《空間支配》
俺の番になり、俺は構えた。両手を前に突き出し目を閉じて神経を集中させた。
集中させ終わり目を見開く。
目の前にある、岩に攻撃するか壊れている岩を回復させるというルールだっため前者を選んだ。
「サイコキネス!」
技を発動した途端、岩が浮き上がる。すると、空間が歪み岩が破裂し破裂音が響き渡る。岩は原型をとどめておらず粉々になった。
周りの皆は驚きのあまり耳を塞ぐものもいたし、目を大きく見開いている者もいた。だが最後には歓喜が沸き上がり気分は悪くなかった。
「以上です。」
お辞儀をすると俺は後ろに下がった。
「はいありがとう。次の人~」
俺は誰もいない場所へ一人立った。ボーッと他の人の能力を眺めていたら誰かが俺に向けて声をかけた。
「あきら君凄いね~」
俺は振り返った。そこにいたのは髪の毛が青くて長く童顔な可愛らしい女の子だった。
「そ、そうかな?」
初めてだよ。自分の能力を他者から褒められたのは。だから俺はおもわず照れていた。
「うん!トーナメントではいい結果を出せるんじゃない?」
「まだ無理だよ。力の差が違いすぎるって。」
「そうかな~?でも頑張ってね!応援しちゃうぞぉ~」
そう言うと彼女は拳を軽く俺の胸にトンっとぶつけた。
俺は一度その拳に目を向けるがすぐに彼女の顔を見て、「ありがとう」と言った。
「私、皐月澪。よろしくね」
彼女は拳を下げ、後ろで手を組んで自己紹介をした。俺も自己紹介を始めるようとしたが
「もぉ~自己紹介はさっきしたでしょ」
と言われ、澪は人指し指を俺の胸の辺りに起き可愛げにそう言った。
俺は顔を赤らめて目をそむけた。
「あ、そういえば…」
と、澪がなにかを話そうとした瞬間に軌道院先生の言葉にさえぎられた。
「よ~し。全員終わったな~。これからは通常通りの練習に入るから、ペアをつくれ~」
軌道院先生が指示を出すと周りの生徒たちは慣れているようにそれぞれのペアに別れた。
「もう終わっちゃったの?まあいいか。せっかくだしあきら君。私とペアになろうよ。」
そう言われてビックリしたが俺は承諾させてもらった。転校初日に女の子と仲良くなれるなんてな。思いもしなかったな。
「いつも言っていることだけど、この練習はトーナメントで結果を出すための練習なんだ。レベルが上がるにつれて上の人からの信頼を得る。だから頑張れよ~」
皆が返事をして、それぞれ練習にはげんだ。
俺は澪に、授業ではナニヲするのか尋ねた。授業でやることは能力の練習。
能力練習は1時間目、2時間目、3時間目でやる内容は違う。
1時間目は能力向上。
2時間目はフォースの向上と身体能力向上。
3時間目は能力向上。
この時聞いたのだが、フォースというのは自分の能力を引き出すときの為に必要なエネルギーのことらしい。さっき俺がした技もこのフォースを使っていたという。このフォースが多ければ多いほど技も連発できるし、フォースを膨大に使う技も使える。レベル7以上の皆は、フォースの量が桁違いらしい。特にレベル9は未知数なんだとか。
ずばりこのフォースはとても重要なものなんだ。なくなると技が出せなくなっちゃう。
って今聞いたんだけどね。
「それじゃあ、能力向上始めよう。」
「よろしく!」
周りの皆はもう始めていて、俺と澪は出遅れたけど始めた。まぁ。俺のせいだけど。
能力向上の為に必要なのはフォースと気持ちが主な力になる。フォースと気持ちが強いほど技も強大になる。つまり集中してフォースを造れば良いってことだ。
フォースには種類があるという。その説明はその内するのでご了承ください。
などと知りもしないことを思いつつ澪と能力向上を始める。
まずは能力を引き出すために今まで無意識にやっていた手の平を前に出し目を閉じて集中した。俺はこの動作でフォースをためることができるようだ。目を閉じるのは癖だから別にしなくてもできるはずだな。フォースのためかたは人それぞれみたいだ。
そんな構えをしているなか、突然先生に言われた。
「あぁ~。そうそう。あきら君。」
俺は手を下げ返事をする。
先生は頭をポリポリとかきながら、だるそうにして言った。
