15. 新たなる決意
「モニカ・ベルモート様。本当にこのままでいいのですか? このままでは、いずれ貴女は断罪されてしまいます。あのヒロ……いえ、アリア・フロースト男爵令嬢に対する数々の所業をお認めになるというのですか? 悔しくないのですか?」
「わたくしが殿下に断罪されるなど、有り得ませんわ! わたくしはあの娘に何もしていないのよ!? 貴女は一体何を言っているの!?」
私の言葉にモニカ様は、怒りの形相で噛み付くように言ってくる。この場面だけを見ると、確かに悪役令嬢そのものだ。
「いいですか? モニカ様。貴女様はこのままでは身の破滅です。理由は説明出来ないけれど、私には分かるのです。だからモニカ様! 冤罪を晴らしましょう! そして貴女の良さを皆に知ってもらうのです! 貴女の良さを全面に出せるよう、私が貴女をサポート致します。断っても無駄ですからね? 私はもう決めたんです。モニカ様が幸せになれるよう、全力でモニカ様をサポートさせてもらいますね」
私の一方的な言い分に、モニカ様は大きな目をさらに見開いて、パチパチさせている。
あら、モニカ様ったら、そのお顔も可愛らしいわね。
ハニーブロンドの縦巻きロングに、エメラルド色の大きな瞳。色白で桜色のほっぺが更に色白を際立たせている、スベスベの肌。
羨ましいくらいに引き締まったウエストに豊かで形の良い胸。細長い手足もまるでモデル並みだわ。
成績優秀、語学堪能、礼儀作法も完璧。
こんなハイスペックな人、あんな王子には勿体ない。
そもそも、納得いかなかったのよ。
ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの? 婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて頑張ってきたのに。
そりゃ、ゲーム内の悪役令嬢は高圧的で厳しい態度をとったり、ヒロインを敵視している場面があったけれど、断罪するほどの事はしていないでしょう。しかも、モニカ様はあのヒロインに関わってすらいない。
なのに誰も彼女を助けようとしない。
「何故、貴女はいつもわたくしを気にするの? わたくしの味方をしても、何の得もないわよ?」
不安そうに私を見ながら、モニカ様はそう聞いてくる。
「こんなにも素敵なモニカ様が、他の方々に変な誤解をされているのが我慢ならないのです。もうわたくしとモニカ様は友達でしょう?」
「友達……?」
「ええ、友達です。少なくともわたくしはそう思ってモニカ様に接してきました。……モニカ様は違うのですか?」
「貴女も殿下たちに目をつけられてしまいますわよ。それでも友達だと言い張れる?」
やはり、私の身を案じてワザときつい口調で言ったのかと感じた。
そんな不器用なモニカ様が更に愛おしくて。
「わたくしはモニカ様が大好きですのよ? 友達だと胸を張って言えますわ」
笑顔で手を差し出し、そう言って握手を求めている私を見て、モニカ様は力が抜けたように肩を落とす。
「貴女の事を巻き込まないように、わたくしが何とかしますわ……」
モニカ様はそう言って、ツンと顎を上げ、顔を真っ赤にして照れながら、私の差し出した手に、そっと握手で応じた。
そんなモニカ様がますます可愛くて。
友達だと認めてくれた事が素直に嬉しい。
「ふふっ、改めてよろしくお願い致しますね、モニカ様」
「貴女は本当に呆れるくらい、いつも真っ直ぐね……。ありがとう、アリッサ」
照れながら、モゴモゴといった様子で私にそう言った。
完全なツンデレ状態のモニカ様を見て、この人を守ろうと、改めて心に誓う。
今までの冤罪全てを晴らし、モニカ様の悲惨な運命に抗ってやる。
これが私とモニカ様の、断罪阻止に向けての戦いの始まりだった。




