エピローグ
私たちは二学年に進級した。
「アリッサ! 今年もよろしくね」
幼なじみのルシルが嬉しそうにそう言ってくれる。
「もちろん! これからもよろしくね、ルシル」
私たちがキャイキャイ盛り上がって話していると、馴染みの声が話しかけてきた。
「わたくしも同じクラスですわ。仲良くして下さいますかしら?」
「「モニカ様!」」
モニカ様は、ウィリアム殿下との婚約破棄後、王家より多額の賠償金を貰い受けるにあたり、ベルモート公爵家とモニカ様個人への賠償金として折半してもらう事を交渉した。
元々両親とは希薄な関係であったため、自身を守るための財産を確保しておく必要性を感じていたらしい。
もちろん両親は激怒したらしいが、今まで娘の事に無関心であった事や、今回精神的苦痛を受けたのは自分である事を主張し、陛下からの口添えもあり、実現したとの事。
「もちろんですわ! モニカ様、これからも仲良くして下さいましね」
「今年も同じクラスで嬉しいですわ。よろしくお願いしますね」
ルシルがテンション高く言った後、私もモニカ様に挨拶する。
モニカ様はとても優しい笑顔で、頷いてくれた。
二学年のクラスでは、ウィリアム殿下の姿は見えない。
どうやら進級テストの結果があまりにも悪く、ゴールドクラス落ちをしたらしい。
馴染みのクラスメイトもおらず、側近たちも居ない中で、ウィリアム殿下は案の定、肩身の狭い思いをしているそうだ。
そして、アリアもまた学園から去った。
ルーク様から聞いていたとおり、やはりアリアは貴族籍を抜かれて市井に戻されたらしい。
それを機に、ウィリアム殿下とも疎遠になっていると聞く。
流石に今のところ、ウィリアム殿下はモニカ様に近づくことはないが、今後はどうなるか分からない。
起死回生を狙って、モニカ様との復縁を望む前に、モニカ様には素敵な相手を見つけてもらいたいものだ。
「モニカ様、ウィリアム殿下にはお気をつけ下さいね。まさかとは思いますが、アリアさんが居なくなった以上、モニカ様との復縁を狙ってくる可能性もありますもの」
私がそういうと、モニカ様はキョトンとした顔をして、それからフワリと笑った。
「まさか。そんな事、絶対に有り得ませんわ。でも、もし万が一、殿下に復縁を願われても、わたくしはしっかりとお断りします。というか、わたくしはこの事も予想していたので、陛下にウィリアム殿下との復縁は未来永劫ないと一筆書いて頂きましたのよ?」
さ、さすがは才女であるモニカ様。
そこまで用意周到だとは。
「わたくしは伴侶を決めるのに、急がなくてもいいと思っておりますの。その時になったら、然るべく相手と巡り会うはずですわ。お互いを尊重し合える相手とね」
そう語るモニカ様はとても美しくて。
きっと、こんな素敵なモニカ様をちゃんと見てくれる男性が現れるはずだ。
「そうですね、モニカ様はこんなにも美しくて、賢くて、お優しい方ですもの。きっと、そんなモニカ様を見ている方はいっぱいいますわね」
私がそう言うと、モニカ様は少し意地悪な笑みを浮かべる。
『貴女にはすでに、とても素敵な方がいますものね。見習わないといけませんわ』
小声で揶揄うようにそう言ったモニカ様は、とても楽しそうに笑っていた。
良かった。
モニカ様が幸せそうで。
ゲームの中のモニカ様は、もう何処にもいない。
私はモニカ様の良き友人として、これからもこの方と一緒に笑いあっていきたい。
心からそう思った。
~完~