「あきら君の能力は《超能力》だけど、《超能力》じゃないよ」
俺は先生の言った台詞が全然理解することができなかった。《超能力》だけど、《超能力》じゃないどういう意味だよ。
「言い方が悪かったかなぁ~?えっと。つまりはぁ~、あきら君の主能力は《空間支配》っていう能力何だよねぇ。《超能力》はサブ能力的な物だよ。」
頭のなかがこんがらがった。俺には理解出来ないみたいだ。だから適当に「そうだったんですか?」と聞き返した。
「うん。そうだよぉ~。じゃあ試しにもう一度そこの岩にさっきの攻撃をしてみてよぉ~」
「はい…分かりました。」
俺は渋々とさっきと同じ技を繰り出した。
「サイコキネス!」
技を出した途端その岩が浮き上がる。すると空間が歪み岩が先程と同じように破裂し破裂音が鳴り響く。
「でしょぉ?」
とだるそうながらにどや顔をきめていた。
「えっと…今のがその《空間支配》っていう能力何ですか?」
「そうだよぉ~。でも今のは《超能力》+《空間支配》だったけどねぇ~」
俺はとうとう先生のいっている意味が理解不能になった。最初から理解は出来ていなかったが。
「分かんないって顔をしてるなぁ~。そうだ。そうだ。澪君ちょっと今の話をあきら君に分かりやすいように教えてあげてよぉ~」
澪はいきなりそう言われて驚いていたけど、任せなさいって顔をしていた。
「えっとね。あきら君。君の主な能力、それが《空間支配》っていう能力なの。つまりメインの能力。あきら君はこの能力を主に使うことになるわね。」
「うんうん」
俺は分かったかのように首を二回縦にふった。
「ほんとに分かってるの?続きだけど、その主な能力、主能力って言うね。その他に稀にサブ能力を持って生まれる人もいるの。」
「持って生まれる?努力をしたりしても手に入らないの?」
「うん。これは生まれつきだからね。でもサブ能力は少ない力だから、主能力のサポートとして使うことが多いね。」
「ふぅ~ん。だいたい解ったよ」
俺はようやく理解することに成功した。澪様に敬礼。
「どうしたの?じゃあ先生後はどうしますか?」
「あぁ~。後は二人で授業の続きでもしててぇ~」
そう言いながら軌道院先生はそこら辺の岩の上に座った。
「それじゃ、始めよっか。」
「おう!」
俺はフォースをためる姿勢に入った。今回からは目をつむらずにするように心がけた。目をつむってたら隙が出来るからな。
澪も右手を前に出し攻撃の姿勢に入る。
「ファイアボール!」
澪の右手から炎の塊が出来た。
「あきら君行くよ!」
「うん!来い!」
澪のファイアボールが俺に飛んでくる。
俺は頭のなかでとっさに技名を考え技を放った。
「スペース・トリンク」
技を放つと澪のファイアボールが歪みファイアボールが消えた。
このスペース・トリンクは空間とリンクするからスペース・トリンクという。何か思っても突っ込まないでくれ。これはさっきのサイコキネスとは別のものでサイコキネスの応用番だ。技を別空間に飛ばしたんだ。まあこれが出来たのはさっきの話があったからできるようになったんだけどね。
「うん。凄いよ!あきら君!もう技なんて聞かないんじゃないかな?」
「そうだといいけどね。それより、攻撃が欲しいんだよね。」
「そっか。まだ無いっぽいもんね。」
「ああ。でも練習していけば出来るようになるはずだ。きっと」
「うん。そうだよね!」
この後も練習を続けた。1から5時間目までやった。
4、5時間目は能力演習で皆、軌道院先生と手合わせをしてもらって今日は終わった。授業も終わり澪と少し話してから、寮に戻るとリトがいた。いつも通り馬鹿げた話をして一日が終わる。日がたち一週間もするとクラスにも馴染めるようにもなった。そしてトーナメントの日がやって来た。
前日にトーナメント表が配られ俺は対戦相手を確認する。
俺の一回戦目の相手は
レベル9神無月和 かんなづきかず
という名前の奴だった。
俺はそのレベル9という数字に驚きを隠せなかった。
第3話《空間支配》
はい!第3話終了です!
次回からはトーナメント開始です!