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第三話

「お父さん、お母さん今日はなぁに?」


眠たそうな顔をした娘を逃がせねば、この村で存続出来た意味はなかった。


ラリアは母であることと、父は自分のことだけに拘っていた。


二人のすれ違いは運命を分けてしまった。


大切に思っていても、誰かの思いを告げていても。


思いは伝わるのに、何故か自分からは言えなかった。


互いに思い合ってる。


其れは確かなのに、随分迫られる危機に対応が違っていた。


「ここは俺が食い止める。ラリアは娘を連れて逃げてくれ」


「嫌よ。私があんたのこと見捨てないって言ってたのよ!」


不安、要素が強く詰まり。徐々に責めてくる。


村人達も、危機を知った後なのに。盗賊達は割れよと割れよと押し寄せた。


母は娘の躰を強く抱き締めている。


自分が震えても守らなきゃいけない娘がいるものだから、きっと助けがくるはずだからと念じている母の姿があるが子供からは見えなかった。


何で何でお母さんは震えた体で感じるままにエルナの娘を抱き締めていた。


明るい声はなく恐怖に満ちていた。


「早く逃げなさい、お母さんが守ってあげるから」


嘘をついた言葉が矛盾している。


母は抱き締めてから、腕の中にいたエルナは自然と臨んでいたように空気が変わる。


村中に聞こえてくる悲鳴と、雑音に似た症状の意思が決定的に目の前にあった。


「頭領、この村の連中。やっちゃっていいっすか」


禿げ頭に尖ったヘルメットと、傭兵らしかぬ服装の集団が群れていた。


凡そ数十名の盗賊団は、いそいそと村の中の住人を殺していく。


長く平和だった村は救う手立てに考える余地を与えてくれなかった。


すべてがやがて、消え去ることのないままに進む。


団長と覚しき人物は周囲を見渡し。


「焼き殺すな、生け捕って奴隷しろ!俺達は食うもんに困ってんのに王国の奴等は許せない」


拳を握り、爪が食い込む。


それをわかっている崩れの連中は自らの意思とは反していた。


男達は村中の関係を荒尽くし回る。


全部が全部、言うことが聞かない連中なのは自分たちが義盗の連中じゃなかったからであり自分達の正義を謳っている集団的でもある。


あらかさまに睨みつけてくる小僧と小娘がいても、全くのへっちゃらだったりする。


なのに苦しい気持ちは変わらなかった。


エルナは身を潜め、草むらに隠れて逃げ果せていた。


母は咄嗟に棚の中に隠していて、数分経ってぐらいに出てきた。


これが彼女の運命が聞かされたような環境の影響に注視した結果だった。


母と父はこの場に亡くなった。


大切な自分たちの思いを踏み躙った。


そんな事態の宣言が彼女の人生の節目として迎えた。


日常的な世界が崩れたよりも難しく変わることのない人生が送れなくなってしまっただけに過ぎず。


エルナは途方に暮れていた。


村中の住民たちは盗賊団によって壊滅させられてしまった。


近くの森エシュトクローノ、そう呼ぶ森は精霊がよく棲む場所だとエルナは聞かされていた。


彼女は密かに隠れながら、身を潜め。見つからないよう心の中を覗くディテールが曝かれているようにも感じつつ、森の先へと進む。


湖がポツンと覗かせて、ゆらゆらと動く粒じゃが一斉に跳び上がる。


きれいに染まった青空を森の中を幻想的に輝かせている。


本物の聖女はただただ、ゆらりと変わる運命に委ねながら少女の物語は始まらない。

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