第二話 商売の極意
明朝。
アルバーナとメイリスは定期的に村へ訪れる馬車の中にいた。
この時代の馬車は馬一頭で四列掛けの二十四席が一般であり、アルバーナ達が乗る馬車も例外では無かった。
「これからどうするの?」
アルバーナの横で腰掛けているメイリスが今後の予定をアルバーナに尋ねる。
「行き先は王都だそうだけど、誰を勧誘するの?」
実はメイリス。
行き先は聞いていたが、そこで何をするのか具体的な内容を聞いていない。
どうしてかというと、メイリスはアルバーナの逆鱗に触れてしまった直後であったため余計なことを聞ける状態で無く、ただ彼の言う通りに旅の準備をしておいた。
「数年前、俺達が住んでいたバージル村に盗賊の集団が襲って来たことを覚えているか?」
「うん、あの時は私も魔法使いとして盗賊の撃退に当たった」
アルバーナの問いかけにメイリスは頷く。
盗賊や夜盗などならず者の集団には為政者も頭を悩ましている。
それが自発的ならまだ対処が出来ようものの、他国が黒幕となっている場合もあるので下手に派遣すれば全員返り討ちという笑えない事態も起こってしまう。
それゆえ対処に遅れ、村一つが炎に包まれることもあった。
「前回村が襲われた時、その盗賊団の頭を討ち取った者を覚えているか?」
「ええと……確かフレリア=イズルードだっけ? 自警団の隊長の娘の」
「そう、あの暴力娘だ。俺はあいつが欲しい」
最後の言葉を口にしたアルバーナの表情に喜悦が走る。
自警団の性格上、厳格な性格になったフレリアは親不孝の道を地で行っていたアルバーナに辛く当たっていた。
「あの暴力娘はよく力で訴えてきたので、昔は消えてなくなれば良いと思っていた」
「……でもユラスって屁理屈が上手かったから、武力で訴えるのは最も効率が良かったと思う」
口が達者で白を黒だと言い切る度胸のあるアルバーナは同世代の中ではもちろん大人でさえ手に焼いていた。しかもアルバーナはカリスマ性を持っているため性質が悪く、無視しようとも耳に言語が届くだけで心を動かされてしまい、それこそ物理的に黙らせなければ彼のシンパになってしまった。
「話が逸れたな」
流れが不利な方に流れ始めたと悟ったアルバーナは話題を元に戻す。
幼少期のアルバーナだったらメイリスの指摘に断固異議を唱えていたことを鑑みると、やはり少しは成長したのだろう。
「あいつは人並み外れた直感力に加え、槍術に関しての僅かな才能と爺さんが編み出した素晴らしい修行方法を実践していた」
まあ、己が絶対に正しいという信念は全く変わっていなかったが。
しかし、この不遜さこそがアルバーナがアルバーナであるということを証明する重要な要素なのだろう。
「イズルードは槍と身一つで盗賊の集団に特攻し、一突きで頭を葬ったという伝説」
あれは今も村の伝説の一つとして語り継がれている。
バージル村は村民総出で迎撃に当たるも盗賊の侵攻が激しく、あわや防御網を突破されそうになった時、年端のいかない少女が颯爽と一陣の風が盗賊の集団に飛び込んで一瞬で頭を昇天させた。
しかし、実際は盗賊の頭と相対したものの人を殺す覚悟が足りず防戦一方となったのだが、敵の頭を発見したのでメイリスの魔法の餌食となった。
つまり手柄はメイリスのモノなのだが彼女はヨーゼフ翁と暮らしており、公に持ち上げて国から睨まれることを避けるために自警団の隊長であるフレリアが倒したことになっていた。
ただ、誇り高いフレリアはそんな手柄など恥と知り、最後まで抵抗していたことを彼女の名誉のため追記しておこう。
「まあ、その武勇伝を聞き付けた王国の者がイズルードを王国騎士団で学ぶことを推奨して彼女が受諾し、二年前に卒業して現在は下級士官としての任に就いているはずだ」
