第二話
「今日はいい朝だね。ネネもいい子だから。今年も取られるのかねぇ」
そんな呟きが聞こえるほど裕福ではなかった。
荒れた土地、乾いた地面。土まみれの道路は馬車で来るのもしんどいものだと言えた。
それでも届けることが役目だと言い訳して、ここに着くのももう何回目かわからないほどに通ってきていた。
今日は運良く、盗賊に襲われなかった。
「今日はたくさん仕入れてきたから、買っておくれ」
「いつもいつもすまない。こんな田舎町なら来なくても良いんだが、この程度でヘマをしないのは流石だな。いつも通り買っていくから娘にも会っておいてくれ」
「もちろんだ、無垢まで清い娘はいない。しかし、狙われやすくもあるだろ。教会側もお前の娘の存在を隠しきれない保障はないぞ!」
「ああ、分かってる。ラリアにも話した、今まで通りこの周辺でしか遊ばせんよ」
二人はそんな会話を交わしていた。
大切な娘を守るという牢屋の中で閉じ込めた親の信念が込められている。
ただ正しいことだと思わないけれどそうするしか手立てなかった。
少ない村の中では共有の財産として子供は大事にされてきた。
農作物や農作業の分担などに使われていた。
そうしたことさえ許そうとしなかった村の中では自分たちの諍いなどは些細なことで済ませられる。
勇気や経験で得られた情報や利益なら村人達も優先はしただろう。
神様を信じる信仰心は村の中では団結力を高めていた材料だった。
戦士が育てられば、村の中で不自由なく働けるからだ。
鍬や畑仕事に掛かる時間や経験はこの村に住む世界にとっての財産だった。
領主という名はまだ成立しておらず。国と国の間に位置した村の住民たちは商いや自己補給などをやっていた。
人口はまだ少なく、都市部の開発は一方の方向に進んだ民族によって自動的に変化を齎した。
家族や周囲の住民たちは自らの意思で通す価値観や生活で培えられた技術は農民たちに与えた影響力は大きかった。
力ある狩人たちが魔物の討伐をし始めたのは数週間前だった。
オールはエルナの父であり、母はラリアと呼ばれている彼女に父の支えとなっていて優秀な妻でもあった。
二人は仲良くなったきっかけは些細なことに尽きなかった話。
古くからの親友と呼ぶロアットとコルヴァが今現在に掛けて子育てに疲れることのないままラリアは娘のエルナを大切に育てていた。
少女はただ唯一の娘として育てたくらいしかなかった。
エルナは自分でやっていける自信は少しだけ持っており、都会の話や冒険者の話が好きだった。
未知で溢れた世界はどんなものだろうと漠然と妄想していた。
明日はずっと信じて生きている彼等の中には不具合性のある言葉を発する者もいる。
外で育ってきたか内の中で育ってきたかの違いでしかない。
冒険者ギルドはここには建っておらず、小さな薬屋や物品収集するお店がしか立ち並んでいなかった。
村長はこの村で一番偉くなるのだが、一時だけは教会の娘を持つ夫婦が責任を持ってこの村の責任を負わせている。
何度か続く言い争いは、地域全体の主義主張により特権に握り締めていく。
かつてそうであった場所は乗っ取られて、全体指揮を取る系統が変わってしまった。
弱者は何処までむしり取られていった。
それだけは変わらなかった。
二人のオールとラリアは良い夫婦とは言えずとも、ずっと続く未来の架け橋だと考えていた。
何時までも続く道はとても明るいとは言えなくても毎日が来る日々に感謝し、周囲の助け合いで育ってきた子供達は自らの意思で考えるようになっていった。
数十人しか子供が産まれなかったとしても、村の財産は護らなきゃならなかった。
資源が少ない地域は、とても貧困に喘いでいても自分達の一人一人は助け合いをしていたつもりでいる。
気持ちは一つで明るい未来を描いていた。
知恵を絞り、仲間と一緒に考えて。笑った人生が良いと過ごせるように自分達は開発を励んでいった。
苦しいからこそ自分達が何ができるか考えた。
組合や運営などの手出しのはそのせいで破綻するケースも多く存在した。
痛い目に遭っても自分の無理主義主張を聞かずに行く人間は多くの助けを捨て去った。
けれど、皆がそうやって生きてこられたという実証はない。
村は安全でもなければ、衛生的でもなかった。
生きるの必死で足搔いても、何処までも多く財産を奪っていった。
まだここには来られていないのは、国の中でも不安定なことが起こったことに限る。
長く続く村の中は、平穏な日々が常に過ぎていた。
盗賊の集団がやってきた。
丁度七百ぐらいだった。
村人の人数はそこまで多くいなかった。
田舎町で魔物を狩って生計を立てていたせいでもあるのだろう。
あまり商人が来ない村だからと言って、戦えない訳でもなかった。
少しでも戦える戦力の差は大きく、絶望的にもあった。
傭兵や身に着けた素材からは鉄や銅で出来た衣服が目立っていた。
ラリアとオールは話し合って決めたことは娘でもある子供を逃がすことだった。




