく別物だ。

球体は燃え上がりながら周りにもある炎の球体が神無月に四方八方から襲いかかる。全てが神無月に『当たった』。

だが『当たっていない』。全てを避けている事に『されていた』。


「もう諦めろ。お前じゃあ、俺に傷すらつけることができない。所詮、貴様はレベル1だからな」


「言ってろ!絶対倒してやる」


俺は口元の端で微笑していた。圧倒的な力の差がある相手。これほどワクワク出来ることがあるか。



だが、一瞬。



そんなことを考えていた一瞬だ。



瞬きをして目を開ける。



その開けた瞬間に神無月が目の前に現れ通り抜け様に俺の耳元でささやく。



「お前。つまらないな。もう飽きたし。」


「いや、もう終わった。」


そう聞こえたときにはもう遅かった。目の前には神無月が作り出したであろう、とてつもなく大きな、このドームの半分はあるだろう炎の球体があった。


「!」


「力の差に絶望して散れ」


俺の造り出した球体とは比べ物にならないほどに大きな炎の球体。それがもろに俺の心と体をボロボロにした。


「安心しろ。死ぬことはない。だが恐怖だけは刻んでおいた」


俺は、その時には意識はなくそのまま倒れていた。力の差は歴然だった。ほぼ手も足も出ずに一方的を受けたかのようにあっけなく敗北者となった。試合は10分も経つこともなく決着はつく。


第21回戦 勝者 神無月和



第6話 初回トーナメント編~《分岐支配》~

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