村の皆からの推薦もあったが、一番の理由は己の力不足を許せないからだろう。
憎き敵の頭の元へ辿り着くも力及ばず劣勢へ陥ったのに加え、他人の功を横取りしろという周りからの勧めに抗えなかった己の弱さを憎んでいる。
それゆえフレリアは力を求めた。
そしてその一つの答えがこの国の中で精鋭とされる王国騎士団へ入隊することだったのだとメイリスは見ている。
「ユラス、言い難いのだけど彼女が仲間になるなんて想像できない」
メイリスは思ったことをそのまま告げる。
「騎士は騎士の役目を、貴族は貴族の役目を、といった典型的な封建主義者のイズルードはお爺さんが提唱する説と相容れない」
実際フレリアは最後までヨーゼフ翁を庇うことはなかった。
槍の修行を付けたことを感謝しているが。それはそれ、これはこれ。と、区別していたのをメイリスは覚えている。
ヨーゼフ翁が憎むべき対象の一つである封建主義を第一に置いているフレリアと、アルバーナは水と油の様な関係だと見ていた。
が。
「おいおい、俺はそこまで狭量な人間ではないぞ」
アルバーナは笑って否定する。
「突然考え方を変えろなんて酷いおしつけだ。爺さんも言っていただろ、そんなことをすれば味方がいなくなる」
「確かに」
メイリスは内心肯定する。
ヨーゼフ翁の教えの中に、人の価値観が合わないからと言って拒絶したり敵対したりしてはならないというのがある。
人は生まれた場所も育った環境も違うのだから、多少の食い違いが出るのは当然。
肝要なことは相手との妥協点を見出し、そこから付き合っていくこと。
でないと物事に囚われ、本当に大切なことを見失ってしまうとヨーゼフ翁は説いていた。
と、そこで疑問がわき上がる。
「どうして私の場合はあんなに怒ったの?」
フレリアは良いのに自分は駄目だというのは差別だと訴えるがアルバーナは笑って。
「お前は特別だ。だから常人より高いレベルを求めるぞ」
そんな風に答えてきた。
特別なのに他人より厳しいというのは多少理不尽に思えるのだが、アルバーナの中で自分は特別な位置にいると言われて良い気がしないでもないメイリスだった。
ちなみにその後アルバーナは続けて。
「それにイズルードについても時間はたっぷりあるのだからゆっくりと説き伏せていけば良い」
つまりフレリアもゆくゆくはメイリスと同じ位置に持っていく算段らしい。
「痛い痛い! どうしたメイリス!?」
「っぷい」
そこまで頭を働かせたメイリスは微妙に不快な気持になり、発散とばかりにアルバーナの脇腹をつねった。
アルバーナ達が暮らす国の名はラクシュリア王国と呼ばれ、イースペリア大陸の中で最も他国と国境を接している貿易国家である。
古今東西様々な文化や人が行き来しているラクシュリア王国は大陸の中で一番他人に寛容な国であると同時に他国とのイザコザが絶えない物騒な国でもあった。
「~♪」
夕暮れ時。
中央通りを歩くメイリスの機嫌はすこぶる良い。
「ずっと探していたんだ」
そう呟くメイリスの手に持つは辞書を連想させるほどの分厚い本である。
これはイースペリア大陸に大ブームを巻き起こしている異世界ファンタジー系の物語の最新刊。
ストーリーは、うだつの上がらない魔法使いが魔法の代わりに科学が席巻している異世界に飛ばされ、自分しか使えない魔法を用いてその世界の人々から崇められていくお話である。
この物語は自分が当たり前に使えているのに他人は使えないという優越感が読者の隠れた願望に火を付けてヒットを飛ばしていた。
メイリスも人の子である。
他人より優れているという感覚は嫌いじゃないので、この物語のファンの一人であった。
