第五章:欺瞞の祝杯
三ヶ月後、帰国した修を待っていたのは、瑠美の妊娠という衝撃的なニュースだった。
「本当か…!? 瑠美、ありがとう!俺、もっと頑張るよ。家族が四人になるんだな!」
修は涙を流して喜び、瑠美を抱きしめた。その純粋な歓喜は、瑠美の心を鋭い刃で切り刻む。
しかし、その背後で康夫が冷徹な視線を送っていることに気づくと、瑠美の体は反射的に「理想の妻」を演じ始めた。
「ええ、修。康夫さんも、とても喜んでくださって…」
「ああ、修くん。私も全力でサポートするよ。これからは瑠美さんを一人にしてはいけない。私がこの家に泊まり込む日も増えるだろうが、いいかな?」
「もちろんです!むしろ、お義父さんがいてくれたら百人力です!」
こうして、康夫は「妊婦の介添え」という大義名分を得て、秋山家への潜入をより深めていった。
修が寝静まった深夜、あるいは彼が休日出張で家を空ける昼下がり。
康夫は、修が座るはずの椅子に座り、修が愛でるはずの妻の身体を、貪るように支配した。
「見てごらん、瑠美さん。修くんが君のために買ったマタニティウェアが、私の前で脱ぎ捨てられている。この子は、私をパパと呼ぶことはないが、私の欲望を糧に育っているんだ」
康夫は、膨らみ始めた瑠美の腹に耳を当て、胎動を確かめる。
瑠美はもはや、抵抗する力を失っていた。
それどころか、修の前で見せる「清純な母」の顔と、康夫の前で見せる「淫らな愛玩物」の顔のギャップに、精神的な逃避場所を見出し始めていた。




