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うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい  作者: らんか


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7. 錬金基礎実習②


 錬金術基礎実習の授業は、あれから数回に渡り、属性グループごとに別れて初歩的な錬金術の練習を行なった。

 ほぼ全員が、属性ごとの初歩の錬金術を使えるようになると、今度は他のグループと交えて練習を行なう事になった。 

 四元素は、それぞれの相互作用を利用しあう事で、もっと色んな形になり、可能性が広がるのだそうだ。

 なので、非属性であっても、お互いを理解し合うようになった方がいいとの事。

 今日は、各グループが一緒になって練習する日だった。


「ではまず、自分とは違う属性を持つもの同士でペアを作ってもらう」


 ロイド先生の言葉に皆がざわめく。

 いきなり、ペアを作れと言われても、このクラスは、火属性が多い為、ペアを見つけるのに一苦労しそうだ。


「アリッサ! 一緒に組みましょう!」

 そう言って、ルシルが私のところに駆けてきた。

 ルシルもこのゴールドクラスにいる。

 そして属性はたしかルシルは水で、私は火属性。

 うん。持つべきものは属性の違う友だな。


「よろしくね。ルシルが同じクラスで良かったわ。このクラスは火属性が多いから、他属性の子を見つけるの、大変だなって思ってたの」

「うふふ、こちらこそよろしくね、アリッサ。他属性の争奪戦、大変そうね。やっぱりペアになるなら、気の置けない相手が一番だもの。このクラスは高貴な方々がいるから、そういった点からもペアを作るのは大変よね」


 ルシルの言葉に頷く。

 やはりというか、想像どおりというか、アリアを巡っての、殿下と側近たちの争奪戦が繰り広げられていた。

 そして……やはり、こちらも想像どおりというか、モニカ様は一人で誰とも組まずに立って、ウィリアム殿下の方を見ている。

 きっと、ウィリアム殿下を誘いたいのに、見向きもしてもらえないんだろう。

 そのウィリアム殿下は、アリア争奪戦に夢中で、チラリともモニカ様を顧みない。


 あぁ、なんかモヤモヤするな。

 仮にも婚約者同士なのよね?

 しかも属性も違うし、少しはモニカ様を気遣えないのかな。

 ウィリアム殿下がモニカ様を誘えば、アリアと側近3人で上手くペアが出来るのに。いくらこのルートがウィリアム殿下ルートだとしても、現実に見ると、婚約者を蔑ろにしているただの浮気男じゃない。しかも、その浮気男が婚約者を周りから孤立させるような言動ばかり。

 あ、考えたら本気でイラついてきた。


「先生。アリアさんは二属性持ちですよね? でしたらアリアさんは、火属性と風属性以外の方と組むのがいいのではないでしょうか?」


 私はそっとロイド先生に近づき、そう言った。


「あぁ、そうだな。フロースト嬢! 君は自分の属性以外の人と組むように!」


 ロイド先生は私の進言を受け、すぐにアリアにそう告げる。

 その言葉に一番ビックリしているのは、やはりウィリアム殿下だ。


「なっ!? 先生! アリアは二属性なんだから、誰とでも組めるのではないのですか!?」


 往生際が悪く、ウィリアム殿下はロイド先生にそう訴える。


「いや、火属性と風属性以外、つまり、水か地属性の人と組むのが望ましいだろう。もっと早く言うべきだったのに、すまないな。私もうっかりしていた」


 ロイド先生にこう言われれば、ウィリアム殿下も引き下がるしかない。アリアと組めるのは水属性と地属性の側近二人だけだ。

 水属性の側近は、マイケル・ボルミュート伯爵令息。外務大臣の息子だ。

 そして、地属性の側近は、ユリウス・バーミケル侯爵令息。宰相の息子。

 因みに風属性の側近が、ボルグ・トルドール辺境伯令息。辺境伯騎士団長の息子。


 これでウィリアム殿下がモニカ様を誘えば、上手くペアが出来る。

 そう思って見ていた私は、次のウィリアム殿下の行動に呆気に取られてしまった。


「ボルグ! 僕と一緒に組め! そしてマイケルとユリウスがペアだ! アリアはまだペアが決まっていない女子を探そう」


 自分が組めないと分かると、自分以外の男子とアリアを組ませるのを嫌がったウィリアム殿下は、勝手にペアを決めてしまい、アリアに余っている女子をあてがおうとしている。

 これはなかなかの強烈な男だ。こんな自分本位な俺様殿下が攻略対象者?

 ゲームの時はそこそこ人気があったと思っていたが、これはない。

 しかも、殿下たちがアリア争奪戦を繰り広げていたから、ほとんどの者はすでにペアを組んでしまっている。

 もはや残るはモニカ様ぐらいだ。

 この場合、やはり婚約者として、ウィリアム殿下が組むべきなのでは?

 周りのみんなも、そう思っているのか、視線がウィリアム殿下とモニカ様に集まるが、ウィリアム殿下はそれを頑として受け入れようとはしなかった。


「誰か! アリアと組んでくれる者はいないか? もちろん女子限定でだ!」


 ウィリアム殿下が周りを見渡してそう叫ぶ。

 しかし誰も名乗り出ようとしない。

 そりゃそうだ。アリアへの同情はするが、基本いつも殿下たちと居るアリアに、女子生徒の友達はいない。むしろ、殿下たちに守られているアリアは、モニカ様とは別の意味で、あまり直接関わりたくないとまで思われている。


「ウィリアム殿下、ちょうどベルモート嬢が空いているようだから……」

「それはだめです、先生! モニカ・ベルモートはアリアに危害を加えるかもしれないんです!」


 ロイド先生の言葉を素早くウィリアム殿下が遮って、またもやモニカ様を蔑んだ発言をする。


「ウィリアム殿下、前にも言ったが、無闇に起こってもいない事で人を蔑むのは良くないぞ」


 ウィリアム殿下はロイド先生の言葉に、今回は頑として引こうとしない。


「先生は知らないのでしょう! この前、アリアが池に突き落とされた事を! あれはモニカ・ベルモートが、人を使ってやった事です!」


「……わたくしには心当たりはございませんと、そう申し上げたはずですが?」


 モニカ様は、ウィリアム殿下の言葉に、今度ははっきりと反論した。


 

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