しかし、アルバーナはこの物語を鼻で笑いながら。
「他人が出来ないことを出来ることの何が偉いんだ? 魔法を一般に広め、出来なかったことを出来るようにすることが本当の偉い人だ」
真顔でそう返され、しかも正論のため反論しようも無かった。
「――待ち合わせにはまだ時間がある」
己の浅ましさを振り払うかのようにメイリスは時刻を確認する。
昼前に王都に着いたアルバーナとメイリスは持ってきたパンと肉で昼食を済ませ、そこから時間まで別行動を取っていた。
「アポを取っておかないとな」
突然会いに行っても門前払いを食らうことは確実だったので、アルバーナは予約を入れに行った。
メイリスもアルバーナに付いていこうとしたがアルバーナ曰く、アポを取るのに二人で行く必要はないとのこと。
なのでフレリアの勤務が終わる夕暮れ時に噴水の前で待ち合わせということになった。
「どうしようかな」
メイリスはこの後の行動について迷う。
もう用件は済ませたので直行しても構わないが、そうすると時間が大幅に余ってしまう。
かといって何かをしようにも短すぎる時間。
いわゆる中途半端な時間であった。
「うーん……」
思考に没頭するためにメイリスは足を止める。
場所も端よりのため通行人の邪魔にならず、存分に考えることが出来るのだが。
「ねえ、君。こんな所で迷子?」
「……」
変な人から声をかけられてしまい、うざったいことこの上ない。
なのでメイリスは手を振って拒絶の意志を示すが。
「そんなつれない態度を取らないでさ。おじさんと一緒に行こうよ、お菓子も買ってあげるよ」
男は全くめげず、あまつさえそんな甘言を弄してきた。
一応メイプルは成人年齢を越えている。
しかし、成長を途中で置き去りにしたかのような容姿は他人からだと十代に満たない子どもと見られていた。
「……鬱陶しい」
これ以上言葉を重ねても労力の無駄だと感じたメイリスは背中に刺してある杖を取り出して一振りする。
すると樫の杖の先から光が溢れ、辺り一帯に閃光が走った。
「おわっ!」
さすが男もこれには予想外だったのだろう。
眼を抑えて辺りを転げ回っている。
「さてと、行こう」
騎士が駆け付けて来ると面倒なことになるのでメイリスはその場を足早に去る。
魔法使いでなくとも人通りの激しい往来で騒動を起こすことは望ましくない。
そのことは冷静なメイリスも理解しているはずだが。
「誰が幼児、誰が子供……」
子供扱いされると我を忘れ、目くじらを立てるメイリスであった。
「あれ……なに?」
噴水台の前に着いたメイリスは目の前で起こっている出来事に唖然とする。
時刻はまだ一時間前のこの時。
アルバーナが先にいるのは想定内。
だが、彼が灰色の髪の毛をしたメイリスと同年代らしき少女と共に露天商をやっているのは予想もしなかった。
「さあさあ! そこの美しいお嬢さん! 貴方をもっと引き立てる品がここにありますよ!」
「ウフフ、さあどうしましょうか?」
「そんなこといわないでねえ!? 今なら少しまけて二十Gではどうでしょうか?」
「うーん、もう一声」
「分かったよお嬢さん、特別価格! 由緒ある場所から採れた鉱物で作られたこのネックレス、十五Gだあ!」
「良いわね、買った」
「ありがとうございますお嬢さん。貴方のこれからの人生に幸あれ! さあ、マーガレット、お客様にその品を!」
「はいい……」
マーガレットと呼ばれた少女はアルバーナの指示に目を回しながらも的確に商品を包んで貴婦人へ渡す。
その間アルバーナはまた別の人を得意の話術で引っ掛けていた。
……等々普段の偉そうな口調など跡形もなく、商売口調で物を売っているアルバーナの姿にメイリスは混乱する。
あれがあのユラス=アルバーナ?
