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うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい  作者: らんか


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20. 犯人探し②


 ソフィアは次の日、私との約束どおりゴールドクラスに来た。


「ソフィア様、来てくださったのね」


 私はソフィアの姿を見て、すぐに駆け寄った。


「ええ。決心したからには早く行動しないと。でないと、また決心が鈍りそうなので」

 そう言って、ソフィアは困った表情をしながら笑う。


「では、アリアさんの所に行きましょう?」

「はい」


 私の声掛けに、ソフィアは頷いて後に続いて来た。


「アリアさん」

 まずは私から声を掛ける。

 アリアは、いつもの如く殿下や側近たちと談笑していた。


「あら、アリッサさん。どうされました?」


 アリアと共に、談笑していた男性陣も振り向いて私を見た。


「アリアさん、この前の魔石の件なのですが、貴女の魔石を拾ってこのクラスまで持って来て下さった方をご紹介致しますね」

「え? 拾った?」


 あれ? ユリウスから聞いてないの?


 ユリウスをチラッと見ると、ユリウスは困った表情で首を横に振っている。

 どういう意味なのか分からないけれど、まだ伝えられてないなら私から言ってやろう。


「アリアさん、錬金魔導部に所属なさっているのでしょう?」

「ええ」

「同じ部の方が拾ったそうなの」

 私はそう言って、後ろに居るソフィアを前面に出した。


「あら、ソフィアさん、どうなさったの?」

「アリアさん、伝えるのが遅くなってごめんなさい。あの魔石、錬部の廊下の先で落ちていたの。色合いからアリアさんのものだと思って、このクラスまで届けに来たの」

「え?」


 ソフィアの説明に、アリアはキョトンとした顔で、ソフィアを見た。

 アリアと共にいる殿下や側近たちは、そのやり取りを気まずそうな表情で見ている。


 なるほど。先程のユリウスの行動の意味が読めた気がする。

 もしかしたら、ユリウスから先に報告を受けた殿下たちは、真相を皆に知られるのが嫌で、この件を有耶無耶にしようとしたのではないか。

 あんなに意気揚々とモニカ様を糾弾しておいて、今更間違いでしただなんて、バツが悪くて言えないのかもしれない。

 だからアリアにも真相をふせた。

 なんて身勝手な人たちなのだろう。


「届けに来た時、このクラスのある女生徒の方に、殿下が必死で探している魔石をわたくしが盗んだのではと、あらぬ疑いをかけられそうになって……。殿下に魔石を渡してもらうには、婚約者であるベルモート公爵令嬢に渡してもらうのが一番だと、その方が言うから、その方に頼んでほしいと魔石を渡してしまったの」


 ソフィアの説明に、周りで聞いていたクラスメイトたちは、クラスの隅の自席に座っているモニカ様を、気まずそうにチラチラと見ている。


「後で大変な騒ぎになったと聞いて、心苦しくなって……直接アリアさんに確認すれば良かったととても後悔しましたわ。勇気がなくて、今になってお伝えする事になってしまった事、本当にごめんなさい」


 それを聞いたアリアは、慌ててソフィアに言う。

「い、いえ! ソフィアさんは私の魔石を拾って下さったのでしょう? きっと部室から戻る時に落としてしまったのね。遅くなってしまったけれど、拾って下さって、どうもありがとう!」


 流石はヒロイン。どんな時でも素直に受け取るのね。

 でも、他の事に気付かないのが、やっぱり残念ヒロインだわ。

 ほら、周りを見て。周りのクラスメイトたちの視線は誰に向いてる?

 あの時、貴女の傍にいた人達が、散々罵声を浴びせ、糾弾した人がいるでしょう?

 この話を聞いたら、まずはあの方に謝らないとダメでしょう。

 あの方も、悪意ある誰かに嵌められてしまったのだから。


 もちろん、今の話はモニカ様にも聞こえている。

 モニカ様は、ジッとウィリアム殿下に視線を向けていた。


 モニカ様の視線に耐えられなくなったウィリアム殿下が、突然立ち上がり、ソフィアに向かって大声を出した。


「お、お前! 今更そんな事を言ってくるなんて、どういうつもりだ! さては、そこにいるベルモートの取り巻きに唆されて、作り話をしているのではないだろうな!」


 コイツ、ユリウスから聞いて真相を知っているくせに、こんな難癖をつけてくるだなんて!


「それ、本気でおっしゃってます? ウィリアム殿下」

 私は、つい凄みのある声で言ってしまった。

「そこまで言い切るからには、何か証拠がおありなのですよね? わたくしがこの方を諭したとされる証拠があるのなら、出してくださいません?」

「なっ!? お前!」

 ウィリアム殿下は、更に私に文句を言おうとしていた。

「殿下! それ以上は!」

 しかし、隣に座っていたユリウスに止められる。

 すでにこの件を調査し、ユリウスから同じ内容の報告を受けていたウィリアム殿下は、ユリウスの制止には弱かった。

「ちっ!」

 舌打ちをした後、そっぽを向いてしまったウィリアム殿下を見て、私も視線をソフィアに戻す。


「さぁ、ソフィア様」

「はい」

 私に促されたソフィアは、モニカ様の座る席まで近づいた。


「ベルモート公爵令嬢、わたくしからお声をおかけする御無礼をお許しください」

 ソフィアはモニカ様に話しかける。

 ソフィアはモニカ様とは面識がないため、爵位の下の者からは通常は話しかけるのはマナー違反なのだ。


「……よろしくてよ。それで?」

 モニカ様は、冷静にソフィアに対応する。

「わたくしは、シルバークラスに在籍致します、ヴァリゲン子爵家の娘、ソフィアと申します。この度、わたくしの浅はかな行動により、貴女様に多大なるご迷惑をおかけしたとの事。誠に申し訳ございませんでした」

 ソフィアは、そう言って深々と頭を下げて謝罪した。

 その様子を見たモニカ様は、またチラリとウィリアム殿下を見た後、ソフィアに視線を戻す。


「頭をお上げなさいな。貴女も誰かに騙されたのでしょう? 貴女はただ、拾い物を届けにきただけ。貴女が謝る必要はなくってよ」

 淡々とそう言って、モニカ様はソフィアに頭を上げるように言う。

 そして、教室にいる他の生徒達に視線を移した。


「それよりも貴女から上手く魔石を騙し取って、わたくしの鞄に入れた者がいるという事のほうが問題だわ。貴女はその者が誰だか覚えているのかしら?」

「そ、それが……女生徒であったのは確かなのですが、顔が思い出せず……」

 モニカ様からの質問に、クラスメイトの顔を見ながらソフィアがそう言った。



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