普段から傲岸不遜で自信満々なのが特徴のアルバーナが他人相手に遜っている様子は異常を通り越して奇異に見えた。
「あ、そういえばそうだった」
メイリスはアルバーナの実家は商人だったことを思い出す。
彼の両親は今でこそ腰を落ち着けて暮らしているものの、それまでは大陸を転々と渡り歩く行商人だと聞いている。
アルバーナの今の口調は行商人として生計を立てていた両親から真似ているのだと推測した。
「ユラスにこんな才能があったなんて」
元気が良く、人を惹き付けるアルバーナの口調は耳当たりが良いのか声をかけた人間の大半が足を止める。
そして後は流れ作業のように商品を買わせる。
「ユラスって商売人として生きるべきだと思う」
店の前で山と積んでいた商品がメイリスの見ている間にもどんどん崩されていく様子を眺めながらそんなことを漏らした。
「ありがとうございます! 商品の完売なんて初めてです」
一時間後。
アメリア=マーガレットはアルバーナに対してペコペコと頭を下げていた。
メイリスが近くにいると二人の違いが良く分かる。
二人とも似た様な幼児体型だが、メイリスが人に懐かないペルシャ猫だとするとアメリアは愛玩動物として可愛がられる猫と言ったところか。
「元から売り上げの二割を貰う契約だったからお礼を言われる筋合いはないのだがな」
アルバーナからするとギブアンドテイクの関係ゆえに愛想が悪くとも金さえ頂ければ問題無かった。
「むしろこちらが礼を言いたいぐらいだな。この金のおかげで南部までの馬車代が払えそうだ」
アルバーナは渡された千ゴールド分の貨幣に頬が緩んでいる。
実はアルバーナ。
家出同然で王都に出てきたためここまで来た馬車代をメイリスの分と一緒に払った時点で無一文同然だった。
まあ、アルバーナの両親からすると、息子が突然国を創ると言い出せば気が狂ったのではないかと思うのが普通だろう。
だから両親は息子に対して王都へ往復するだけの額を渡しておけば後は勝手に餓えて戻ってくると踏んでいたが、そこは様々な意味で規格外のアルバーナ。
ご覧のとおり、何も無い状態から大人一人が一ヶ月ほど食べていけるほどの額を手に入れた。
これでアルバーナが故郷に戻る可能性は著しく低くなり、両親の気を揉む期間が長くなったことを追記しておく。
「……ユラス、後で話し合おう」
まあ、所持金がゼロに近いことを告げなかったことでオカンムリ状態であるメイリスからの説教を受けることは確定だったが。
「あの……こんなことを頼むのはおかしいかと思いますが」
メイリスから発する剣呑な雰囲気にアルバーナの注意が向いていた時、アメリアの覚悟のこもった声で正面に戻る。
「お願いします! アルバーナさんのノウハウを教えて下さい!」
小さな体を精一杯折り曲げてお願いする様子から必死の念がありありと伝わってくる。
「どうして同じ商品なのに私は全然ダメでアルバーナさんは飛ぶように売れるのでしょうか!? 靴でも何でも舐めます、私に出来ることなら何でもしますので教えて下さい!」
「どうする、ユラス?」
「そう言われてもな……」
アルバーナは頭をポリポリとかく。
これがおっさんならにべもなく断っていたが、相手は年端のいかない少女。
断るには良心が邪魔だった。
「それでは、手短に説明しようか」
しばらく逡巡したアルバーナは教えることにしておく。
断じて容姿が可愛かったとかそんな不純な動機で無いと自らに釈明しながら。
「良いかマーガレット」
「アメリアでお願いします!」
「……アメリア。商品を売るために必要なのはたった一つ、それは確信だ」
「確信ですか?」
「そう、確信」
アメリアのオウム返しにアルバーナは頷く。
「『こうすれば確実に売れる』や『この商品を買わないなんて人生を損している』といった強い気持ちを持たないと駄目だ、絶対に売れん」
「けど、そんな殿様商売なんて絶対失敗しますよ」
人は上から目線を嫌う。
例え口には出していなくとも、言葉の端々や声の抑揚によってそういった負の感情はすぐにばれてしまうのだ。
「ああ、それは人を見下しているからだな。俺が言いたいのは己の信念を相手に共鳴させているんだ」
アルバーナは指を回しながら論じ始める。
「俺にとって重要なことは教育こそ絶対――つまり相手がどんな教育を受けているのかを知れば俺は確実に物を買わせる自信がある」
アルバーナは堂々と言い切る。
「……ほえ~」
その余りの自信過剰ぶりにさすがアメリアも引く。
「さて、その根拠を説明しよう……メイリス、何だと思う?」
「え?」
それまで自分は無関係とばかりに視線をあちらこちらに目移りさせていたメイリスに問う。
「俺は同じことを繰り返したくないのだがまあ良い。何故俺がその国の教育方針を知れば大ヒットを飛ばせると思う?」
「ええと……」
メイリスの態度にアルバーナの気配はだんだんと不穏なものになる。
「おい、メイリスよ。お前これで的外れな答えを出してみろ……その瞬間から俺はお前を切るぞ」
「あわわ……」
アルバーナの危険な雰囲気が伝わっているのだろう。
泡を食いつつも答えを探しているのが分かる。
「……教育によって人々が求めている無意識的な何かをある程度推察することは可能だから」
「ほう」
辛うじて紡ぎ出された言葉にアルバーナは機嫌を直す。
「その国で流行っている教育や思想を推察すれば売れるのは何かが分かる。何故なら人は全く知らない事柄に関しては警戒または無関心だけど、少しかじった程度ならば好奇心が顔を擡げるから」
「その通りだ、メイリス」
アルバーナは満足そうに頷く。
例えば身を守る必要性を国民に教えていない国に剣や傭兵といった職業を持ち込んでも絶対に流行るまい。
その国に住んでいる者は安全というのは空気の様に身近にあるものという考えを持っているがゆえに、わざわざ金を払う意義を見いだせないのだ。
「だから俺はこれら商品を欲しがりそうな教育を受けている者の関心を惹く様な宣伝の仕方をしていた」
大事なのは客の心に響かせる何かがあるかどうか。
少しでも関心を持ち、立ち止まってくれたのならそこから欲しくなるよう誘導しなければならない。
「それを実践すれば確実に売れるのでしょうか?」
「ハハハ、それはない。俺も何度か失敗していただろう」
アルバーナは笑い声を上げて否定する。
同じ商品でも人によって受ける感性は様々であり、全くの同一などありえない。
ゆえにアルバーナでも客を満足させることが出来ず、商品を買わせることが出来ない場面も幾つかあった。
「大切なことは己の信念を持つこと。例え相手に否定されようが貶されようがそれを貫き通し、実践すれば良い」
「けど、間違っていたらどうするのでしょうか?」
「その時は物が売れずに野垂れ死ぬだけ。弱肉強食の世界よろしく簡単だろ?」
カカカと笑うアルバーナだが、アメリアとメイリスは大きく笑うことが出来ない。
アルバーナのような例外はともかく、人間誰しも信念を貫くことよりも生を取ってしまうのである。
「だから重要なことは信念を持つこと。『これなら絶対いける』『このためなら死んでも良い』という何かを持つことが出来れば人生はもうほとんど成功したようなものだ」
他人を共感させるほどの強い何かを持つことが出来れば、後は実行するだけ。
そしてそれを見つけるために日々を全力で生きなければならない、でアルバーナは締め括った。
「はい! 師匠! ありがとうございます!」
アメリアは感極まった様子でアルバーナに頭を下げる。
「……師匠?」
「だからメイリス! 俺が何をした!?」
アルバーナの呼び方が師匠になっていたことに気が付いたその時にはすでにメイリスは反射的に彼の足を踏んでいた。